お客様の声と施工事例

寺社・大型建造物もクラシタス

浄土宗 優婆寺 様

想いを形にすべくじっくりと入念な準備を

本州最北端の下北半島に位置する優婆寺様は、本尊に慈覚大師真作の「優婆夷像」を奉る恐山門戸。320年以上も昔から霊場・恐山と関わり、信者は恐山に入る前に必ず立ち寄ってきたという歴史ある寺院だ。
「先々代はかなりつましく営んでいた様子でね。雨が降れば、いくら鍋釜があっても足りないくらい、ぽたぽたと雨漏りする。当時はスレート瓦が葺かれていたのですが、この辺りは雪深く、雪の重みで瓦が下がってきてしまう。だからトタンで修復したりしていた様です」と三宮御住職。その後、役場に勤めながら先代を支え、昭和60年には役場の仕事を辞し、寺に入ることとなった。
庫裡を造り、老朽化した山門を整え、少しずつ手を入れてきた優婆寺境内。しかし、十勝沖地震にみまわれ、基礎・土台から崩れてしまった。「そのときから、本格的に本堂を建て直そうと考えるようになったんです」と三宮御住職は振り返る。「実は役場に勤めていた頃の職務で、この大畑地区の山という山はすべて歩きました。そしてどの山で、どんな質の木材が採れるかということもよく知っていたので知人を通じて『あそこの山の、あの木材を採っておいて欲しい』と依頼して、コツコツと建材を集め始めたんです」。工事するにあたり、三宮御住職は質の良い木材にこだわった。その熱意が檀家の方々への大きな説得材料にもなったという。

地元で育った青森ヒバその香り満ちる本堂に

新たな本堂・位牌堂造営への準備は少しずつ進められていった。そして平成19年、ようやく着工の準備が整い業者の選定へ。そこで重視したのが、かつて雨漏りに苦しめられた「屋根」だった。担当営業の菊池の提案に、寺社施工の実績と銅板葺きの高い技術が決め手となり、弊社にご指名頂いた。こうして理想の本堂・位牌堂造りは始まった。
建てるにあたり、こだわったのは「青森ヒバ」だ。「目に見える部分にはぜひ、大畑で育った木材を」という想いから、新たに仕入れる木材を御住職自ら一つひとつ吟味し選定したという。本堂でひときわ目を引くのが、内陣に彫られた登りネズミ・下りネズミ・小判をくわえたネズミだ。「これは私が子年生まれであることにちなみました。子沢山で第六感にすぐれ、蓄財に長けたネズミ。それになぞらえ、勤勉に励めという己の戒めの意味があります」。そして懸案の屋根は入母屋造の銅板葺きに。瓦のように雪が積もってもずれることがなく、また年を経るごとに緑青を生じ、風格を増していく。向拝にかけてのなめらかな曲線は、職人の技がいかんなく発揮されている。優美さの中に荘厳さをにじませる、実に堂々たる佇まいとなった。
「御住職は自身の目で建材を吟味し、『この木目はどの部分へ』とご指示いただくほど明確な完成イメージをお持ちでした。それを具体化するために何度も設計図を描き、共同で完成へ向けて歩んでいく、実にやりがいのある仕事でした」と担当の菊池も振り返る。
細かく手を入れた木々が茂る、端正な面持ちの山門。その奥にはヒバの清浄な香りが満ちる本堂が待つ。この神聖な空気に、訪れた者はおのずと敬虔な心地にさせられる。恐山に入る前に立ち寄る参拝者は今後も絶えることはないだろう。