屋根の雨漏りはどこが原因?さまざまな角度から追求徹底解説!
2022.01.10
屋根の雨漏りはどこが原因?さまざまな角度から追求徹底解説!
屋根からの雨漏りを発見しても、どの部分が原因なのかよく分かりませんよね。
屋根の雨漏りの原因は、現実にはプロが見ても分かりにくいことも多々あります。
特に、台風時の雨風が強い時のみ雨漏りがある場合は難しいです。
雨漏りを発見した場合は、慌てず速やかに信頼できる業者に相談しましょう。
この記事では、屋根の雨漏りはどの部分から発生しやすいのかなど、屋根と雨漏りの関係について解説します。
屋根材の劣化だけが雨漏りの原因ではない
リフォーム業者から「屋根が劣化しているので、雨漏りする前に屋根を葺き替えましょう」と指摘を受けたことがあると思います。
しかし、雨漏りの原因は屋根の劣化もありますが、屋根を構成する水切り板金が原因であることの方が実際は多いです。
なぜ板金部分からの雨漏りが多いのか、その原因と対策を解説します。
屋根の雨仕舞いには板金が必要
雨仕舞いとは、建物の内部に雨水が入らないように防水施工をすることをいいます。
雨仕舞いには板金が必ず取り付けてあり、建物への雨水の侵入を防ぐ役割をします。
瓦屋根や金属屋根、スレートなど屋根材の種類に関わらず全ての屋根に使われているのです。
谷樋板金や棟板金、雨押え板金などの名称で、それぞれの必要な箇所に用いられています。
これらの板金の共通点は、全て水が溜まってしまう可能性が高い場所に取り付けてあります。
つまり、雨漏りしやすい屋根の弱点部分なのです。
屋根の雨漏り4つの原因
屋根の雨漏りの原因には主に4つあります。
・屋根本体の経年劣化
一般的に雨漏りの原因で考えられるのは屋根の経年劣化です。
様々な屋根材には、耐用年数が決まっており、必ず寿命があります。
近年よく使われているスレート屋根は、他の屋根材と比較すると寿命が短いです。
スレート屋根は、経年劣化すると水を吸収し、最終的には屋根の下地まで水を通してしまいます。
スレート屋根は、塗装のメンテナンスをしっかりしていないと寿命も早くなるので、雨漏りした場合には屋根材に限界がきているのかも知れません。
スレート屋根で雨漏りの場合は、業者に屋根材そのものの劣化状況を確認してもらいましょう。
また、陶器瓦は、耐久性が高いとはいえ古くなると割れたり欠けたりして、雨水を侵入させることがあります。
金属屋根もガルバリウム鋼板など高耐候の屋根材はありますが、経年劣化で錆や穴あきなどの現象もあります。
屋根材の耐用年数を経過した屋根材は、雨漏りのリスクを高めます。
・雨仕舞い箇所の水切り板金の劣化
屋根材の経年劣化の次に考えられる雨漏りの原因は板金です。
板金は、経年劣化が進むと錆が出たり、凹みが出たりして穴があくこともあります。
近年では、水切り板金もガルバリウム鋼板がよく使用されるようになりましたが、昔の戸建て住宅では錆びやすいトタンなどが使用されていました。
トタンは寿命が短く、10年程度で穴があく場合があります。
築年数の古い建物は、屋根だけではなく板金も劣化が進んでいることを忘れないようにしましょう。
また、屋根の棟に設置してある棟板金は、風の影響を受けやすいためズレや緩みが生じ、雨漏りすることもあります。
棟板金は屋根の最も高い位置にあるため、強風にされされていることが多いのです。
雨漏りを発見したら棟板金の劣化も視野に入れて点検しましょう。
他には、日本家屋によくある入母屋屋根の谷部分に使われている谷樋板金があります。
谷の部分が最も雨漏りの可能性が高い箇所であり、その谷部分に使われている谷樋板金の劣化速度は早く、傷みやすい部分です。
板金は雨水を防ぐために存在し、劣化していると雨漏りの原因になるのは当然といえます。
雨漏りを発見したら、使われている板金の状況を確認することが必要です。
・ルーフィングからの雨漏り
ルーフィングとは、屋根材と下地の野地板の間に敷いてある防水シートのことです。
ルーフィングはアスファルトが主成分の化学製品で作られています。
屋根材や板金から漏れてしまった雨水を野地板まで浸透しない役割をするシートです。
台風の時など強い雨風で、屋根材や板金のわずかな隙間から雨水が侵入することもあるのでルーフィングは防水の意味で重要です。
そのルーフィングが劣化していたり、破れていたりしていると雨漏りに繋がります。
ルーフィングの耐用年数は、30年以上の製品もありますが、通常は築後20年で防水機能は果たせなくなっていると考えられています。
つまり、高耐久製品のルーフィングを採用していない限り、築20年でルーフィングからの雨漏りの可能性が出てくるということです。
ルーフィングの張り替えは、屋根の葺き替えやカバー工法などリフォームする際でないと新しくすることができません。
屋根を葺き替える際には、その屋根材の耐用年数に合ったルーフィングを使用することをおすすめします。
・施工上の問題の雨漏りもある
新築時に屋根業者の施工が問題で雨漏りすることもあります。
可能性は低いのですが、技術的な問題で手抜き工事や施工不良のある業者も存在するので注意が必要です。
通常であれば、雨仕舞いを考えて屋根のルーフィングを外壁まで出して施工します。
しかし、手抜き工事などをしている場合は、ルーフィングが出ておらずそこから雨漏りを起こします。
他にも屋根と外壁の防水シートの施工がしっかりとされていないケースもあります。
また、スレート屋根に関して屋根材が重なり合っている隙間部分を塗装する際に、埋めてしまう業者がいます。
隙間を埋めると内部に入り込んだ雨水が、排出されずに室内への雨漏りを起こします。
通常、塗装する際には、「タスペーサー」と呼ばれる隙間を確保する部材を屋根材の間に挟み込みます。
塗装前にそのタスペーサーを挟むことで、屋根材の縁切りが出来て隙間を確保することができるのです。
業者によっては、この縁切り作業を行わない塗装職人がいるので注意が必要です。
そのような説明を明確にしてくれる信頼性のある業者に依頼しましょう。
屋根の中で雨漏り発生が多い場所
屋根の中でも雨漏りの多い場所があります。
屋根材の経年劣化を除いた部分で多い場所を解説します。
・屋根形状が谷部分の谷樋板金
最も雨漏りが多い場所は、屋根の谷部分にある谷樋板金です。
屋根の形状が谷になっていて両方の屋根から雨水が流れてくるので増水する場所なのです。
豪雨の時などは、一気に雨水が谷へ集中するために水の量はとても増えます。
その分板金への負担も大きく、時にはオーバーフローしてしまい溢れてしまうこともあります。
溢れた雨水は、屋根下地に敷かれているルーフィングでカバーできれば、室内まで雨漏りはしません。
しかし、ルーフィングが劣化していたり、破れていたりすると下地の野地板まで到達して室内へと侵入します。
谷樋板金は、豪雨の時が心配な場所なので、台風の際に雨漏りが発生したら一番に点検しなくてはいけない部分です。
入母屋屋根の建物や谷が存在する屋根形状であれば注意が必要です。
・下屋根と外壁の雨押さえ板金
雨押さえ板金は、1階の屋根(下屋根)と2階の外壁の取り合い部分に使われている板金です。
この雨押さえ板金も雨漏りの多い場所です。
外壁と下屋根の取り合いは、完全に密着させることが出来ないためわずかな隙間が出来てしまいます。
この隙間から雨水が入り込むと雨漏りの原因になります。
そのためにこの隙間部分に雨押さえ板金を入れるのです。
しかし劣化により、台風などの激しい雨風により吹き込みが強いと侵入してくる場合があるのです。
雨押さえ板金も経年劣化するので、屋根を塗装する際は板金もしっかり塗装しておきましょう。
屋根を長持ちさせるには、屋根材と同じように雨漏りしやすい場所にある板金もメンテナンスが必要です。
・笠木板金(パラペット)
笠木板金とは、バルコニーやフラットルーフ、陸屋根の手摺り部分などの一番上に使われている板金のことです。
また、パラペットとはフラットルーフなどに使われる、立ち上がり壁や手すり壁を指します。
陸屋根の立ち上がり部分もパラペットとして分類できます。
笠木の一番上の部分は、フラットになっているために板金の継ぎ目の歪みや釘穴の錆などが原因で雨漏りを起こします。
雨が横から吹き込んだ場合に、笠木の隙間に雨水が入り込むことがあります。
近年の笠木は、製品の規格化が進んで規格製品を採用することが多いですが、古い笠木は、木の下地に板金を直接貼り付けてあることがほとんどです。
そのため、築30年以上経過している建物の下地は、内部結露によって腐食していることがあり危険です。
バルコニーの手すりなどは特に危険を伴うので、業者に相談し改善策を提案してもらいましょう。
板金の特徴と問題点
板金の特徴として、瓦屋根より寿命が短く劣化が早いことがあります。
瓦屋根の寿命は50年以上あるといわれている中で、昔の板金の寿命は20年程度で錆や穴あきなどの不具合が出てきます。
築年数の古い建物の場合、板金はトタン(亜鉛鋼板)や銅製が使用されていることが多く寿命が短いです。
つまり、瓦屋根の場合は瓦を葺き替えるまでに、板金を取り替えなければならないということになります。
近年では、板金の素材はガルバリウムやステンレスといった耐久性の高い鋼板を使用することが増えています。
昔に比べると板金の寿命も伸びていますが、陶器で作られた瓦屋根の耐久性には及びません。
瓦屋根の場合は、屋根材の長寿命に合わせて周囲の漆喰や板金のメンテナンスを怠らないようにすることが重要です。
他の屋根材についても同様に、屋根材の耐用年数と板金の寿命は異なるので点検が必要といえるでしょう。
また、板金やルーフィングはゆっくりと劣化して、じわじわと雨漏りへと進行していきます。
板金に小さな錆から穴があいて、徐々に雨水が建物の内部へ侵入し、天井裏に雨水が到達し雨漏りとなるのです。
板金は、見にくい場所にあり劣化状況を確認することが難しいため、雨漏りを発見して初めて確認することがほとんどです。
防水シートであるルーフィングも同じように、屋根材の下に隠れているため状況が予測でしか出来ません。
雨漏りを発見するとどの部分が原因なのか、プロであっても見つけるのは大変なことなのです。
雨漏りを防ぐには、雨漏りする前に普段からのメンテナンスが重要です。
板金から雨漏りした場合の対応策
雨漏りの原因が板金と判明したら、耐久性の高い素材の板金に取り替えましょう。
雨仕舞いに必要な板金は、雨水が集中する場所に使用されています。
そのため劣化するスピードも早く、傷みやすく不具合が多いところでもあります。
板金の素材は錆びにくく、穴があきにくい高耐久製品を使う必要があるのです。
築年数の古い建物によく使用されてきた、トタンや銅製の板金から、ガルバリウムやステンレスの製品に取り替えることをおすすめします。
また、ルーフィングについても耐久性の高い製品を使用することをおすすめします。
屋根材や板金に耐久性があってもルーフィングに耐久性がなければ、耐用年数のバランスが悪い屋根になってしまいます。
建物を長持ちさせるためにも、ルーフィングの耐久性にこだわり、性能の高い製品を選びましょう。
他に板金から雨漏りした場合、屋根の葺き替え時期とほぼ重なっているのであれば、ガルバリウム鋼板の屋根に葺き替えましょう。
板金はガルバリウム素材を使用することが多いので、屋根材も同じ素材で葺くことで屋根と板金の寿命が同じになります。
屋根と板金を同質素材にすることは、寿命にギャップが生じないためメンテナンススケジュールのタイミングが合い、理想的といえます。
瓦屋根の場合などは瓦職人さんが漆喰や部分補修を行いますが、金属屋根であれば板金工職人さんが手がける工事です。
屋根の最もデリケートな部分である雨仕舞い部分を屋根の葺き替えと板金の取り替え工事を同じ職人さんに施工してもらえるため安心です。
近年採用されることが多い、ガルバリウム鋼板の屋根材に葺き替えも検討しましょう。
まとめ
屋根と雨漏りの関係について解説してきました。
雨漏りは住宅にとって最もダメージの大きいトラブルです。
雨漏りによって内部の構造を腐食させたりシロアリを発生させる原因にもなります。
屋根塗装などのメンテナンスをしっかりしておくことが重要ですが、もしも雨漏りを発見したらすぐに信頼できる業者に診断してもらいましょう。