宮城県大崎市・古民家改修/門間様

解体から一転、歴史ある 家屋を残すことに

日本有数の渡り鳥の飛来地である蕪栗沼や、桜の名所の加護坊山で知られる宮城県大崎市。そこに、築200年を超える古民家である門間様邸はあります。村長だった祖父の代より地域に親しまれていた場所でしたが、東日本大震災で壊滅的な被害を受け、解体を余儀なくされます。ところが、屋根と柱だけになったところであらためて専門家に調べてもらうと、修繕の余地があることがわかりました。「先祖代々大切に暮らしてきた家を、これからも人々が集える場にしたい」そう考えていた門間様はさっそくクラシタスへ相談し、リノベーションへと舵を切ることとなりました。

思いと技術で安心して 過ごせる空間に

Before
after

門間様のご希望は「祖父の代から続いているクリスマス礼拝ができる場にしたい」ことと、「お正月に餅つきをするためにかまどを残したい」こと。そこで、間取りを大きく変えて広いスペースを確保し、集会室や展示室をつくりました。そして土間にはかまども設け、外観はモダンに白壁と黒い木地に。「上がすっきり、下がどっしりとした感じがいいね」と門間様にもご満足していただけました。一方、リノベーションでは家屋の基礎の見直しも重要です。古民家はどうしても長い歳月を経て歪んできてしまいます。この歪みは、ただ家屋が傾くというだけでなく、場合によっては木材が腐蝕し建物の寿命を縮めてしまうこともあります。門間様邸も度重なる地震の影響から、家の土台となる部分が沈み込んでいました。また、ガラス戸だった壁面は地震に弱く、震災時に家を支えきれませんでした。そこで、土台をきちんと正すことと、ガラス戸を耐震壁に変更することで、耐久性を向上させました。このように、門間様の思いとそれを支える技術を両立させたリノベーションで、歴史ある古民家を末永く安心して過ごせる空間に再生することができました。

多くの人に親しまれる場として

現在、門間様邸は『桜田屋敷』と名称を定め、郷土料理を提供する飲食店が入っています。弊社のイベントでも利用させていただき、開放的で懐かしい空間は参加頂いた方々にとても好評でした。そして、祖父の代から続いていたクリスマス礼拝も再開しているといいます。さらに、地元の有志とともに、桜田屋敷から加護坊山までの散策路を整備。今後、トレッキングの拠点としての活用も期待されています。都会の喧騒から離れ、心静かに豊かな時を過ごせるこの場所は、これからより一層多くの人に親しまれる空間となることでしょう。