瓦屋根が雨漏りした場合の原因と修理方法!費用相場も解説!

2022.02.09

瓦屋根が雨漏りした場合の原因と修理方法!費用相場も解説!

 

瓦屋根の雨漏りは、どこが原因か素人ではなかなか見つけにくいものです。

瓦屋根は、昔ながらの日本家屋によくある入母屋など複雑な形状の屋根にも多く使われています。

雨漏りを発見した時、屋根形状が複雑なため、なかなか根本的な原因が掴めないことがよくあります。

今回は、以下について詳しく解説します。

 

・瓦屋根の性質と特徴

・瓦屋根の雨漏りの原因と症状

・瓦屋根の雨漏り修理方法

・瓦屋根の雨漏り修理費用相場

 

瓦屋根の性質と特徴

 

瓦屋根は昔から日本家屋に使われている和瓦が代表的で、粘土を使った焼き物の屋根材です。

また、陶器瓦には「釉薬瓦」と「無釉瓦」の2種類があります。

耐用年数も50年以上と長く、塗り替えの必要もありません。

瓦屋根は、直射日光や雨などにも強いため耐久性もあり、長期間使用できる特徴があります。

しかし、衝撃には弱くひびなどが入ると雨漏りを起こすので原因と対策を知っておくことが重要です。

 

瓦屋根の雨漏りの原因と症状

 

瓦屋根の雨漏りの原因は、どの場所に不具合が起こるのでしょうか。

 

雨漏りの原因

・瓦のズレやひび割れ

・漆喰の剥がれや欠損

・谷板金の劣化

・下屋根と外壁の雨押さえ板金

・棟瓦の歪み

・防水シートからの雨漏り

・雨樋の詰まり

・屋根土の浸食

 

よくある雨漏りの原因とその症状について、一つずつ解説します。

 

瓦のズレやひび割れ

 

瓦屋根の雨漏りの原因としては、瓦のズレやひび割れによるものがあります。

台風による強風や地震の揺れが原因となり、瓦がずれてしまうことは珍しくありません。

下から見ただけでも瓦のずれが分かるという場合は、屋根の専門業者に相談しましょう。

大きな台風や地震の後には、点検することをおすすめします。

 

また様々な原因で、ひび割れが生じて雨漏りが起こるという場合もあります。

瓦は全ての屋根材の中でも特に耐久性が高いという特徴があるのですが、絶対に割れないというわけではありません。

強風で飛ばされてきた飛来物が衝突し、ひび割れすることもあります。

ひび割れも下から目視で発見するのは難しいので業者の定期的な点検が必要です。

 

漆喰の剥がれや欠損

 

瓦屋根にとって漆喰の役割は瓦の隙間を埋める、または屋根材の固定を目的として使用されています。

漆喰は経年劣化で硬化していくという特徴があるのですが、徐々にひび割れが生じ、最終的には少しずつ崩れてきます。

そもそも瓦の隙間を埋める目的なので、その劣化を放置すると雨水が侵入し雨漏りが発生する恐れがあります。

漆喰は定期的に塗り替えることが必要です。

屋根点検の際は、漆喰の劣化も確認してもらうことが大切です。

 

谷板金の劣化

 

最も雨漏りが多い場所は、屋根の谷部分にある谷樋板金です。

屋根の形状が谷になっていて、両方の屋根から雨水が流れてくるので増水する場所なのです。

豪雨の時などは、一気に雨水が谷へ集中するために水の量はとても増えます。

その分板金への負担も大きく、時にはオーバーフローしてしまい溢れてしまうこともあります。

 

溢れた雨水は、屋根下地に敷かれている防水シート(ルーフィング)でカバーできれば、室内まで雨漏りはしません。

しかし、防水シートが劣化していたり、破れていたりすると下地の野地板まで到達して室内へと侵入します。

谷樋板金は、豪雨の時が心配な場所なので、台風の際に雨漏りが発生したら一番に点検しなくてはいけない部分です。

入母屋屋根の建物や谷が存在する屋根形状であれば注意が必要です。

 

下屋根と外壁の雨押さえ板金

 

雨押さえ板金は、1階の屋根(下屋根)と2階の外壁の取り合い部分に使われている板金です。

この雨押さえ板金も雨漏りの多い場所です。

 

外壁と下屋根の取り合いは、完全に密着させることが出来ないためわずかな隙間が出来てしまいます。

この隙間から雨水が入り込むと雨漏りの原因になります。

そのためにこの隙間部分に雨押さえ板金を入れるのです。

しかし劣化により、台風などの激しい雨風により吹き込みが強いと侵入してくる場合があります。

 

棟瓦の歪み

 

瓦屋根では棟部分に棟瓦が積まれています。

棟は屋根が接合する部分の隙間を埋めることや屋根材の固定が目的です。

しかし屋根の頂上部分のため強風や揺れの影響を受けやすく、台風や地震の自然災害の後に歪みが生じてしまうことがあるのです。

こういった棟瓦のゆがみから雨水が侵入し雨漏りを起こすこともあります。

 

防水シートからの雨漏り

 

防水シートとは、屋根材と下地の野地板の間に敷いてあるシートのことで、ルーフィングとも呼ばれています。

防水シートはアスファルトが主成分の化学製品で作られています。

屋根材や板金から漏れてしまった雨水を、野地板まで浸透しない役割をしています。

台風の時など強い雨風で、屋根材や板金のわずかな隙間から雨水が侵入することもあるので防水シートの役割は重要です。

 

その防水シートが劣化して破れていると雨漏りに繋がります。

防水シートの耐用年数は、30年以上の製品もありますが、通常は20年で防水機能は果たせなくなっているといわれています。

つまり、高耐久製品の防水シートを採用していない限り、築20年で防水シートからの雨漏りの可能性が出てくるということです。

防水シートの張り替えは、屋根の葺き替えやリフォームする際でないと全面を新しくすることができません。

屋根を葺き替える際には、その屋根材の耐用年数に合った防水シートを使用することをおすすめします。

 

雨樋の詰まり

 

雨漏りの原因として、意外と見落としがちなのが雨樋の詰まりです。

雨樋に落ち葉やゴミ、砂などが堆積すると排水能力が落ちてしまい、溢れた水が外壁から壁の中に侵入することがあります。

雨樋のつまりを解消することで、雨漏りを防ぐことができます。

雨樋も屋根の点検の際に一緒に見ておくことが必要です。

 

屋根土の浸食

 

築年数の経過した住宅の瓦屋根は、土の上に瓦を並べる土葺きの屋根が多くあります。

瓦の下に敷き詰められた屋根土は、長年の雨水により侵食され屋根の下地が露出していることがあります。

その露出した下地から雨漏りが起こってしまうのです。

 

これは通常表面的に屋根の点検を行なっただけでは気づくことが困難で、雨漏りをして初めて発見されることが多いです。

最近では土葺きの屋根は珍しく、ほとんどの瓦屋根は桟葺きが主流になっているのでこの雨漏りの原因は減少しています。

 

瓦屋根の雨漏り修理方法

 

瓦屋根を10年以上メンテナンスしていない場合は、防水シートや漆喰の劣化が進んでいる可能性があります。

瓦自体に損傷がなくても雨漏りの対策として、目に見えない箇所を点検していくことが必要です。

 

・部分補修

 

部分補修には様々な項目があります

それぞれどのような補修が必要なのか解説します。

 

・瓦の補修と交換

 

瓦が破損している場合は瓦のひび割れを補修したり、割れた瓦やズレ落ちた瓦を新しいものに交換するといった修理方法を行います。

瓦屋根の修理は、瓦一枚の補修交換から受け付けてくれる業者もいるので、損傷が軽いうちに修繕した方が費用も安くすみます。

小さな破損でも放置せずに業者に補修してもらいましょう。

 

・板金の交換

 

瓦屋根には、雨仕舞い部分に板金が使用されており、雨漏りの原因になることが多いのです。

外壁と下屋の取り合い部分の水切り板金や、屋根形状が谷になっている部分に使用されている谷板金などに、錆や穴が開いて損傷している場合には交換が必要です。

 

雨漏りの原因が板金と判明したら、耐久性の高い素材の板金に取り替えましょう。

雨仕舞いに必要な板金は、雨水が集中する場所に使用されています。

そのため劣化するスピードも早く、傷みやすく不具合が多いところでもあります。

築年数の古い建物によく使用されてきた、トタンや銅製の板金から、ガルバリウムやステンレスの製品に取り替えることをおすすめします。

 

・防水シート(ルーフィング)の交換

 

下葺き材である防水シートが劣化している場合にも雨漏りが発生します。

台風で豪雨の時など、瓦や谷板金などから多少の雨水が溢れることがあります。

瓦の下に雨水が侵入すると、防水シートが健全な状態でないと野地板まで浸透してしまうのです。

野地板を湿らすと腐食し、いずれは穴が開いて雨漏りが起こります。

 

防水シートの耐用年数はおよそ20年程度とされているので瓦自体に損傷がなくても交換が必要です。

防水シートについても耐久性の高い製品を使用することをおすすめします。

屋根材や板金に耐久性があっても防水シートに耐久性がなければ、耐用年数のバランスが悪い屋根になってしまいます。

建物を長持ちさせるためにも、防水シートの耐久性にこだわり、性能の高い製品を選びましょう。

 

・葺き替え

 

瓦自体が耐用年数を超え限界に来ている場合は、いくら部分補修しても追いつきません。

下地材の野地板や防水シートも新設し新しい屋根材に葺き替えましょう。

 

費用はかかりますが、住宅の寿命を考えると補修で何度も費用を重ねるより、葺き替えを選択した方がトータルコストは安くなることもあります。

瓦屋根から軽量な金属屋根に葺き替えるのも良いでしょう。

 

・葺き直し

 

葺き直しとは、瓦はまだ長期で使用できる状態で、防水シートや板金が劣化し全体的に交換が必要な場合に行います。

台風などの被害で瓦のズレや漆喰の劣化がひどい場合などにも、一旦瓦を下ろして下地や板金を設置し棟瓦も積み直します。

葺き直しは、全体的な補修が必要な場合に使われる方法です。

 

瓦屋根の雨漏り修理費用相場

 

瓦屋根の雨漏り修理の費用は、雨漏りの規模や範囲、補修方法によって費用は変わってきます。

雨漏りの修理費用の相場を具体的に表記するのは難しいですが、目安の金額を記載しておきます。

 

・瓦の部分修理

 

瓦の部分補習費用相場は、足場代は別途で、破損・ズレ・めくれの場合は5〜20万円、瓦の飛散の場合は5〜30万円程度です。

補修する瓦や新しく差し替える瓦の数量や状況により価格は変動します。

 

棟は屋根の頭頂部にあるため雨風の影響を最も受ける場所です。

雨漏りの対策として何枚もの、のし瓦が積み上げられ漆喰もしっかりと充填されています。

棟が経年により沈み込んでいたり、強風や地震の揺れによりズレが起こります。

そのような状況で放置すると棟から雨漏りが発生するので積み直しが必要です。

 

・棟の修理

 

棟の補習費用相場は、足場代は別途で棟の沈み込み修正は、10〜30万円で棟の積み直しは10〜40万円程度です。

棟の状況によって価格は変動します。

 

瓦屋根の漆喰の役割は、瓦の隙間から雨水が入らないようにすることです。

その漆喰が剥がれていたり、欠損しているとその部分から雨漏りが発生します。

また、棟の漆喰は土葺きの場合に屋根土を侵食することがあります。

瓦屋根にとって漆喰補修は避けられないメンテナンスです。

 

・漆喰の補修

 

漆喰の補修費用相場は、足場代別途で、漆喰が剥がれて屋根土が侵食した場合は15〜30万円で、漆喰の塗り直しは30〜50万円程度です。

漆喰補修の範囲と量により価格は変動します。

 

屋根に付帯部分に雨樋や天窓があります。

雨漏りの原因として雨樋の劣化も考えられます。

屋根から流れてくる雨水を受け止め、流れないと溢れてしまい軒先から雨漏りを起こします。

 

また、雨樋に土や苔などの異物が詰まっていることもあり、水をせき止めてしまいます。

雨樋も屋根同様に耐用年数があるため、屋根のメンテナンスのタイミングで交換することをおすすめします。

また、天窓も雨漏りしやすい部分なので、屋根との取り合い部分の点検や補修が必要です。

 

・雨樋・天窓補修

 

雨樋と天窓補修の費用相場は、足場代別途で雨樋の部分交換・修理は10〜20万円で、雨樋の全体交換は25〜60万円、天窓の雨漏り修理は5〜15万円、天窓の交換は30〜50万円程度です。

雨樋や天窓も交換数量や製品により価格は変動します。

 

葺き替え・葺き直し

 

瓦屋根で雨漏りが、全体的に見られると判断すれば葺き替えを行います。

補修では追いつかない状況であれば、下地の野地板や防水シートは全て交換します。

瓦も新しく防災瓦に葺き替えます。

足場代は別途で、葺き替え(防災瓦・下地交換)は150〜200万円、葺き直し(既存瓦・下地交換)は120〜180万円程度です。

葺き替えの場合は、新設する屋根材により価格は変動します。

 

まとめ

 

瓦屋根と雨漏りの関係について解説してきました。

一般的に雨漏りの原因で考えられるのは、屋根材や部材の経年劣化です。

様々な屋根材や各部材には、耐用年数が決まっているため必ず寿命が訪れます。

瓦屋根は、耐久性が高いとはいえ古くなると割れたり欠けたりして、雨水を侵入させることもあるのです。

雨漏りは住宅にとって最もダメージの大きいトラブルで、雨漏りによって内部の構造を腐食させたりシロアリを発生させる原因にもなります。

屋根のメンテナンスをしっかりしておくことが重要ですが、もしも雨漏りを発見したらすぐに信頼できる業者に診断してもらいましょう。