寺社・大型建造物もクラシタス

曹洞宗 左澤山 龍門院 様

里山に抱かれ、人々の暮らしを見守ってきた寺院

南三陸町というと海のイメージを持つが、実は町の面積の8割近くが山林を占める緑豊かな町。こののどかな南三陸の風光明媚な入谷地区で1555年に開祖し、移り変わる街並みや復興を見守り続けてきた龍門院様。
戦後間もない昭和24年に茅葺きから天然スレート屋根に葺き替えたという記録が残っており、それから60年以上が経過。経年劣化もあり修繕計画を考えていた矢先、あの未曾有の大震災が発生。津波の被害は免れたものの、本堂全体に大きなダメージを受け、現在20代目となられる坂部ご住職様から当社へご相談を頂き、総代長の西城様はじめ檀家様のご支援から改修の計画がスタートした。

新しい歴史を刻む

以前の天然スレートは宮城県の特産でもあり、出来れば残したいという思いもあったが、職人不足も含めた将来のメンテナンスの難しさを考慮し、耐久性に優れ、なおかつ軽量で地震の際、建物への負担が少ない銅板屋根を選択。築年数が経過した建物は、歪み等から屋根下地に不陸(ふりく)と呼ばれる段差が生じる事も多いが、地上からでも屋根の傾斜が美しく見える様、工事中は細心の調整を行うと共に、屋根頂上部の棟も熨斗棟へ変更し、重厚感が増す意匠に仕上げた。又、建物の補強等には檀家様のご協力の下、地元の良質な木材をふんだんに使用し、美観と耐久性を兼ね備えた造りとなった。

想 い

ご住職様はじめ総代様、檀家様が一体となり生まれ変わった龍門院様。
「長い歴史の中で多くの方々が本堂を見守り、皆様のおかげで新たに生まれ変
わった寺を、次の世代へ繋いでいくのが私の役目です」と、坂部ご住職様自らが屋根頂上部の紋章を取り付け、向拝正面には、先代ご住職様の書で制作した山号額が掲げられた。
時に寺院建築とは、建物を建てる・直すだけではなく、携わった方々が皆、ご先祖様を敬い、子孫を慈しむ共通の想い、そして地域の絆を再確認するひと時にもなる。
年月を重ねるにつれ新たな銅板屋根は緑青色に変化し、里山の緑との見事な諧調を見せてくれるに違いない。その姿はまさしく、世代を超えて受け継がれる深い信仰の心。これからも心の拠り所として、多くの人々が龍門院様を訪れるであろう。