父の跡を継ぎたい

クラシタス会 大工工事担当
遠藤 徳男

職人たちの動きに向けられる鋭い眼差し。まるでまっすぐな立木のような立ち姿。この方が遠藤徳男さん。岩手支店が大工仕事をお任せする遠藤工務店の親方です。

遠藤さんが生まれ育ったのは地元岩手。安倍貞任や源義経の合戦で有名な衣川地区で、同じ大工だったお父様の背中を見て育ったと言います。そのせいでしょうか。中学校を卒業するとそのまま同じ大工の道へ。「父の跡を継ぎたい」と言う思いからお父様の一番弟子だった方へ弟子入りし、大工仕事のいろはを学びました。

  • 職人の流儀

    修行先は名古屋。初めて県外に出る興奮。胸を焦がす夢と希望・・・。夜行列車に飛び乗ってからも、ほとんど眠れなかったといいます。 こうして始まった修行の日々。師は熱田神宮など高名な寺社を手掛ける名工でした。当然、すぐに自分の親方や先輩達と同じ現場に立てると思っていた遠藤さん。しかし、言いつけられたのはカンナ仕事だけでした。ひたすら木材を削る毎日。現場に立つどころか、寺院の敷地に入る事も出来ませんでした。「丸一日削っても親方からのOKはでなかった」という遠藤さん。「技術を磨く前に木材を知れという教えだったんだろうな」と苦笑します。 ひたする修行に専念し、岩手に戻ったのは22歳の頃。お父様から仕事を受け継ぎ「遠藤工務店」を開業。以来、寺社建築の知恵と技術を地元の建造物に活かしています。 今、最も大事にしていることは「道具を握る前にひとを知る事」。若い職人にも、施主様と言葉を交わすことの大切さを説いています。それは、あのカンナ仕事から学んだ教訓。木材もお客様もそれぞれ性質や思いが異なるもの。その個性を知り、思いを知らなければご満足いただける仕事は出来ないのです。これこそクラシタスが頼りにする「遠藤流もの作り」。お客様の笑顔と、長く住み継いでいただける住まい作りに欠かせない「職人の流儀」なのです。