屋根形状に合った屋根材にリフォームしよう!屋根材の種類別特徴を解説!

2022.01.10

屋根形状に合った屋根材にリフォームしよう!屋根材の種類別特徴を解説!

 

老朽化してきた屋根を葺き替えたいが、何を選べば良いのか分からないと思っている方は多いのではないでしょうか。

自宅の屋根形状を考えるとどの屋根材が適しているのか、耐震性を考え軽い屋根材に葺き替えた方が良いのかなど課題は沢山あります。

この記事では、屋根材の種類別にそれぞれの特徴を解説します。

現状の屋根材のメンテナンス方法や屋根を葺き替えたい方の参考にしてください。

 

屋根材の種類別特徴とメリット・デメリット

 

屋根材の種類は大きく分けると粘土瓦、セメント瓦、スレート瓦、金属系の4種類に分類できます。

屋根材は素材によって耐用年数や価格、メンテナンスの方法も違ってくるのでそれぞれの特徴を把握した上で業者に相談しましょう。

 

・粘土瓦の特徴

 

粘土瓦とは、昔から日本家屋に使われている和瓦が代表的で、粘土を使った焼き物の屋根材です。

耐久性も50年から100年と長く、塗り替えの必要もありません。

他の屋根材よりも重く厚みがあり、空気層を確保できるので断熱性や耐熱性、遮音性に優れた屋根材です。

 

しかし粘土瓦は重量があるので、耐震性を考慮した工事仕様が求められます。

地震の際も安心して住めるよう屋根の重さに合った耐震補強工事も必要です。

具体的には、耐震診断を業者に依頼しどの部分に補強が必要なのか調査してもらいます。

補強が必要な内壁の中に構造用合板や筋交、金物を入れて、地震が起きても倒壊しないようなバランスの良い建物にします。

他には、和瓦が土葺きの場合、桟葺きに変えることで屋根の重さが約半分になり耐震性を上げることができます。

 

また、粘土瓦には「釉薬瓦」と「無釉瓦」の2種類があります。

釉薬瓦とは、瓦の形にした粘土を釉薬を掛けて焼いた瓦です。

食器などの陶器製品と同じ要領で作られているため陶器瓦とも呼ばれています。

釉薬瓦の特徴は水が染み込みにくく耐久性に優れていることです。

釉薬によって瓦に様々な色とツヤを出せるため、和風・洋風問わず建物の雰囲気にあった屋根材を選びたいという人に向いています。

 

無釉瓦とは 釉薬を使用しない瓦のことです。

いぶし瓦、素焼き瓦、練り込み瓦などの種類がある中で、いぶし瓦は渋い銀色が特徴でこの色にこだわる方も多くおられます。

燻すことで、瓦表面に作られた炭素膜によって現れるその風合いから、和風住宅の屋根に向いています。

他には、洋風の住宅に合ったS瓦と呼ばれる粘土瓦もあります。

和瓦と同じように空気層があるため断熱性や耐熱性の強みがあります。

 

・粘土瓦のメリット

 

粘土瓦のメリットは、耐火性に優れているところです。

そのため、万が一の火災の時にも屋根が燃え広がることがありません。

他の屋根材と比較しても安心安全な屋根材といえます。

 

また、断熱性や遮音性、耐久性にも優れています。

粘土瓦の形状はS字の形をしていることから、軒から棟までに空気層が瓦の数だけ存在します。

その空気層が夏の熱い空気を逃してくれるので、屋根の温度の上昇を抑えることができます。

夏は涼しく冬は暖かいのが粘土瓦のメリットで、四季のある日本の気温や風土に適した屋根材といえます。

他には、空気層があることで遮音性にも優れ、激しく降る雨音も吸収してくれるため音の心配もありません。

粘土瓦は、直射日光や雨などにも強いため耐久性もあり、長期間使用できることがメリットです。

 

その他には、粘土瓦はメンテナンスが比較的容易です。

粘土瓦は破損したとしても、1枚単位で交換が可能で部分的に補修ができます。

経年劣化で、漆喰の補修や棟の積み直しなどは多少ありますが、何十年と使える屋根材は中々ないといえます。

 

近年の新築住宅には、高価なことや耐震性の問題も影響して使われなくなってきましたが、昔から存在し今もなお瓦にこだわりを持っておられる方も多くいます。

その理由もこれだけのメリットがあると納得できるといえるでしょう。

 

・粘土瓦のデメリット

 

粘土瓦の最大のデメリットは、重量があるために耐震性が低く地震の揺れに弱いことです。

さまざまなメリットがある瓦ですが、一枚一枚が重いため建物にとっては最大の欠点になってしまいます。

近年、日本では地震の被害が多く見られ、住宅の耐震性が問われています。

そのような背景がある中で、新築住宅では重い瓦は敬遠されがちです。

また、台風などの暴風で瓦が飛んでしまったり、ずれてしまったりすることがよくあります。

粘土瓦は一枚一枚張り付けてあるわけではないので、どうしても強い風に弱く台風の時は気になるところです。

他には、施工できる職人が昔に比べて少なくなってきたことです。

瓦の屋根が少なくなってきているので、職人の成り手が減少してることが理由です。

それにより、瓦職人の手間賃が上がってしまう傾向になってきます。

 

・スレートの特徴

 

本来スレート屋根は、天然スレートと人工スレートの2種類があります。

現在使用されているのはほとんどが人工スレートです。

スレートとは、セメント成分に繊維質の材料を織り交ぜて作られた薄い板状の屋根のことです。

スレート以外に、カラーベストやコロニアルなどの商品名で呼ぶこともあります。

近年、新築住宅の屋根に最も多く使用されており、一般的になっています。

そのため、屋根材メーカーが作るデザインやカラーバリエーションも豊富になってきています。

スレートが普及しているのは、価格が低コストで施工しやすいことが要因です。

耐久性はそれほど高くはありませんが、優れた塗料の開発で遮熱効果のある屋根材もあります。

 

・スレートのメリット

 

スレートのメリットは他の屋根材と比べると価格が安いことです。

製品そのものが安く、施工も比較的難易度が低く工事期間も短くできます。

新築住宅によく使われるのは、施工費用が全体的に抑えられることが理由です。

リフォームで屋根の葺き替えをする場合は、コストを抑えたいのであればスレートがおすすめです。

また、スレートは形状や色のバリエーションが豊富で、デザインの選択の幅が広がり理想のイメージに沿った屋根が実現できます。

個性的なデザインにすることができるので、自由度が高いことがメリットです。

スレートは普及率が高いことに加えて、施工難度が低いため工事ができる業者が多いことも特長です。

重さも軽量なため建物全体の負担を軽減し、施工工事もしやすくリフォームにも向いている屋根材といえます。

屋根が軽くなるということは、耐震性が高く地震災害にも強い屋根材なのです。

 

・スレートのデメリット

 

スレートは耐久性があまり高くないため、比較的劣化しやすい屋根材といえます。

直射日光や雨風により表面が傷みやすく、劣化した状況で放置しておくと雨漏りや腐食の原因になります。

劣化の状況を把握するためには、定期的なメンテナンスが必要なのでコストがかかることがデメリットといえるでしょう。

 

また、スレートは硬くて薄いため、反りが出たりひび割れが生じやすいという弱点もあります。

雨で水分を含んだ後に、直射日光で乾燥するという繰り返しが反り返りの原因にもなります。

他の屋根材と比較しても衝撃に弱く、台風や強風で飛来物が当たってひび割れたり破損することも少なくありません。

 

また、耐用年数が短いのもデメリットのひとつです。

経年劣化で紫外線を浴び表面が色あせたり、コケやカビが生えやすいこともあります。

スレート屋根を美観も含め維持するには、定期的な塗装と20〜30年程度での葺き替えが必要になるでしょう。

 

・セメント瓦の特徴

 

近年、セメント瓦は新築ではほとんど影をひそめ使用されることがなくなり、材料を手に入れることも困難になっています。

1980年代から1990年代に国内で広く普及し、築年数が30〜40年経過した今、耐用年数が間近に迫っているのです。

セメント瓦を使用した家に住む人の多くが、リフォームを検討しています。

セメント瓦はセメントと砂を原料とした屋根材で、プレスセメント瓦とコンクリート瓦の2種類があり製造方法によって分類されます。

施工がしやすく衝撃にも強いため、一般的によく使用されてきました。

耐用年数も30年程度で、塗装をすることでさらに寿命を伸ばすことができます。

また、セメント瓦は水に弱いこともあり、定期的な塗装のメンテナンスが必要です。

劣化により塗膜が剥離すると割れてしまう原因にもなるので、業者の点検を怠らないことが重要です。

 

・セメント瓦のメリット

 

セメント瓦のメリットは、デザイン性に優れ高級感があるところです。

デザインとカラーバリエーションが豊富で和風や洋風など、様々な外観に対応が可能です。

一般的には塗装して市場に出ますが、無塗装のまま使われることもあります。

製造メーカーにより、様々な塗料が使用されるので種類は豊富です。

また、プレスセメント瓦は耐火性が高く、寸法精度に非常に優れているというメリットがあります。

熱に強く、膨張収縮の影響を受けにくいので、瓦1枚1枚の精度が高くズレが生じないため施工がしやすいのです。

 

・セメント瓦のデメリット

 

セメント瓦の最大のデメリットは、水に弱いところです。

陶器瓦とは異なり防水性は塗装で決まります。

塗装も経年劣化で塗膜が剥がれ、コケやカビが生えてしまうと劣化が進みます。

セメント瓦の耐水性が下がると、基材に水分が含まれ著しく脆弱になります。

その結果、割れてしまうと雨漏りの原因に繋がるのです。

劣化による塗装の変色や退色、チョーキングを目安として定期的な塗り替えメンテナンスを行う必要があります。

 

ガルバリウム鋼板の特徴

 

ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%から出来ているアルミ亜鉛合金メッキ鋼板です。

ガルバリウム鋼板は、従来の鋼板より耐久性に優れています。

なぜなら、アルミニウムの特性である耐食性や加工性、耐熱性や熱反射性を持っています。また、亜鉛の特性である犠牲防食性も兼ね備えているのです。

ガルバリウム鋼板は、あらゆる用途に対応できる画期的な鋼板といえます。

近年、新築住宅の屋根材にはスレートが主流ではありますが、ガルバリウム鋼板の普及が急激に増えているのです。

選ばれる理由として、ガルバリウム鋼板はコストパフォーマンスが良い点が挙げられます。

耐久性や耐震性に優れ、メンテナンスのしやすい屋根材としてメリットがたくさんある割には低コストで済みます。

屋根を葺き替えるコストを抑えたい場合は、ガルバリウム鋼板がおすすめです。

 

・ガルバリウム鋼板のメリット

 

ガルバリウム鋼板のメリットは、まず耐久性に優れているところです。

厚さが薄いにもかかわらず、何層にもなって形成されている屋根材のため、腐食率が低く錆びにくい性質があります。

ガルバリウム鋼板の層の中に入っている亜鉛には、犠牲防食性という性質があります。

犠牲防食性とは、傷ついた周囲の亜鉛が溶け出し鉄を酸化から守ることを指します。

鉄が錆びる前に代わりに亜鉛が犠牲になって錆の侵食を止めるのです。

亜鉛メッキがガルバリウム鋼板に利用されているのは、鉄が錆びるのを少しでも遅らせる効果があるためです。

 

また、不動態皮膜という現象が起きることも耐久性に優れているところです。

不動態皮膜とは、金属の表面や空気と接する部分に瞬時に薄い皮膜ができる現象を指します。

ステンレスが錆びにくいのもこの不動態皮膜が絶えず生成されていることによるものです。

鋼板の場合、耐食性の高い皮膜ができないため、代わりにアルミの表面にできる不動態皮膜に頼ることになります。

アルミ合金の表面には強力な皮膜ができることが知られており、これをメッキに利用したのが亜鉛とアルミメッキの鋼板です。

このようにガルバリウム鋼板は、それぞれの化学反応により酸化を遅らせ耐久性に優れているのです。

 

他のメリットは、緩い勾配の屋根に使用できるところです。

屋根材は、それぞれ屋根の勾配によって、使用できるものと出来ないものがあります。

要するに屋根材は、何寸勾配以上のみ使用できるという規制があるのです。

緩い勾配で使用できることは、大抵の屋根に対応することが可能で自由度が高いといえます。

ガルバリウム鋼板の縦葺きは、1枚1枚が大きいため施工も簡単で、工期が短かく費用も安くなります。

更に、ガルバリウム鋼板はスレート屋根の上から貼るカバー工法にも適しています。

スレート屋根は、2006年以前の建物であればアスベストが混入されている可能性があり撤去に費用がかかります。

葺き替えのコストを抑えるために、スレートにガルバリウム鋼板をカバー工法にすることが多くあるのです。

 

・ガルバリウム鋼板のデメリット

 

ガルバリウム鋼板のデメリットは、金属屋根なので断熱性が低く夏暑いことです。

直射日光が当たり続けると屋根の表面温度が上がり、小屋裏や2階の室内温度を上昇させます。

ガルバリウム鋼板を採用するには、断熱対策を考える必要があるといえます。

また、薄いため衝撃に弱く凹みが出やすいことと遮音性、防音性が低いことです。

人によって感じ方に相違はありますが、雨音が気になる人もおられるでしょう。

防音性や断熱性を上げる工事をしようとすると、費用が高くなってしまうこともデメリットのひとつといえます。

 

まとめ

 

代表的な屋根材の特徴やメリット、デメリットを解説してきました。

それぞれに長所や短所があり、屋根を葺き替えるにあたって迷ってしまうことでしょう。

屋根は住宅を守る大切な部分、建物に合った良い屋根材に葺き替えたいところです。

予算をたてそれぞれの屋根材の特徴やメリット・デメリットを把握した上で、業者に相談することをおすすめします。