父と子の関係を超え

クラシタス会 建具工事担当
及川 吉行

建物の開口部に設けられた「開閉機能を持つ仕切り」のことを「建具」と言います。身近なところではドアや障子、ふすまなど。毎日何気なく、何度も使っている機能です。これらの建具がスムーズに開閉できるのは、建具職人の正確な仕事があってこそ。当社仙台支店では、この建具の工事を及川吉行さんお願いしています。

及川さんは地元の工業高校で学ぶんだのち、お父様の及川建具店を継ぐことを決意。依頼、お父様とは父と子を超え、職人の師と弟子としての関係が始まったと言います。

  • 人を売るという気持ち

    教えられた最初の仕事は作業の前・後2回の掃除。ゴミで建具を傷つけないよう、またお客様のご不便にならないよう、作業前には必ず掃除を行います。また、仕事後は作業前よりもきれいにして帰る。この習慣は今でも変わらず続いているそうです。 「あの頃は電動工具も有りませんでしたから、時間がかかって大変でした」 押入れや欄間、天袋などを含めれば、一軒のお住まいに対して建具職人が作る木製品は100を超えるのが当たり前だったと言います。「今が工場生産が主流の時代になりました。だからこそ、仕事はなおさら丁寧に、『モノを売るのではなく人(自分)を売る(認めてもらう)』という気持ちで取り組んでいます」

  • 自らが手本となり

    誠実で勤勉な及川さんの人柄は、お子さんたちとの関わり方からもうかがえます。及川さんは6年ほど前から息子さんとともに「漢字検定」に挑戦しているのだとか。「勉強しろと口で言うだけでは子供は動かないでしょう。実際に自分が手本を示さないと」 行動で指針を示す及川さんの姿勢に、お子さんたちも父には負けられないと率先して勉強に取り組むようになったと言います。 この道一筋30年強。お客さまのおかげで今があり、これからも求められる限り、仕事を続けていきたいと語る及川さん。いくつになっても向上心を忘れない及川さんの瞳は、たゆまず更に高みを見つめています。