クラシタス株式会社

実績紹介

浄土真宗 本願寺派 光源寺 様

厳しい風雪に耐え得るしっかりとした屋根を

オホーツク海に面する北海道紋別市。その冬の厳しさは格別だ。積雪は多い時で1m50㎝、気温はマイナス30度にも及ぶ事がある。特に流氷が流れ着く時期は、氷の上で冷やされた風が、頬を刺す鋭さで吹き込み、ときに氷がきしむ音まで聞こえてくるのだという。 漁港から約2㎞ほど離れた高台に建つ光源寺様。開基は明治24年。当時は港にほど近い場所に位置し、公教育の機関がなかった開拓時代の紋別にあって「読み書きを教える場所」として、少年らの教育を行う施設でもあった。市街地の発展に伴い、昭和33年新たな境内地として現在の高台へ移転。永く紋別の町を見守ってきた。 建立から50年以上の月日が流れ、長年、風雨や降雪に耐えてきた本堂にも傷みが出始めた事から、当社へ調査を依頼。その結果、地盤沈下に伴う建物の傾き、また補強材でもある大引きの不足、屋根裏の雨漏り等が明らかになり、平成23年、着工の運びとなった。

屋根の腐食発覚により銅板張りで装いを一新

問題は大きく二つ。本堂向拝・大縁(回廊)部分の傾き、またそれらを支える基礎の前面部分が2㎝~3㎝程沈下し、目視でも傾きが解る程だった。そして二つ目は、冬期の向拝部からの落雪で向拝前面の通行に支障をきたすことであった。 地盤は、元々移転した際、高台が傾斜地であった為、建築前に切土・盛土が行われていたが、一部盛土された部分に負荷がかかり、沈下を引き起こしていた。その為、盛土部分にあたる左右並びに前面部分の廊下を解体。根太を大口径のもので補強し床板を本来の位置に新調した。 向拝屋根の形状が流れ向拝である為に、落雪が直に向拝前面へと成ることから、向拝部を唐破風屋根に変更し落雪を左右に分け、ご住職の『お参りされる、ご門徒方々が少しでも安全に』の気持ちを実現し、同時に向拝部沈下の改善の為に向拝柱基礎・向拝柱・虹梁などの新設を行った。 但し、向拝上部に取り付けられていた光源寺様の歴史が残る獅子頭は、修復を施したうえで、新たに新設した青森ヒバの向拝柱に再び取り付けられる事となった。 屋根に関して、痛みのあった屋根下地は、全ての部材を点検し、再使用できるものを残しつつ、新たな部材に交換。その上から美しき「銅板一文字葺き」へ葺き替えた。下地板の曲線に沿ってぴたりと合わせた美しき屋根と、今回担当の清野の提案から装飾を行なった「破風飾り」が、より壮麗かつ、威容を漂わせる仕上がりとなり、これからこの紋別の厳しき環境から本堂を護ってくれるだろう。

想創(そうそう)

「とにかく見ていて気持ちのよい働きの一言。職人たる者かくあるべき」現場をご覧になられてきたご住職より最後にこの言葉を頂戴した。 我々にとって建物を完成させる「仕事の出来」はもちろんの事である。しかし、出来だけではなくその過程の中で、コツコツと静かなる汗をかき、担当の清野・現場監督の久保。そして携わった多くの職人が現場で得る喜びとはやはり「言葉」。それがこれからの技術に更なる磨きをかけ、これからのものづくりへと繋がって行く。 公教育の開始前から「読み書きを教える場所」として多くの人々から愛され感謝され、心の寄り処となった光源寺様もまた、その人々の想いから創られたご寺院様である。 人に感を与える「想」と、ものづくりへの「創」、その過程は時代が変われども、仕事が違えども、「人」が関わるもの全てに共通しているのだろう。

時を越えて 寄り添い続ける

少子高齢化が進む室蘭市。時代の変化と共に、寺院に求められるものも刻々と変化している。未来を見据え、使う人に真の意味で寄り添い利便性を究めた皓聖寺様は、末長く人々の心の拠り所としてあり続けることだろう。

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