省エネ住宅にするために必要な知識を完全網羅!基準とポイントも徹底解説!
2022.01.10
省エネ住宅にするために必要な知識を完全網羅!基準とポイントも徹底解説!
省エネ住宅とは、どんな住宅なのか具体的に理解している人は、意外と少ないのではないでしょうか?
省エネ住宅とは、地球環境に優しいだけではなく、私たちの日々の暮らしにもたくさんの利益をもたらしてくれる住宅のことを指します。
今、世界中で深刻化しているエネルギー問題ですが、日本はエネルギー資源に乏しくほとんどが輸入に頼っているため、特に省エネルギーの必要性が高まっているのです。
エネルギーの元となる石油や石炭などの化石燃料を大量に使用することで、二酸化炭素の排出量が増え地球温暖化につながっていることは、大きな問題になっています。
2015年に採択されたパリ協定で、日本は2030年までに温室効果ガスの排出量を26%削減することが目標として定められました。
その背景から、省エネ住宅への注目は今まで以上に高くなっており、行政も省エネ住宅の普及に力を入れています。
この記事では、省エネ住宅にするための必要な知識を完全網羅し、省エネ住宅の認定基準からリフォームするポイントまで解説します。
家族の健康と家計にも優しい省エネ住宅とは
省エネ住宅とは、建築設備の省エネ化や高効率給湯器、太陽光発電などを利用して住居に生じるエネルギー消費量を抑えることができる住宅です。
省エネ住宅は、断熱性能・気密性能・日射遮蔽性能により冷暖房の効率を高め、冷暖房の設定温度を強めることなく季節を通して快適な環境にできることが特長です。
省エネ住宅は私たちの暮らしをさまざまな面で豊かにしてくれるのです。
省エネ住宅の主なメリットを紹介します。
・光熱費の削減
断熱性や気密性が高まると冷暖房の効きが良くなり、より少ないエネルギーで温度調節を行うことができます。
また、エコキュート給湯器や LED 照明などの効率の良い設備機器を導入することによって、エネルギー消費量を少なくすることができます。
エネルギー消費量が最小限に抑えられるということは光熱費も安くなるということです。
高性能な断熱材への入れ替えや窓をリフォームすることで費用はかかりますが、光熱費の削減が可能なので十分にカバーすることができます。
省エネ住宅にリフォームしてランニングコストを抑えましょう。
・支援制度である補助金や税制優遇を活用する
省エネ住宅の建築を支援する補助金や助成制度が実施されていて、リフォームやリノベーションに使える制度もたくさんあります。
省エネ住宅関連の補助金などの支援制度は、次のようなものがあります。
・グリーン住宅ポイント制度(国土交通省)
・ZEH 支援事業(環境省)
・フラット35 リノベ(住宅金融支援機)
・高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業(断熱リノベ)(環境省)
・次世代省エネ建材支援事業(経済産業省)
・長期優良住宅化リフォーム推進事業( 国土交通省)
また省エネ住宅支援制度の利用は、所得税や固定資産税の控除をするための条件になっています。
今、国は省エネ住宅を推奨していることもあり、手厚い支援制度が用意されています。
各自治体で確認し不明な点があれば、信用できる業者に相談することをおすすめします。
補助金や助成金、減税に至るまで、支援制度を活用し省エネ住宅を実現させましょう。
・省エネ住宅は健康住宅でもある
省エネ住宅にすることによって、高齢者に多いヒートショックのリスクが減少します。
ヒートショックとは、冬によくある部屋間の温度差や入浴によって血圧が急に上下し、脳卒中や心筋梗塞を起こすことをいいます。
断熱性を高めることで、住宅内の温度差が小さくなり血圧が安定するためヒートショックの発生が抑えられるのです。
真冬に、暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動して服を脱ぎ、熱いお風呂に入ると短時間で血圧が大きく変動します。
最悪の場合、命を落としてしまう危険性もあります。
省エネ住宅にすることで、ヒートショックを大幅に軽減することが可能です。
省エネ住宅は家族の健康を守ることができる健康住宅ともいえるのです。
政府が目指している「ZEH」
ZEH(ゼッチ)は、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅をいいます。
経済産業省では、エネルギー基本計画・地球温暖化対策計画といった、目標達成のために課題と対応策を整理した 「ZEH ロードマップ」を関係省庁等とともに策定しました。
「ZEHロードマップ」に基づいた取り組みを行うことで ZEH 住宅の普及を目指しています。
日本でのエネルギー消費量データを見ると、家庭におけるエネルギー消費量の割合は約15%にもなっているのです。
このため政府内でも省エネルギーの重要性が再認識されています。
ZEH は外皮の断熱性能を大幅に向上させ、高効率な設備システムを導入することを必要としています。
大幅な省エネルギーを実現し、再生可能エネルギーを導入することでエネルギー消費量の収支をゼロにすることを目標としています。
具体的な例としては、高性能の断熱材を採用し、窓も気密断熱性に優れた窓を採用することによりZEHの基準値をクリアさせます。
ZEHは、太陽光発電で発電させた電気で家庭の消費電力を賄い、蓄電池を利用して電気を貯めてエネルギーの収支をゼロにするということです。
ZEHの基準に近づけてエネルギーの無駄遣いをなくすことは、毎月のランニングコストを抑えることに繋がるのです。
省エネ住宅の認定基準
省エネ住宅と認められ、優遇措置を受けるためには、一定の基準値に達している必要があります。
省エネ住宅もさまざまな認定される基準や定義があるので、代表的な認定基準を解説します。
・省エネ基準
日本の省エネ住宅の基本となる基準で、2020年にはすべての住宅がこの基準に適合するよう義務化される予定でした。
しかし見送りとなり、結果的に今までどおり努力義務に留まることになりました。
基本的には従来の H25基準 、H11基準( 次世代省エネ基準)の内容になっています。
また、「グリーン投資減税」(所得税、固定資産税の優遇)の適用基準になっています。
・ 低炭素住宅
低炭素住宅とは、省エネ基準から10%エネルギー消費量を削減した住宅のことです。 HEMS・節水・木造・ ヒートアイランド対策のうち二つ以上を満たすことで行政から認定を受けることができます。
低炭素住宅と認定されると「地域型住宅グリーン化事業」「住宅ローン減税」といった補助金や減税制度の利用が可能です。
また、都市計画法上の市街化区域にある住宅でなければ認定は受けれられないため注意が必要です。
・ZEH(ゼッチ)
ZEH は具体的に太陽光発電などの省エネ機器を備え、発電量が消費エネルギー量と同等もしくはそれ以上となる住宅のことを指します。
実際には強化外皮基準といって省エネ基準よりも高い断熱性が求められます。
ZEH と認定されると 「ZEH 支援事業 」「ZEH +実証事業」「ZEH + R 強化事業」といった補助金減税制度を利用することが可能です。
またマンションの基準で「ZEH- M 」もあり、エネルギー削減率75%以上100%未満の「Nearly ZEH」ニアリーゼッチと呼ばれる基準も存在します。
・LCCM住宅(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅)
LCCM住宅とは、 二酸化炭素排出量を減らし、建材の製造や、住宅の建設や解体の過程で出る二酸化炭素との収支をマイナスにする住宅のことです。
LCCM住宅と認定されると「サステナブル建築物等先導事業」(省CO2先導型)による補助金を受けることができます。
ただし、補助金の対象となるのは戸建て住宅のみです。
省エネ住宅に必要な要素
日本の家庭のエネルギー消費は、約30%がエアコンなどの冷暖房で消費しているというデータがあります。
省エネ住宅を実現するには、夏は外からの熱い空気を遮ることと、冬は室内の暖かい空気を逃さないようにすることが必要です。
省エネ住宅に必要な要素を解説します。
・断熱性能と気密性能
断熱性能を高めるには、室内と室外の熱が移動するのを少なくすることが重要です。
暑い夏はエアコンで涼しくなった冷たい空気を外に逃さないようにして、外の熱が中に侵入しないようにすることがポイントです。
気密性能を高めるには室内と室外の空気の移動を極力減らし、室内の温度を一定に保つために無駄な隙間を減らすことが必要です。
しかし、隙間が無く完全に密閉された空間にしてしまうと、室内の空気循環が悪くなるため、必要な換気量を確保することも必要です。
・ 日射遮蔽
夏に室内の温度が上がってしまう原因の一つに、外気の温度だけではなく、窓から差し込む日射熱の影響があります。
窓からの日射を遮蔽し、室温の上昇を抑えることで、エアコンの使いすぎなどの無駄なエネルギー消費をしないようにすることが必要です。
一次エネルギー消費量
一次エネルギー消費量とは、建築物のエネルギー消費性能を評価するときの評価指標のひとつで、建物の利用に伴う直接的なエネルギー消費量をいいます。
一次エネルギー消費量は、電気やガスなどの消費量を石油や石炭、原子力、水力、太陽光などの資源に換算したものです。
住宅については、暖房設備、冷房設備、換気設備、照明設備、給湯設備など設備機器のエネルギー消費量が一次エネルギー消費量として表されます。
また、UA値は外皮平均熱貫流率といい、断熱性能を表す単位です。
UA値が小さいほど熱伝導率が低く、断熱性が高いという意味です。
省エネ住宅にするためのリフォームポイント
住宅の中で、エネルギーを消費するものといえば、冷暖房や給湯照明家電などが挙げられます。
特に冷暖房は、家庭のエネルギー消費の30%を占めており、大変多くのエネルギーを消費しています。
冷暖房の効きを良くして使うエネルギーの量を減らすためには、断熱性をあげることが重要です。
住宅の断熱性を高めると室温の保持がしやすくなり、エアコン自体の出力や台数も少なくて済むのです。
・断熱材を高性能に取り替える
断熱性を高めるには 、現状の断熱材の効力が無くなっていないか確認することが必要です。
断熱欠損を起こしていたり隙間があり断熱材が剥がれていたり、天井などはもともと施工時にしっかりと取り付けていない場合もあります。
現在の 断熱材の状況を確認して、新しい高性能の断熱材に取り替えましょう。
断熱材の種類にはグラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ウレタンフォームなどがあり、それぞれにメリットデメリットがあるので業者に相談しましょう。
・開口部の断熱性を上げる
住宅の開口部である窓や玄関ドアは最も熱の出入りが多いので、断熱性を上げる必要があります。
断熱材を取り替えるリフォームをしたいけれど予算に余裕がない方は、まず開口部の性能向上を優先しましょう。
窓は、複層ガラスやLow-Eガラスに交換することや樹脂製のサッシにすることで断熱性を高めることができます。
玄関ドアも断熱性の高い製品に交換するのがベストです。
窓のリフォームで最も効果が期待できるのは、内窓をつける2重窓のリフォームです。
・季節に合った日射対策をする
夏は強い日差しが窓から入ってくると室内の温度が上昇してしまいます。
日差しを遮るために窓ガラスの交換や2重窓が効果的ですが、外付けのシェードやオーニングなどを利用し日差しをカットすることも重要です。
・設備は最新の製品を選ぶ
エアコンや給湯器など年々省エネ化が進み、新しい機種ほど効率が良くなっています。
リフォームやリノベーションのタイミングで設備を交換したり家電を買い替えたりする場合はエネルギー消費の少ない最新機種を選ぶことがお勧めです。
例えば給湯器であればエコキュートやエコジョーズ、ハイブリッド式などの高効率タイプがお勧めです。
優遇を受けられる省エネリフォーム
省エネ性能が高い住宅の場合、国からの優遇が受けられることもポイントのひとつです。
省エネリフォームすることで、さまざまな補助金が適用できます。
例えば、高い省エネ効果を発揮する低炭素住宅に認定され、なおかつ長期にわたり良好な状態で住環境を保てると認定された住宅に長期優良住宅があります。
省エネ住宅に認定されることにより、所得税の特別控除や固定資産税の税額減税などの優遇措置を受けることができます。
まとめ
省エネ住宅にリフォームするということは、CO2による地球温暖化対策だけではなく、限りある資源を、後世の子供達に残していくことに繋がります。
そのためには、エネルギー消費削減のために、何ができるのかを考えていかなければなりません。
住宅で消費しているエネルギーを、少しでも減らしていける省エネ住宅を実現するために一人一人が真剣に取り組むべき問題なのです。
まずは、光熱費を削減する目的でどのようなリフォームが可能なのか業者に相談するところからスタートしてみましょう。
国の補助金や減税措置などの支援制度を活用できる期間に検討することをおすすめします。