原点は両親の仕事ぶりを見て育ったことと一つのことに打ち込む追求心

クラシタス会 板金工事担当
清水石 浩司

  • とにかく先輩の仕事を観察し覚え反復しひとつひとつ技術を身につける修行の日々

    地元、石巻市内の高校を卒業後、板金職人として10年を超え、現場になくてはならない存在となっている清水石浩司さん。居酒屋を営む両親と、その料理を食べて喜ぶお客様の姿を見て育ち、「自分もいつか両親の様に自分の腕でお客様に喜んで頂く仕事がしたい」。寡黙だが、一つのことに打ち込み追求心溢れる性格は、いつしか建築の世界の「職人」を目指す様になった。一年目から修行の日々。教えてもらえるのが当たり前の高校時代から一変、職人の世界は違う。尺や寸等、聞いたこともない言葉が飛び交う。教科書は無い・・・見て覚えろ!仕事を盗め!のんびりやっていたのでは陽が暮れるぞ!の叱咤の毎日。目まぐるしい現場では、とにかく先輩から目を離さず作業を観察し、今日の作業が明日の何に繋がるのかを毎日自宅に帰ってから一冊のノートにまとめた苦い思い出。完成予想図が無いパズルの様な毎日でしたね・・・と当時を振り返ります。

  • 経験を積んでいくことが自分を成長させ新たな仕事へのチャンスとなる

    これまでで一番忘れられないのは、自分の腕に自信がつき始めた4年目の春。先輩から「今日は俺が黙って見ているから、自分で屋根を葺いてみろ!」と言われた時。それまでは指示された通り動けば良かったが、後ろで先輩が見ているとはいえ、全て自分で考え決断しなければならない。もちろん金属に一旦ハサミを入れたらもう元通りにならない。「これでいいですか?」という一言を先輩に掛けたい、しかし、「これまで何を見てきたんだ」と言われたくないというプライドと闘争心に火がつき、「絶対やってやる!!」という一心で屋根と対峙した。初めて任された屋根が完成したその時、「あとはスピードだな!よくやった!」と肩を叩いてくれた先輩の言葉が今でも脳裏に刻み込まれている。

  • 目標としていた技能士一級の資格を取得。今後は匠と呼ばれる職人を目指す

    屋根の魅力は一つとして同じものは無いことと語る清水石さん。一口に屋根と言っても金属板を葺いていけばいいと言う単純なものではなく、外壁と屋根の接点となる雨押さえの納まりや屋根の頂上部の主棟や下り棟の納まり、又、雨が降った時にどう雨水が屋根を這い雨樋に流れ込むのかを計算しながら一軒一軒違う形状の屋根の機能性と美観性の追求に誇りを持っている。完成後にお客様からいただく笑顔の数はまだまだ両親が作り上げてきた数には足りませんね!と、原点となった「喜んで頂く仕事」に対する追求に余念はない。又、目標であった板金技能士一級の資格も取得でき、これを機にに板金だけでなく、大工や塗装、様々な技術を兼ねそろえた職人を目指すという。休日はボランティアで障がい者にサッカーの指導を行う等、仕事だけではなくスポーツやボランティアを通し地元の人達に貢献して行きたいと語る。三人の子宝にも恵まれ、若い一家の大黒柱として地元石巻の復興を背負い今日も邁進する。