内装リフォームの基礎知識!建具の種類と特徴を徹底解説!
2022.01.10
内装リフォームの基礎知識!建具の種類と特徴を徹底解説!
建具というと部屋の入り口や間仕切りに使われている扉を想像するのではないでしょうか。建具とは、仕切りの総称で住宅内では玄関ドアや勝手口ドア、窓サッシや各部屋のドアも含まれます。
人や物の出入りだけではなく、採光や換気、通風またはそれらを遮断する目的にも用いられます。
住まいにとって建具は使いやすさや機能性、デザインなどが要求される重要なパーツといえるでしょう。
建具にはこのように様々な用途があるので種類のバリエーションも豊富にあるのです。
この記事では、家が古くなって建具を交換したいリフォームをお考えの方に役立つ基礎知識として建具の種類と特徴について徹底解説します。
建具の役割
建具は大きく分けて、建物の内と外を仕切る外部建具と建物内にある内部建具に分類されます。
それぞれの持つ役割は以下のようなものです。
・外部建具の役割
・建物内への出入り
・防犯
・採光や通風、音を時間帯や季節に応じて調節する
・室内から外の景色を見たり、外部の視線を遮る
・内部建具の役割
・部屋への出入り
・部屋を分割する
・プライバシーの確保
・自然光を取り入れる
・空調を効率よく効かせる
が挙げられます。
建具は生活の中であまり意識せずに使っていますが、最も活用する部分であることが分かります。
建具のある場所について
建具は住宅の中で、どの部分に使われているのか一つずつ見ていきましょう。
・建物への出入り口建具
建物への出入り口である玄関ドアや、キッチンによく隣接している勝手口ドアがあります。
外部と接していることから、窓サッシと同様にアルミ製のドアが主流です。
・窓建具
窓に設置されているサッシも建具にあたります。
引き違い窓や縦滑り窓、FIX窓など窓サッシのタイプも豊富で、腰窓や掃き出し窓も窓建具に分類されます。
また、天窓や出窓、明かり取り窓や網戸や雨戸も窓建具に含まれます。
・内部建具
部屋の出入り口や洗面脱衣所やトイレなど全ての居室の扉を含みます。
和室がある住宅では、ふすまや障子、欄間や鴨居なども内部建具です。
・収納建具
シューズクロークや各物入れ収納、部屋に設置されたクローゼットなど収納を目的に使われている扉を収納建具といいます。
・外構建具
外部にある門扉やフェンス、敷地を区切るために使われているものを外構建具と呼んでいます。
アルミ製が多く外構業者のテリトリーなので建物の建具とは異なります。
建具の材質
建具の材質は使われる場所によって変わってきます。
どのような素材で作られている材質なのか見ていきましょう。
・アルミ製
アルミ製の建具は、外部と接している窓建具に使用されています。
アルミは軽量で比較的コストがかからず、耐久性に優れているという特徴があります。
そのため、直射日光や雨風が当たってしまう場所なので色褪せや変色もありません。
また、汚れても拭き取れば簡単に取れることから、メンテナンス性にも優れています。
外構建具にも使用されるのは、そのような理由からです。
・木製
内部建具のほとんどは木製の建具が多く使用されています。
木枠を組んで表面に木目や無地のシートを貼り付けてある建具が多く、表面のみ天然木を薄くスライスした突き板を貼り付けてある建具もあります。
建具の内部が空洞になっていることで、軽量化し開け閉めしやすい構造になっています。
また、木製建具には天然木から切り出された無垢材の建具もあり、重厚感と高級感を兼ね備えた無垢材独特の存在感があります。
・樹脂製
樹脂製建具は、合成樹脂で作られているため窓建具に使われることが多くあり、アルミのように熱伝導が高くないため、断熱効果や結露対策に使用されています。
デメリットは、コストが高くなってしまうことや直射日光と雨風にさらされるとアルミ製より経年劣化が早いところです。
建具のタイプ
・開き戸
寝室や子供部屋など居室によく使われるタイプが開き戸です。
開き戸は、内開きと外開きがあり間取りに応じて設計されています。
引き戸より気密性が高く扉を閉めてしまえば空調の効きも非常によくなります。
また、外からの音をしっかりと遮断できるので、遮音性にも優れ音が気になる部屋にはおすすめです。
引き戸との相違点は、扉を開く可動スペースが必要になるところです。
部屋の出入り口が狭い廊下に面している場合などは、人と緩衝してしまうこともあります。
玄関ドアや勝手口ドアは外部と接しているので外気の影響を受けにくい気密性の高い開き戸が適しています。
・開き戸のメリット
開き戸のメリットは、扉の枠内に建具が納まるため、ドアの中で最も見た目がスッキリしているところです。
引き戸のように引きしろが不要なためシンプルです。
また、構造も単純で戸、蝶番、枠でできているため設置時のコストが抑えられる点も魅力の一つでしょう。
・開き戸のデメリット
開き戸のデメリットは可動スペースが必要なところです。
可動範囲内に家具や物を置くことができないことや人にぶつからないような設計にしないと危険な場合があります。
・引き戸
引き戸には、片引き戸や引き違い戸、引き分け戸など3種類のタイプがあります。
片引き戸とは、1枚の建具を一定方向のみに開閉するタイプで、引き違い戸は2枚の建具を互いに引き違うタイプです。
また引き分け戸は、2枚の建具を両サイドに開けられるタイプで開口が建具2枚分のスペースが可能です。
通常は片引き戸が一般的に使われていますが、高齢者や介護が必要な方の部屋は開口が少しでも広くとれる引き分け戸が便利でおすすめです。
高齢者の寝室などには、出入りがスムーズにできるので開き戸より引き戸が良いでしょう。
もし車椅子を使う場合でも引き戸の方が使いやすいです。
リフォームする場合は住宅の設計上、難しい場合もあるので業者に相談しましょう。
リフォームで開き戸から引き戸に替えたい場合は、壁の外に設置するアウトセット引き戸もあるので業者に相談してみましょう。
・引き戸のメリット
引き戸のメリットは、開き戸のような可動スペースを考えなくて良いところです。
可動スペースが不要なため開けた時に人や物にあたってしまうことがなく、建具を開け放した状態にしておいても邪魔にならず違和感がありません。
また、引き戸は大きな部屋の間仕切りとしても活用できます。
部屋を大きく使いたい時は全開にしておき、仕切りが欲しい場合には閉めることもできるため便利に使えます。
・引き戸のデメリット
引き戸のデメリットは、開き戸と比較すると設置コストが高くなる点です。
ドアの横に引きしろが必要でその引き込むスペースがあることで費用も上がり、その辺りに家具など置くことも難しくなります。
・折れ戸
折れ戸とは、蝶番などで連結させた扉を折りたたむことで開閉できる扉で、シューズクロークやクローゼットなど収納スペースによく使われています。
また、開き戸のように可動スペースがそれほど大きくないことや比較的少ない力で開閉できるところが特徴です。
高齢者や小さなお子様でも容易に開閉が可能で、扱いやすいドアですが、指などを挟まないように注意することが必要です。
・折れ戸のメリット
折れ戸のメリットは、開き戸程の可動スペースが不要で引き戸のように引き込みスペースがいらないところです。
クローゼットやシューズクロークは大きい方が良いので開口スペースも大きくなり、時には部屋の一面を全てクローゼットにする場合もあるでしょう。
そんな時でも端から端まで洋服を選んだり靴の取り出しがしやすいようフルオープンにできる折れ戸はクローゼットには必要な建具といえます。
また、折れ戸はトイレの扉に使われることもあります。
トイレの前が狭い場合、もしくは開き戸を設置すると危険な場合などに採用します。
例えば2階の廊下にトイレがある場合、人がトイレの前を通る際開き戸だと緩衝して危険です。
そのような場合に可動スペースの少ない折れ戸を採用します。
バスルームも折れ戸が多く使われているのは、可動スペースの問題によるもので出入り口のスペースが狭い場合や危険を伴う場合に設置すると便利な建具です。
・折れ戸のデメリット
折れ戸のデメリットは、開いた状態の時に折りたたまれた扉が分厚くなることです。
気にならない程度ですが、その幅の分が少し使いにくいこともあります。
また、折りたたむ建具のため指を挟みやすいので、小さなお子様は気をつけてあげましょう。
木製建具の種類
建具の仕上げに用いられる木製素材には無垢材や合板などがあります。
木製建具の種類や特徴について解説します。
・ 無垢材を使用した木製建具の特徴
無垢材を使用した建具は天然木の材料を使っているので、本物の木の良さが生かされ経年変化によって風合いが楽しめるという魅力があります。
重厚感があり、上品で価値の高さを感じさせてくれます。
しかし無垢材は、水や汚れに弱いため メンテナンスを怠ると美観を損なってしまいます。
水が掛かったり汚れた時には、すぐに綺麗に拭き取り跡形やシミにならないように注意が必要です。
メンテナンスの仕方は、業者に相談することをおすすめします。
また、無垢材は合板に比べるとコストは高く床材と同様に、高価で価値が高い製品なのです。
他には、無垢材独特の特徴で水分を含んで膨張したり乾燥したりを繰り返すことで多少の反りが出ることもあります。
・単板や突き板を使用した木製建具の特徴
天然木を薄くスライスした単板や突き板を建具の表面に貼り付けて仕上げる建具があります。
本物の木を貼り付けているので、木目の味は高級感があり見た目は無垢材の建具に見劣りしません。
表面に貼り付けてあるので無垢材の建具より反りにくいです。
・化粧シート貼りの木製建具の特徴
化粧シート貼りの建具は、最も多く住宅に使用されている一般的な建具です。
表面がシートなので水や汚れに強く拭き取れば簡単に綺麗に落とせます。
近年のシートは建材の印刷技術も向上しリアルな木目を再現されている製品が多く、色柄のバリエーションが豊富にあります。
建具の軽量化の目的もあり部分的に中が空洞になっていますが、軽く開け閉めができるので扱いやすい建具です。
・紙貼りの襖や障子の特徴
純和室には、なくてはならない襖と障子ですが、近年の新築住宅では洋室仕様で琉球畳のコンビネーションが多いような状況です。
やはり和室にこだわりのある方は採用される方もおられます。
以前との違いは汚れやすく破れやすいデメリットがあった襖と障子の材質が進化しているところです。
塩化ビニル樹脂でラミネートされた障子紙や汚れ防止の加工が施された襖紙など耐久性に優れた製品が販売されています。
和の雰囲気が心地よい日本人の感性に合った襖と障子も上手く融合させるとおしゃれな住宅になるでしょう。
アルミ製の建具の特徴
アルミは軽量で耐久性があり加工しやすく低コストであることが特徴です。
玄関ドアや窓サッシ、キッチン裏のパントリーの間仕切り建具などとしてよく利用されています。
玄関ドアや窓のサッシはほとんどの住宅がアルミ製の建具です。
アルミのデメリットは熱伝導が高いために結露が起きやすいところです。
温度差の激しい冬場には玄関ドアの内側が結露で濡れていることがよくあり、窓サッシも結露しやすくカビの発生や窓枠を傷めてしまうこともあります。
また、近年では部屋の中に間仕切りとしてアルミ製の建具を使うことが増えています。
軽量であるアルミの特性を生かし、数枚の建具を軽々とスムーズに開閉できるのでリビングとダイニングの間仕切りやパントリーに適した建具といえます。
樹脂製の建具の特徴
合成樹脂で成形された樹脂製の建具は窓サッシによく使われています。
樹脂サッシはプラスチックの一種である硬質塩ビ樹脂を素材とし、熱が伝わりにくいので断熱性が高く結露が生じにくいことが特徴です。
アルミ製の窓サッシは結露が発生するので近年では樹脂製を好まれる方が増えてきています。
樹脂製の窓サッシは高価で直射日光による劣化もあるため、室内側を断熱性の高い樹脂製に、屋外側では耐久性の高いアルミ製にする製品がよく利用されています。
まとめ
内装リフォームに役立つ、建具について解説してきました。
建具は住宅のそれぞれの場所に応じて役割が違います。
場所に合った建具のタイプや材質を考え、特徴を生かして間取りに応じた選択をすることが必要です。
使いやすさと機能性、好みの色やデザインなど選択するポイントはたくさんあります。
迷ってしまうことも多いので業者と相談しながら一つ一つ決めていくことをおすすめします。