東北伝説紀行

北海道旭川市 上川倉庫群『蔵囲夢』

北海道で札幌に次ぐ人口を誇る旭川市。
その発展は明治30年代
物流拠点として開発されたことから始まった。
そして当時の活気を今に伝えるのが
旭川駅そばに建つ、レンガ造りの倉庫群だ。

道北の物流拠点 「旭川」を支えた 赤レンガの倉庫群

北海道のほぼ中央に位置する旭川市。そのJR旭川駅近く、宮下通り沿いにレンガ造りの倉庫群がある。「上川倉庫群」と呼ばれるこの6棟の倉庫は、明治から大正初期にかけ地元・旭川産の赤レンガを使って建てられたものだ。
明治中期、旭川は上川の中心として開拓が進められた。明治23年に旭川村、永山村、神居村の3村が置かれ、明治24年から開発の尖兵として屯田兵が入植。さらに明治31年になると鉄道が開通し、町は飛躍的に発展していった。やがて産業・経済の基盤が成立し、道北の要としての使命を担うようになる。日本海、太平洋、オホーツク海の各沿岸に向け、米をはじめたくさんの商品や資材が旭川を中心に行き交ったのだ。
明治30年代に建てられた倉庫群は、そうした物流の拠点として誕生した。主に穀物倉庫として使用され、最盛期には2000坪の敷地に21棟ものレンガ倉庫が建ち並んだという。

明治中期の空気感を 今に伝える貴重な意匠

さて、ここで建物を見てみよう。北海道はレンガ造りの倉庫が数多く残っているが、上川倉庫群のような比較的小規模な倉庫が密集する様子は、他にはあまり見られない独特な景観を作り出している。通りから見ると、倉庫と隣り合って並ぶ真っ白な2階建ての建物がひときわ目を引く。旭川で現存する木造建築としては最も古いとされる、上川倉庫事務所棟だ。正面は切妻屋根のペディメントを冠し、下見板張りの外壁にアーチ状の開口を施す。明治中期の空気感が伝わる意匠であり、建設当時の原形をそのまま遺している。
レンガ造りの倉庫群には柱が一本も使われておらず、特に横揺れに弱いため地震の多い日本での保守は非常に難しい。地元の人々がこの建物を愛し、手入れを欠かすことなく受け継いできたからこそ、100年もの間旭川の厳しい自然環境の下でも変わらぬ佇まいを維持できたのだ。これら旭川の歴史を物語る貴重な倉庫群は、2001年に国の有形文化財にも登録されている。

時代を経て現在は旭川の 文化発信基地に

旭川の物流を支えてきた倉庫だったが、昭和後期になり流通の仕組みが変化すると、役目を終え次第にその数を減らしていった。そこで倉庫会社は、町の歴史を物語る貴重な建物に、新たな命を吹き込むことを決断。平成8年にリニューアルを開始した倉庫群は順次、地ビールレストランやギャラリー、インテリアショップ、多目的ホールなどに生まれ変わっていった。現在、この倉庫群は「蔵囲夢(くらいむ)」と名付けられ、旭川の歴史と新たな文化を発信、今も街づくりに貢献している。
日本各地から移住してきた人々の夢と希望によって拓かれた旭川。赤レンガの倉庫群には、当時力を発揮した旭川商人たちの物語が刻まれている。レンガの道を歩きながら、遠い日の彼らの夢に思いを馳せてはいかがだろうか。

さあ「伝設」をその目で見よう!

北海道旭川市 上川倉庫群『蔵囲夢』
●住  所/北海道旭川市宮下通り11
●開館時間/10:00~18:00(5~10月)11:00~17:00(11~4月)
●休館日/月曜日、12月30~1月4日
TEL.0166-23-3000
※展示等の都合により変更や臨時休館する場合があります。