リフォームで夏の暑さ対策を!暑さに強い家を作る方法を徹底解説!

2021.07.30

暑い日が続き、2階の部屋が暑すぎるとか、エアコンをつけたら涼しくなるけど電気代が高くつくなど、夏の暑さに対する住宅の悩みはつきないものです。
そもそも暑いと感じるのは、どのような現象が起きることなのでしょうか?
暑さのことを正確に理解しないと、どのような対策を取るのがベストなのか分からないものです。
人はどのような時に暑く感じるのか、暑さを避けるにはどのようなリフォームが必要なのかなど、暑さの根本的な部分を掘り下げて解説します。

 

熱の伝導について

人は、温度が高ければ高いほど暑く不快に感じます。
しかも、同じ温度でも湿度が高い方が不快に感じてしまいます。
湿度が高いと上気道の水分と重なり肺に水分が入りすぎて息苦しくなるからです。
人が暑くて不快と感じる理由には、湿度がとても重要な影響を与えているのです。

気温が25℃より高ければ人は暑いと感じ、湿度が80%になれば気温が低くても不快になります。
人が快適に感じる温度と湿度はその辺りがボーダーラインになるようです。
このように空気を媒体として、人に熱が伝わる状況を伝導といいます。

住宅では、エアコンの冷房モードよりも、除湿モードを使用した方が涼しさを感じるのは湿度を適正な値にするからです。
日によっては湿度が高い時もあるので、エアコンを上手く使いこなすことが必要です。

 

熱の放射について
気温と湿度が同じであっても、人は同じように快適に感じたり不快になったりするわけではありません。
アスファルトの上を歩いている時と、土の上を歩いている時では感じ方は違います。
これは、輻射熱による違いで、蓄熱したアスファルトから赤外線が発していることが原因です。

その赤外線には、波長の長さによって、近赤外線と遠赤外線があり、吸収され温まる場所が異なります。
近赤外線は人体の表面のみが温まり、内側までは届かずなかなか温まりません。

これに対して遠赤外線は人体にも吸収されやすく、内側まで届き暖かくなります。
人は気温にかかわらず、このように赤外線を発している熱い物体の放射熱で、より暑く感じてしまうのです。
つまり、住宅の窓やサッシが温められるとその放射熱が部屋に伝わり暑くなるように、エアコンをつけていても、窓付近が暑く感じるのは
そのような理由からなのです。

 

熱の対流について
マンションやビルの階段室では、低層階の気温より高層階の気温の方が高いことがあります。
これは、暖かい空気は冷たい空気よりも低密度になるために、浮力により上昇していくためです。
一方、冷たい空気は下へ降りていくために、下へ行くほど涼しく感じます。
住宅でいえば、吹き抜けやロフトに上がった時に暑さを感じる現象と同じです。
新築の住宅を建てる時、デザインばかり重視して暑さ対策は二の次になってしまい、吹き抜けやガラス張りの家のデザインが
暑さの原因になっていることがよくあります。
このように、熱の対流で上に行くほど人は暑いと感じるのです。
リフォームを検討している人は、空気の流れを意識すると夏の暑さ対策になります。

 

気化熱について
気化熱とは、液体の物質が気体になるときに周囲から吸収する熱のことを指します。
液体が蒸発するためには、熱が必要でその熱は液体が接しているものから奪って蒸発します。
つまり、汗をかいているときに扇風機にあたると、汗が接している体から熱を奪って蒸発するために涼しく感じるのです。
昔からよく行われている玄関先に打ち水をするのも、気化熱を利用した涼をとる知恵なのです。
朝夕玄関先に水を撒くだけでも温度は変わってくるでしょう。

 

太陽光や熱い外気を室内に入れない
夏の暑さ対策として、冬にはたくさんの太陽光が欲しくなりますが、夏は太陽光をいかに避けるかが課題です。
夏のことだけ考えれば開口部を少なく設計すれば良いのですが、四季のある日本では偏った設計ができません。
夏にできる限りの太陽光を遮断し、冬には最大限に取り入れることができれば快適な住環境が実現できます。

住宅の暑さ対策としては、遮熱効果のあるルーバー(ブラインド)を活用することがおすすめです。
遮熱カーテンなど窓の内側につけるのも悪くはないですが、どうしても部屋に光が入らず暗くなります。
部屋が暗くなってしまっては、いくら暑くても気分が良くないので、光を取り入れながら太陽光をカットするルーバーは、理に叶った方法といえます。
住宅の全ての窓にいえることなので、ルーバーを上手に活用することをおすすめします。

 

空調設備を理解し上手く利用する
エアコンの仕組みを理解する上で重要なことは、室内のエアコンと室外機、それらをつなぐ冷媒の存在です。
室内のエアコンから冷たい冷気が吹き出しますが、それと同時に同じ風量の暑い空気が室外機から放出されることが必要になります。
効率的に熱を放出するためには、室外機の前に遮るようなものが無い適切なスペースが必要です。
室外機から上手く熱が放出されないと冷房が効かなくなるからです。

また、一般的にルームエアコンというと、室内エアコンと室外機が一対一で対応しているもので、マルチエアコンは室外機1台に対して
複数の室内機が設置可能です。 マルチエアコンは室外機が設置できるスペースが少ない住宅では大変便利でおすすめです。

マンションなど室外機の設置場所に制限があるところにも有効な空調設備です。
また、IoTやAIに対応したシステムを活用することも可能で、外出先からスマートフォンで遠隔操作によりエアコンのスイッチを入れることができます。
逆に、エアコンを消し忘れた時でも外出先からスイッチをOFFに操作することもできるので大変便利です。
IoTは、家庭のさまざまな機器と連携、コントロールすることで、安心で便利なシステムといえます。

 

照明を全てLEDに変える
照明をLEDに変えると、発熱量がダウンして室内の気温を抑えることができます。
省エネ効果や寿命が長いことで知られているLEDですが、発熱量も少なく赤外線をほぼ発しません。
LEDは蛍光灯と同じくらいの発熱量なので、白熱灯のように熱くならないのです。
今の時代は、ほとんどの照明はLEDに変えることができるので、室内の気温が上がらないようにするためにもLEDに変えることがおすすめです。

 

外装部分の仕様を上げる
外部からの熱を遮断するためには、住宅の外装部分である屋根・外壁・開口部の仕様を上げることが必要です。
直射日光を浴び、暖かく熱せられた外気を真面に受けている部分は過酷な状況にあります。
それを回避するためには、屋根材には遮熱効果が必要であり、外壁は断熱効果でエアコンで冷やされた空気を外に逃がさないことです。
屋根と外壁は、遮熱塗料や断熱塗料で塗装をすることがおすすめで、開口部である窓は熱を伝えにくい樹脂サッシを使用すると良いでしょう。

また、窓ガラスに関しては、ガラスの内側にLow-Eコーティングされたペアガラスやトリプルガラスを採用することが望まれます。
Low-Eガラスとは、冬は室内の暖かい熱を逃がさず夏は太陽熱を適度に遮熱する特殊な金属膜のことです。
Low-Eコーティングされたペアガラスとそうでないペアガラスを比較すると、熱の反射率が20%程度高いというデータもあります。
また、直射日光を透過させる透過日射も37%の差があり、暑さ対策の効果を発揮します。
窓のリフォームを検討するなら、少なくともLow-Eコーティングされた窓ガラスにすることをおすすめします。


風通しを考えて窓をリフォームする
真夏の真っ最中は朝からエアコンをつけてしまいますが、比較的気温が低い午前中などは、風を通して部屋を涼しくすることが大切です。
風を通すことで、室内のこもった空気を追い出し新鮮な冷たい空気を取り入れることができます。
風通しが良い家とは、風の入り口と出口があり風の通り道がしっかりと確保された家のことです。
また、風向きによって上手く風が入ってこない窓も開き方を変えることで、風を室内へと取り込むことができます。

例えば、普通の引き違いの窓や上げ下げ窓で風がいつも素通りするなら、外へ開く縦滑り窓で風を捉えて室内へ入るようにします。
明かり取りのためについているFIX窓も、開くタイプの窓に変えることで今まで通らなかった風が取り込めます。
窓の開き方ひとつで風の通りが変わるので、既存の窓に施工できるカバー工法でリフォームすることがおすすめです。

また、網戸の網糸が細いタイプの網戸を使えば、風の抵抗が減少するので通風量がアップします。
網戸にしてもあまり風が入ってこないのであれば、このタイプに変えることが良いでしょう。
他には、通風ルーバー付きの雨戸に変えることで雨戸を閉めていても風の出入り口を確保することができます。
窓ガラスを保護しながら風を通すことができるので、風が強い時でも安心です。

 

風通しを考えてドアをリフォームする
住宅の風通しは、窓だけではなく室内建具のドアや玄関ドア、勝手口のドアからも風の流れを作ることができます。
室内の建具は、ルーバーがついているものがあり、ドアを閉めていても室内の空気の入れ替えや風通しに役立ちます。
プライバシーを守りながらも風を通して快適に過ごせるので便利でおすすめです。

 

また、玄関や勝手口から風を入れることで、家全体に風の通り道が作られ、2階まで風が抜けることにより室内の気温を下げることができます。
玄関ドアも通風可能なデザインがあり、防犯やプライバシーを配慮しながら玄関の空気をリフレッシュさせることが可能です。
工事も思っているより簡単で、既存の窓枠に被せて施工するカバー工法により、壁を壊すことなく住みながら1日で、新しい玄関ドアに取り替えられます。

他には、玄関ドアや引き戸にも網戸を取り付けることがおすすめです。

使わない時には、アコーディオンのように折り畳むことができるのでスッキリと収納できます。
玄関から風を取り込むことができれば開口が大きいので風の流れも良くなります。

一方、勝手口ドアが通風タイプでない場合は、上下にスライドするタイプの勝手口ドアにリフォームしましょう。
面格子付きで、ペアガラスなので防犯と断熱にも効果があり、工事も玄関ドアと同様に1日で施工することができます。
暑さ対策には、エアコンに頼るだけではなく風の流れを作ってくれるドアにリフォームすることをおすすめします。
それによって電気代を節約することが可能で、ランニングコストを抑えることができるのです。

 

ベランダに屋根を取り付ける
2階にベランダがある住宅は、ベランダに屋根を取り付けることがおすすめです。
紫外線対策にもなり、日の明るさを取り入れつつ遮熱することができます。
物干しもつけることができるので、ベランダで洗濯物を干すなら、日焼けも防ぐ効果もあるので大変便利です。
窓への直射日光による熱をカットするポリカーボネート屋根材が、室内の明るさをそのままに冷房の効率をアップしてくれます。
工事も最短で1日で取り付け可能なので、今すぐ相談すればこの夏の電気代を安くすることもできます。

 

内装リフォームで湿度を下げる
冒頭で解説したように、人は気温だけで暑さを感じるのではなく、湿度が高い環境で不快になります。
湿度を抑えるには、自然素材の内装材にリフォームすることがおすすめです。
近年の内装材は、施工効率が良く安価なビニールクロスが主流ですが、一方ではシックハウス症候群や化学物質過敏症も問題視されています。
そのような背景から住宅の内装に自然素材を使用したいという声も多く、土や木の素材による内装が見直されているのです。

自然素材の良さは、たくさんの孔(空気を含む穴)がある構造であるため、熱伝導率が低く暑い外気の影響を受けにくい性質があります。
調湿効果により室内の湿度を抑えることで、暑さを感じることの軽減につながるのです。
湿度は、体感温度を左右するので適度な調湿効果は、温度管理だけでは得られない快適性を得られます。

ビニールクロスにはない効果がある自然素材の内装材は、断熱性、調湿性、消臭性にも優れているのでおすすめです。
珪藻土のクロスやエコカラット、無垢の板を天井や壁に貼ることも効果がありますし、実際に直接壁に珪藻土を塗るのも良いでしょう。
ビニールクロスより価格は上がりますが、暑さ対策だけでなく梅雨対策や冬の結露対策にも効果を発揮するので、価値のあるリフォームになります。
高温多湿の日本の夏を快適に過ごすために内装材のリフォームは、大変効果的といえるでしょう。

 

まとめ

夏の暑さ対策には、さまざまな方法で暑さを凌ぐことができます。
自分でできる簡単な対策もあれば、業者に依頼しないとできないこともあります。
人が暑さを感じるのは、どのような時なのかを理解し、自分でできる対策は行った上でより一層暑さの対策をレベルアップさせるためにリフォームを検討しましょう。
比較的簡単なリフォーム工事でも材料や施工方法を工夫することで、暑さ対策に必要な遮熱や断熱を実現できます。
節電や省エネを考えランニングコストを抑えながら、CO2削減にも役立つリフォームをすることがこれからの住宅には重要なポイントなのです。