寺社・大型建造物もクラシタス

曹洞宗長音寺 様

震災から7年 遂に再建を果たす

潮風薫る悠久の地、宮城県東松島市のびる野蒜地区。ここは、東日本大震災により壊滅的な被害をもたらした地域だ。
この地に建つ本紙49号へ掲載した長音寺様も、大津波により本堂と会館を被災。100人以上の檀家様と当時のご住職様も犠牲となった。先の見通しも立たず、再建は絶望的、そう誰もが思ったその時だった。津波に流された本堂の屋根から、奇跡的にご本尊様が見つかったのだ。その人智を超えた〝啓示〞に人々は復活を確信する。
そして震災から7年。多くの困難を乗り越え、長音寺様はこの春ついに震災前と同じ場所への再建を叶えた。津波防災第2種区域に設定され建物の構造に規制がかけられているため、居住せず法要や葬儀のみ行う事を想定し設計。外観については、特別名勝指定地域であることから、辺りの景観と同調するよう屋根の勾配や外壁を和風
のデザインとしている。伝統建築にこだわらず、法要が安心快適に行える機能面を重視し、コストを抑えた。
室内に入ると、自然光が降り注ぐ明るく開放的な空間が目の前に広がる。空間を用途に応じ有効活用できるよう収納式の間仕切りを設置し、無柱空間としたのだ。間仕切りを収納すれば、参列者の多い法要にも対応できる。また、車椅子の方でも入れるトイレの設置や建物内をバリアフリーとし、使う人への配慮が随所に感じられる構造となっている。

喪失の悲しみを癒す 心の拠りどころ

震災以降先が見えない中、僧侶としての務めを一心に邁進してきたのが秋山公純ご住職様だ。
「屋外での法要を続けてきたので、無事再建を迎え檀家様からも喜びの声を頂いています。寺院として供養だけでなく新たな役割も担っています」。
お寺が心の拠りどころとなるよう、交流の場として自由に使って欲しいと話す秋山ご住職様。その眼差しには尽きることの無い復興への願いが溢れている。

人々の心に寄り添う 復興のシンボル

震災前は多くの観光客が訪れる風光明媚な遊覧の地だった野蒜地区。しかし現在は住民が移転し、地域の姿は大きく変わった。家族を亡くすなどした住民は悲しみを背負ったままだ。
そんな中、苦節7年の時を経て見事再建した長音寺様は、まさに復興のシンボルといえよう。この地に再び明るい賑わいが戻る日まで希望の灯台となり、人々の心の古里として末永く寄り添い続けることだろう。