LCCM住宅って何?その認定基準とは?
2023.07.25
皆さんはLCCM住宅ってご存知でしょうか?
今は省エネ住宅やよく耳にする「ZEH」などCO2排出問題の解決策として、
環境への負荷を軽減させる住宅が普及しています。
その中でもさらに上位目標として設定されているのが「LCCM住宅」なのです。
今回は少し難しいお話ですが、LCCM住宅について分かりやすく解説します。
LCCM住宅の定義と特徴
LCCM(エルシーシーエム)住宅とはライフサイクルカーボンマイナスの略で住宅の長い寿命の中、
建設時や運用時、廃棄時においても二酸化炭素CO2を出来るだけ出さないようにする取り組みのことです。
また、太陽光発電などによる再生可能エネルギーを創り出すことにより、
住宅を建設する際や日常でもCO2の収支をマイナスにする住宅です。
それならZEHと同じと思いますが、LCCM住宅はさらにその上を目指す目標設定があります。
ZEHはCO2削減を住宅に入居してからのCO2収支に焦点を当て、
マイナスかあるいはゼロを目指す住宅のことです。
それに対してLCCM住宅は、入居してからだけではなく建築時や改修時、
入居中はもちろんのこと解体する時までのプロセスを考えて、
トータル的にCO2を削減していくという住宅づくりなのです。
LCCM住宅の特徴としての具体的な取り組みは次のような内容です。
・建設中
建築中は建材の使用料を削減し出来るだけ廃棄する量を減らすこと、またCO2が発生しにくい建材を使用すること。
・居住中
省エネ基準の高い性能の住宅づくり(断熱等級の高い住宅)と太陽光発電と蓄電池の再生可能エネルギーを創ること、耐用年数の高い長寿命の住宅を建てる。
・解体時
産業廃棄物の削減と解体時に排出されるリサイクルの促進。
このようにLCCM住宅は居住中のZEH住宅の仕組みを活用しながら、
建築時や解体時にもCO2削減を意識した新たな取り組みを行っていく住宅なのです。
LCCM住宅認定の必要要件
次にLCCM住宅の認定に必要な要件について解説します。
・CASBEEの概要
CASBEE(キャスビー)とは建築環境総合評価システムのことです。
建物の環境性能をS・A・B+・Bー・Cの5段階で評価して格付けします。
省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、
室内の快適性や景観の配慮なども含めた建物の品質を総合的に判断するシステムです。
LCCM住宅の認定に必要な要件は上位の「S」もしくは「A」のランクでなければ達成しません。
・サステナブル建築物等先導事業の概要
サステナブル建築物等先導事業とは低炭素への先導的なプロジェクトに対して国土交通省が支援する取り組みのことです。
サステナブル建築物等先導事業は4つに分かれていて、その中に「省CO2先導型」があります。
「省CO2先導型」では省CO2の実現性に優れたリーディングプロジェクトとなる住宅と建築プロジェクトが対象になっています。
新築される住宅や建築物についてはZEH基準の水準の省エネルギー性能を満たすものであることが必要です。
また、材料、設備、設計、運用システム等においてCO2の削減と健康維持、
災害時の継続性や少子化対策等に寄与する先導的な技術が導入されているものであることといった要件を
満たしていることが必要とされています。
LCCM住宅の認定基準を住宅に取り入れるポイント
それではLCCM住宅の認定基準に達する住宅づくりは具体的にどのようにすれば良いのでしょうか。
そのポイントを見ていきましょう。
まずLCCM住宅は高性能断熱材や気密性の高い建材を使った住宅であることが必要になってくるでしょう。
例えば断熱材であれば高性能グラスウールや発泡ウレタン断熱材、
リサイクル紙から作られたセルロースファイバー断熱材などを使用すると効果があります。
また、家の断熱性能を上げるためには熱が最も逃げやすい窓サッシの性能が重視されます。
最近では樹脂サッシでペアガラスもしくはトリプルガラス、
アルゴンガスが注入されていてLow-E皮膜が施されている窓サッシがほぼ主流になっています。
さらに基礎断熱や外断熱など住宅メーカーによって断熱性能と気密性をアップさせています。
つまりLCCM住宅の認定基準をクリアするためには、
断熱材と窓サッシは高性能の基準を満たしている製品を使用していなければ難しいということです。
LCCM住宅はあくまでもより高い基準のCO2削減を目標としているので、高断熱高気密住宅は必須です。
その他にはやはり太陽光発電で再生可能エネルギーを創ることです。
自分の家で使う電気は自分の家で発電させるという考え方のもと、
太陽光パネルと蓄電池はCO2削減重視を目標にしているLCCM住宅に求められるといえます。
まとめ
LCCM住宅の実現はCO2マイナスを目指す住宅であり、
居住中だけではなく建築時や解体時のことも考えて作られた住宅です。
快適な住空間と光熱費の節約にも役立ち環境負荷にも貢献できます。
導入するコストが増えてしまうデメリットはありますが、
国や自治体の補助金やランニングコストの削減分を考えればメリットは大きいのではないでしょうか。