木造住宅の耐震補強の方法はどうすればいいの?地震に強い家の作り方を解説!

2022.04.20

地震災害の際、自分の家は倒壊しないのだろうかと不安に思っておられる方も多いのではないでしょうか。

日本の建築基準法では、住宅の耐震性能の最低限の基準として耐震等級1を超える性能が求められています。

耐震等級1とは震度6から7程度の地震で倒壊しない、また震度5強の地震で構造に損傷を与えない性能レベルです。

耐震診断を受けて耐震性能が不十分と判断された場合には、耐震補強を検討しなければなりません。

地震に強い家を作るには建物を支える地盤や基礎、または柱や梁、壁といった構造体の補強が必要です。

今回は地震が来ても安心できる強い家の作り方を解説します。

 

地震に強い家は足元が肝心

 

近年ハウスメーカーでも地震に強い家というキャッチフレーズで住宅を販売している所がたくさんあります。

しかし建物がどんなに耐震性が高くても、地盤が弱ければ液状化や地盤沈下で建物そのものが傾いてしまうかもしれません。

そのようなことが起こるとせっかく高い住宅を建築しても元も子もありません。

自宅の地盤の詳細が知りたい方は、地盤調査を行うかハザードマップを活用すると地震が起きた場合の揺れ具合や浸水などが予想できます。

近年は、新築住宅を建築する際は必ず地盤調査を行うので心配はありませんが、築年数の古い建物になると地盤の状況は分からないこともあります。

また、地震に強い家を作るためには、建物を支えている基礎が重要になります。

基礎はコンクリートでできているのですが、築年数の古い建物で鉄筋が入っていなかったり、入っていてもかなり劣化していたり、ひび割れなどが目立つようなら補強工事が必要でしょう。

 

構造体を強固にする

 

木造住宅の建物は、土台や柱、梁などの構造部分を強固にすることによって地震に強くなります。

まずそれぞれの接合部をしっかり補強することが重要です。

2000年の改正建築基準法では、木材と木材の接合部にどの金物を使うかが細かく定められました。

基礎と土台を一体でつなぐ金物や、柱と梁のずれを防ぐ金物などを使って固定します。

しっかりと固定することで、耐震性が向上します。

次に、筋交いを入れたり構造用合板などを使ったりして耐力壁を増やし壁の強度をアップさせます。

強度を比較すると、構造用合板で補強すれば壁倍率は最大5倍までにアップし耐震性の向上を図れます。

ただし耐力壁は多ければいいというものではなく、一階と二階の耐力壁の位置を揃え、バランスよく配置しなければ地震の際に揺れやねじれに対する強さが発揮できなくなります。

建物は地震の際にバランスよく揺れることが重要で、偏ると部分的な損傷を負ってしまう可能性もあるのです。

また、耐力壁として構造用合板が入れられない場合は、鋼製ブレースなどを使用することも可能です。

地震の揺れをブレースが吸収し力を逃してくれます。

各メーカーがさまざまな耐震パネルを開発販売しているので、どの製品を使用するのがベストなのかを業者と相談しましょう。

 

制振機能を追加させる

 

地震に強い家を作るためには耐震補強が大切です。

耐震補強は必要に応じて、金物や構造用合板、耐震パネルなどを使用して建物が地震時に倒壊しないように強度を高めることが基本です。

耐震性を向上させた上で、地震対策として注目されているのが免震と制震です。免震とは建物と基礎の接合部分に装置を入れて、衝撃が直接伝わらないようにする仕組みです。

制振とは柱や梁などの構造材に、器具やダンパーなどを取り付けることで揺れを吸収し衝撃を緩和させる方法です。

したがって、金物や耐力壁で揺れに強い構造の建物に耐震性を向上させ、器具やダンパーなどで揺れを吸収する装置もプラスアルファで設置すればより地震に強くなるのです。

 

軽量の屋根に葺き替えで耐震性をアップする

 

現在の建築基準法では、建物の重量によって耐力壁の必要量を定めています。

基準となるのが主に屋根材の重さです。

昔からある陶器の日本瓦やセメント瓦などは、重量があり耐震性は低くなります。

特に日本瓦の土葺き工法は、瓦の下に土があるため非常に重く建物にとって負担がかかっています。

現在は日本瓦の工法として桟木の上に葺く桟葺きに代わり、新しく日本瓦を葺く場合はほとんどがこの桟葺き工法です。

材木を使って瓦を葺いていくので、土葺きに比べ重さが半減し耐震性もアップするため日本瓦の葺き方の主流になっています。

他の屋根材は、近年の新築住宅によく使われている一般的なスレート瓦や金属屋根があります。

住宅を設計する際に、屋根材の重さが耐震設計やリフォームにも深く関わっているので、軽い屋根材を採用することが多くなっているのです。

例えば、耐震診断で壁量が不足していると判断された場合には、窓を減らして壁を補強する方法があります。

しかし、屋根材を軽量なものに葺き替えることで耐震性が上がるため、既存の開口部を残す事例もよくあるのです。

まず、耐震性の観点から自宅の屋根材が重い屋根材なのか軽い屋根材なのかを知っておきましょう。

また築年数の古い木造住宅に多いのが陶器で作られた日本瓦ですが、非常に耐久性が高く長寿命の特徴があります。

しかし重量もかなり重いので、その荷重をしっかりと支える構造体が必要になってきます。最近の住宅は、スレート瓦や金属系のガルバリウム鋼板などの軽量の屋根材が主流になっているのが現状です。

このような屋根材は定期的なメンテナンスが必要ですが、地震の多い日本に適した耐震性の高い屋根材といえるでしょう。

 

屋根材の選択は施工方法とメンテナンスが重要

 

建物の耐震性を考えると屋根材は軽量に越したことはありませんが、立派な日本家屋にはやはり日本瓦が似合います。

日本の伝統的な古来から伝わる日本瓦は風格と味わいがあります。

重量のある日本瓦の屋根材は、必ずしも地震に弱いというわけではありません。

屋根が重いため、それを支える土台や構造を強くしてバランスの取れた躯体を作ること、また落下を防ぐために漆喰の補修などの定期的なメンテナンスを行うことが重要です。

どのような屋根材でも大切なのは、定期的なメンテナンスと劣化の補修です。

特に屋根の下地である野地板や防水シートなどは、経年劣化で傷んでしまうこともあるので、大きな損傷が見られる場合は葺き替えて防水処理からやり直すことが望ましいでしょう。

 また近年では、さまざまな耐震性を考えた軽量屋根材が開発され販売されています。

見た目は日本瓦のように風格があり、重厚感も兼ね備えた軽量の屋根材もあるので業者に相談しましょう。

 

耐震・制振・免震とは

 

住宅も耐震対策には大きく分けて3種類の考え方があります。

耐震・制振・免震について解説します。

 

・耐震とは

 

耐震とは 地震の揺れに耐える強さを備えるというものです。

大地震の揺れは、突き上げるような下からの縦揺れとその後に続く横揺れが基本です。

それに対して上下の揺れで基礎から柱が抜けたりせず、その後の横揺れに対しては建物基本構造が押しつぶされないような構造にします。

具体的には、建物が変形しないように柱と梁が接合している部分をしっかり固め、また筋交いや壁で補強をしていきます。

 

・制振とは

 

制振とは揺れを制御して小さくするという考え方です。

具体的には、建物に作用する横からの力を制振ダンパーと呼ばれる機材で吸収するのです。大きな揺れのエネルギーもダンパーが吸収するため揺れが小さく収まります。

 

・免震とは

 

免震とはそもそも地盤と建物の関係を切り離してしまうという対策です。

地震の際に免震装置が地震の揺れを吸収することで、建物に揺れが伝わりにくくするものです。

具体的には、アイソレーターとダンパーが柱の間に使用され、アイソレーターは建物を支える地震の時に建物をゆっくりと移動させます。

また、ダンパーは建物を支える役目ではなく、アイソレーターだけではいつまでも揺れが続くのを止めることはできないのでダンパーがそれを抑える働きをするのです。

 

 シロアリ対策をしておく

 

木造住宅の大敵は、シロアリで構造体が弱くなってしまうことです。

シロアリはジメジメした湿気の多い暗い場所を好みます。

土の中から床下に侵入することが多いため、普段は目につくことがありません。

床下調査をしてもらったりホームインスペクションなどで点検して、初めて気づくというケースも少なくないようです。

リフォームのために解体工事をしてみたら、土台や柱、壁などに深刻なダメージが発覚することもよくあります。

こうなってしまっては、建物の強度や耐震性が著しく低下してしまうので、業務計画を変更し構造部分の補修や取り替えなどを優先することになるのです。

シロアリは木材を好んで食べるのですが、実はあらゆるものを食い散らす生物です。

例えば発泡スチロールやプラスチック、ゴムや革製品、洋服などの繊維類、住宅に施工されている断熱材なども食物の対象になります。

シロアリは餌を求めるために遠くからでもやってくるので、被害を最小限に抑える方法は早期発見の他にはありません。

分かりやすい事例としては夏場に出る羽アリの存在ですが、シロアリは建物に入ってくる時に蟻道というトンネルの通り道を作ります。

基礎や土台に蟻道がないか、砂粒状の糞がないかを確認しましょう。

土台や柱にまで被害が進むと床が沈んだり、建具の開け閉めがしにくくなったりと不具合がたくさん出てきます。

最近、建て付けが悪くなってきたとか、床が柔らかくブカブカしてきたなどの症状が当てはまるようであれば早めに点検をしてもらいましょう。

そのまま放置していると、どんどんシロアリの食害部分が増え、取り替え費用が高額になってしまうこともあるので注意が必要です。

 

シロアリ対策①湿度を調節する

 

日本は木造住宅が多く高温多湿な気候のため、もともとシロアリの被害を受けやすい環境にあります。

シロアリによる木部の食害を防ぐためには、まずシロアリが好む湿気の多い場所を作らないことです。

つまり湿気対策と雨漏りの対策が必要なのです。

特に気をつけたいのが壁の内部で、気密性が高まると壁の中に結露やカビが発生しやすくなります。

外壁のひび割れやコーキングの劣化などから、雨水が侵入し壁の中の材木を湿らせてしまいます。

壁内の通気性を確保し、室内側には調湿効果がある内装材などを使って湿度を調節することが最も重要です。

大がかりなリフォームをする場合には、断熱材の取り換えなど壁内の通気性をもう一度見直し確認しましょう。

また、室内側はビニールクロスではなく珪藻土や無垢材など調湿効果のある材料を壁に施工するのが理想的です。

建物にシロアリの被害が出ると、土台や柱などの構造体が弱くなり耐震性が悪くなってしまいます。

地震の被害を最小限に抑えるためにもシロアリの点検は定期的に行いましょう。

 

シロアリ対策②防蟻効果のある資材を使う

 

シロアリの特徴として、木の柔らかい部分を好んで食べるため、建築資材に硬い材木を使用することでシロアリを防げます。

具体的には、ヒバや台湾杉などが硬い材木として有名です。

 

 

硬い木は特にウッドデッキなどに採用され、雨が直接当たる場所なのでシロアリの繁殖に注意が必要です。

腐食に強い材木を選んで防腐処理などを行い、雨が降ったら濡れたまま放置せずに水切りワイパーなどで水分を拭き取ると良いでしょう。

湿気をできるだけ逃して、木材が腐食しないように防止することが重要です。

腐って柔らかくなった木材は、シロアリにとっては格好の住みかとなってしまいます。

 

他には、耐震性を高める耐力面材にも防蟻効果を期待できるものが存在します。

透湿性能が高く壁内部の結露を軽減する特徴があるので、シロアリが関心を持たない無機材料で構成され食害への不安を軽減できます。

このような防水性のある建築材料を使用するだけではなく、定期的にシロアリの調査やメンテナンスを行うことが耐震性を維持する重要なポイントになります。

 

まとめ

 

耐震補強の方法や地震に強い家の作り方について解説してきました。

地震に強い家を作るには、まず地盤が弱くないか確かめましょう。

いくら耐震性の高い住宅を建てても地盤が弱ければ何もならないので、自宅の地盤の状況を把握しておくことが必要です。

次に耐震診断を行い、どこにどのような耐震補強をすれば良いのかを判断しましょう。

より地震対策の精度を上げるには、ダンパーなどを設置し制振機能を充実させる事も必要です。

他には、構造体がシロアリ被害に合わないよう、常に外装のメンテナンスや床下などの湿度を調整することも地震対策のひとつです。

一度床下を含め業者に点検してもらうことをおすすめします。