全改造スケルトンリフォームとは?違いや種類・メリット・デメリットも解説!
2022.02.09
全改造スケルトンリフォームとは?違いや種類・メリット・デメリットも解説!
家が古くなり家族構成も変わると、そろそろリフォームのタイミングかなと思っておられる方も多いのではないでしょうか。
子供が独立して巣立っていったり、親と一緒に住むことになったり家庭の事情はそれぞれです。
今の間取りは使いにくい、住宅設備が古くなって取り替えたいなど考え出すとあれもこれもリフォームしたくなります。
そんな時には、スケルトンリフォームで家を一新してはいかがでしょうか。
今回は、スケルトンリフォームについて解説します。
スケルトンリフォームとは?
スケルトンリフォームとは床、壁、天井をすべて取り払い構造体のみの状態にして、間取りからやり直す大規模なリフォームを指します。
給排水管なども可能な限り手を加えられるので、通常のリフォームでは困難な水廻りの移動や変更も可能です。
そのため新築と同様の住み心地にすることができます。
リフォームの中では最も大掛かりな施工ですが、建て替えるよりは大幅に費用を抑えることが可能です。
リフォームの内容にもよりますが、新築の約60%程度の費用相場と考えておくと良いでしょう。
古い建物でも構造体さえしっかりしていれば、内装を一新できるため愛着のある家を残しつつ今のライフスタイルに合った内装や外装が実現できます。
また再建築不可の物件のため、建て替えることができない建物も新築のように生まれ変わることができるのです。
再建築不可物件とは、建築基準法により接道義務を果たしていない物件をいいます。
そのような築年数の古い物件をリフォームする場合におすすめです。
スケルトンリフォームは戸建て住宅とマンションではリフォームする範囲が異なります。
戸建て住宅の場合は、基礎や柱、梁といった建物の構造体だけを残して屋根外壁など外装部分も含めて建物全体を解体撤去します。
また、マンションの場合はコンクリートが見えるところまで住戸内を解体撤去し、一から間取りを作っていきます。
スケルトンリフォームとは、どちらも骨組みだけ残してリフォームすることです。
スケルトンリフォームとリフォームの違い
スケルトンリフォームとリフォームの違いは、工事をする規模の大きさと工事後の住宅性能が違います。
スケルトンリフォームは家の構造部分を残した全面改装できる大規模なリフォームです。
床や壁、天井を解体し外壁や屋根まで交換することもあります。
そのため下地からやりかえる工事になるので、床や壁の断熱材が新しくなり現在の基準に合った断熱性能が実現できます。
また、最も懸念される耐震性も、壁の中に筋交いや耐震性を強化できる金物、構造用合板、補強梁などその建物に応じた耐震補強工事が可能です。
屋根材や外壁材も重量のある建材から軽量のものに替えることで地震に強い家が作れます。
スケルトンリフォームは大規模な工事なので、新築レベルの住宅性能まで上げることができるリフォームなのです。
一方通常リフォームと呼ばれるのは、老朽化した建物を建築当初の状況に戻すことをいいます。
例えば部分的なリフォームでキッチンなどの水廻りの交換や床、壁、天井などの張り替えなどの表層替えリフォームをすることです。
柱を抜いたり壁を撤去したりする間取り変更もリフォームですが、スケルトンリフォームのように骨組みのみにするほどの解体は行いません。
部分的に断熱材を交換したり、耐震補強したりも可能ですが全面的な改装ではなく工事規模を抑えた工事内容が通常リフォームと呼ばれています。
スケルトンリフォームとリフォームの違いは、工事の規模と断熱性や耐震性などの住宅性能の向上に違いがあるのです。
スケルトンリフォームの種類
スケルトンリフォームは基本的には構造体のみ残して全面改装しますが、建物の状態によっては2つの種類に分類できます。
・内部のみ
スケルトンリフォームには、内部のみ工事をする方法があります。
外壁や屋根はリフォームをしたばかり、塗装してメンテナンスを怠っていないなど外装を取り替えるのは勿体無い場合があります。
しかし家の中は、間取り変更や住宅設備の取り替えなど全面改装したい場合に、内部のみのスケルトンリフォームがあります。
このパターンは、内壁や床、天井を解体するため断熱材の入れ替えや耐震補強工事も可能です。
屋根と外壁を生かして壊さない分、費用を抑えることができるため屋根外壁をそのまま使用したい方にはおすすめです。
・内部及び外部
スケルトンリフォームの本来のスタイルである構造体のみ残して工事をする方法です。
内部を全面改装し、屋根や外壁もすべてやり替えなければならない場合のパターンです。
再建築不可の建物やセットバックしなければ建て替えができない、建て替えると現状の建物より小さくなって住みにくい場合には、よくこの方法でスケルトンリフォームされます。
このような築年数の古い建物の場合、柱や梁などの構造体も劣化している場合があります。
実際は壁を解体しないと中の構造体が健全な状態かは分かりません。
柱や梁が腐食していたり、シロアリに食われて構造体としての役割を果たしていない場合もあります。
その場合は、柱や梁を交換して補強する必要があります。
内部と外部すべてをスケルトンリフォームすることは、リフォームの中では最も費用がかかります。
しかし建物を支えている構造体が健全な状態かを確認できる良い機会になるでしょう。
これから何年も先まで維持しなくてはいけないのであれば、内部と外部の全面的なスケルトンリフォームをおすすめします。
スケルトンリフォームをできない建物
スケルトンリフォームしたくても基本的にできない建物があります。
その建物について解説します。
・マンションの場合
マンションでスケルトンリフォームができないのは、壁式構造のマンションです。
壁式構造とは、壁で建物を支えている構造のことをいいます。
柱や梁で支える「ラーメン構造」と呼ばれるマンションは壁が全て撤去できるのですが壁式構造は不可能です。
壁式構造のマンションをスケルトンリフォームする場合には、撤去しても構造上の問題がない間仕切り壁しか撤去することができません。
建物を支えている耐力壁は残さなければならないので、間取りに制限がかかってしまいます。
また、マンションによっては管理規約でリフォームの範囲や使える素材に制限を設けていることがあります。
よくある事項に、階下に音が響くのを防ぐためフローリングの交換や変更を禁止している場合があります。
その他、躯体への壁打ちや穴開けなど構造体を触ってはいけないケースもあるのです。
マンションの場合は、管理規約や契約書に記載されている設計や工事に関する規制をよく確認することが必要です。
・戸建て住宅の場合
戸建て住宅でスケルトンリフォームできないのは、2×4工法などの壁が構造体になっている壁工法の建物です。
壁自体が構造体になっていて、建物を支える役割を担っているので撤去はできません。
この壁を取ってしまっては建物を支えられなくなってしまうからです。
木造住宅であっても柱と梁で構成されている在来工法と、壁が構造体になっている2×4工法などの壁工法があるので我が家の構造は把握しておいた方が良いでしょう。
スケルトンリフォームの後悔ポイント
スケルトンリフォームでの失敗例や後悔するポイントを解説します。
・構造
戸建て木造住宅の構造には、大きく分けて柱と梁で構成する在来軸組工法と壁で構成されている2×4工法などの壁工法があります。
在来工法であれば構造上抜けない柱や取れない梁はあるものの、比較的スケルトンリフォームは工事しやすく向いているといえます。
抜けない柱や梁があるのは、その柱を抜くと建物のバランスが悪くなり建物の強度が弱くなるからです。
また重要な梁を受けている柱を抜いてしまうと、耐震性が落ちて地震災害時に倒壊の恐れも出てきます。
ただ問題なのは、抜ける抜けないの判断を事前に明確にするのは難しく、想定のもとで設計しなければならないことです。
壁を解体して初めて抜けないことが判明する可能性もあるのです。
また2×4工法などの壁工法の場合は、壁が構造体なので壊せない壁がほとんどです。
構造上解体しても問題のない壁も中にはありますが、間取り変更は難しいでしょう。
一方、マンションの構造も大きく分けて壁式工法とラーメン構造と2種類に分類されます。
壁式工法は部屋の中の壁が構造体になっているので解体が不可能です。
スケルトンリフォームするのであれば、その壁を残して設計することになります。
ラーメン構造の場合は、中の壁は解体できるのでスケルトンリフォームがしやすい構造といえます。
それぞれ構造によって出来ることと出来ないことがあるので、間取り変更など納得出来る設計になるのか確認しないと後悔することになります。
・家の状態
木造住宅では築年数が古く老朽化が進んでいる場合、構造体が健全な状態であるかが問題です。
在来工法で後悔する点は、壁、床、天井を剥がした時に現れる柱や梁が腐食して使い物にならない場合です。
シロアリの被害にあっている場合もあり、そうなれば取り替えが必要です。
普段は壁の中は見えないので、なかなか気づくことは難しく解体して初めて判明することがほとんどでしょう。
工事の計画段階で最初に床下調査を依頼すれば、床下で目視できる材木と基礎の劣化状態を確認できます。
浴室の下など水廻り付近は湿気が多い環境です。
そのため腐食やシロアリ被害の可能性があるので、事前に調査することをおすすめします。
一方、マンションの場合は構造体が鉄筋コンクリートなので、よほどの老朽化がない限り問題はないでしょう。
木造住宅の場合、おかれている環境や使われている材木の質にもよりますが、築年数が古い住宅はこのような危険性があることを考えておいたほうが良いでしょう。
スケルトンリフォームメリット
スケルトンリフォームのメリットを解説します。
・自分好みにできる
スケルトンリフォームの最大のメリットは、今のライフスタイルに合った自由な間取りに変更できることです。
各家庭によってスケルトンリフォームする理由はさまざまで、家族構成によって内容も変わってきます。
例えば、子供が独立して夫婦2人になった家庭は、高齢になっても使いやすいように生活動線を短くしたりバリアフリーにしたりできます。
他には中古住宅や中古マンションを購入して、スケルトンリフォームする若いファミリーもいます。
スケルトンリフォームは、スペースは限られていますがその中で自分好みの自由度の高い設計ができます。
そのため新築同様の喜びが味わえる素敵なリフォームなのです。
・耐久性を高める工事もできる
スケルトンリフォームのメリットは、耐久性を高められることです。
耐震性や断熱性など住宅性能をアップさせて、住宅寿命を延ばすことが可能です。
耐震性を上げるには、耐震診断を依頼し耐震補強をどの部分に補強するのかを明確にして施工します。
また、断熱性を上げるには壁や床、天井に最新の断熱材を新設します。
築年数の古い住宅は住宅性能が低く、スケルトンリフォームすることでほぼ新築に近い性能に向上させることが可能です。
屋根や外壁も軽量の建材を使えば、より一層耐震性もアップします。
スケルトンリフォームは、間取りが自由にできることだけではなく住宅性能も向上させることがメリットです。
スケルトンリフォームデメリット
スケルトンリフォームのデメリットを解説します。
・費用がかかる
スケルトンリフォームのデメリットは通常のリフォームより費用がかかることです。
構造体のみを残すリフォームなので、解体や撤去を手作業で丁寧に行います。
建て替えの場合は重機で一気に壊すことができますが、スケルトンリフォームの場合は手間がかかります。
解体した際に構造体である柱や梁に異常があれば、取り替えや補強が必要です。
また断熱材の新設や耐震補強など新築同様の工事内容になるので、費用がかかるのは仕方がないでしょう。
スケルトンリフォームは、表層リフォームに比べると費用がかかってしまうことが後悔するデメリットです。
・工事期間が長い
スケルトンリフォームのデメリットは工事期間が長いことです。
スケルトンリフォームは構造体を綺麗に残さなければならないので、部分的に手作業で解体します。
構造体が健全かどうかを確認したのち、一から作業が始まります。
そのため時間がどうしても必要で工事期間も長くなってしまうのです。
スケルトンリフォームをする場合は、新築を建てるぐらいの期間が必要です。
そのため仮住まいを利用する期間も長くなり家賃にかかる費用も多くなります。
建物の規模や工事内容によりますが約3ヶ月程度は必要なので、長期間仮住まいに住むのが難しい方には向かないので後悔するかもしれません。
近所の方への配慮
近所の方への配慮は、どのようなことに気をつければ良いのか解説します。
・工事日や騒音の周知
リフォームの工事をする場合は、工事日や騒音などを周知徹底することが重要です。
どのような工事であっても近隣のご挨拶は必要です。
特にスケルトンリフォームは解体撤去する時間も廃材の量もたくさんあり、工事期間も長期に渡ってしまいます。
近隣の方には長期間、騒音や振動、材料の搬入や搬出、業者の車の出入りなどでストレスを与えてしまいます。
工事前のご挨拶はもちろんのこと、工事日や施工時間の厳守、騒音を出さない時間帯を作ってきっちりと守ることが重要です。
また、マンションのスケルトンリフォームの場合は上下左右、斜めの上下左右、同じフロアでエレベーターを使用される住戸の方には、クレームが出ないようにご挨拶はしておくほうが良いでしょう。
マンションは振動や騒音が伝わりやすいので特別な配慮が必要です。
まとめ
スケルトンリフォームの基礎知識について解説してきました。
建て替えよりは費用は抑えられ、新築同様の仕上がりが期待できるリフォームの方法です。
規制で再建築できない建物や建て替えより安くしたい方にスケルトンリフォームはおすすめです。
業者にスケルトンリフォームについて相談してみてはいかがでしょうか。