高度成長期に磨いた技術

クラシタス会 塗装工事担当
中目 市男

「あの頃はまだ車が珍しかったから、現場が近ければリヤカーを引いて行ったり、スーパーカブやコニー(オート三輪自動車)で現場に向かったよ」そう語るのは、岩手支店で塗装工事を担当する中目市男さん。この道50年を誇る大ベテランです。

中目さんが塗装工として腕を磨いたのは、世の中に元気が満ちあふれていた高度経済成長期。中学校を卒業後、親元を離れて仙台の塗装会社に就職し、住み込みで働いたといいます。すべてが猛スピードで前進し、街も日々姿を変えていた時代。当時始まったばかりだった仙台駅前アーケード工事に携わることができました。

  • 年齢を重ね新たな思いが・・・。

    宮城各地で数々の現場を経験したのち、岩手に帰郷。若干二十歳で「中目塗装」を開業し、仙台で磨いた腕を地元の公共工事などで存分に振るってきました。 しかし年齢を重ねるとともに、仕事の質が変わってきたといいます。

    すなわち、「技術中心」から「ヒト中心」へ。たとえば現場を共にする若い職人たちへの技術の継承や、施主様の思いが強く込められる住宅の仕事など、ヒトとの密接な繋がりが生まれる仕事にやりがいを感じるようになったといいます。「ただ働くだけなら誰にでもできるんです。でも、〝喜ばせる〟ことは誰にでもできるってワケじゃない」。

  • 職人としての姿勢

    損得だけで動くのではなく、お客様のご要望や思いに〝粋に応える〟こと。 それが、長い職人生活の末に中目さんが掴んだ仕事の魅力であり、若い世代に伝え続けている「職人としての姿勢」なのです。

    日本の一大成長期を支え、職人として駆け抜けてきた中目さん。その粋な職人魂は次の世代にも受け継がれ、今後の東北復興を支え続けてくれることでしょう