雨漏りしやすいといわれる片流れ屋根は点検とメンテナンスが必要不可欠!

2022.02.09

雨漏りしやすいといわれる片流れ屋根は点検とメンテナンスが必要不可欠!

 

片流れ屋根はシンプルでスタイリッシュなデザインが人気で、近年では多くの住宅の屋根に用いられています。

特に最近増えてきている平屋にも多く使われており、片流れ屋根のメリットを活かした住宅もたくさん建築されているのです。

しかし、片流れ屋根は雨漏りのリスクが高いというデメリットがあるといわれています。本当はどうなのでしょうか。

この記事では、片流れ屋根の特徴やメリット・デメリット、気を付けたい注意点など徹底解説します。

 

片流れ屋根の特徴

 

片流れ屋根とは、一方向にのみ傾斜がついているシンプルな屋根形状のことで、大きな一枚板が斜めについています。

近年人気の高い理由として、デザインが好まれる他に、狭小地や平屋などの居住空間を確保するためにも片流れ屋根は有効だからです。

 

切妻屋根や寄棟屋根と比較してもデッドスペースが活用できるため、小屋裏を収納にしたり趣味のスペースとして有効利用する設計も今や定番となりつつあります。

 

また、採光の取りにくい平屋の住宅では、高い位置に窓を設けることが可能なので、明るい住空間を手に入れることができるのです。

片流れ屋根は、見た目のスタイリッシュなデザインと居住空間の充実を理由に大変人気のある屋根形状といえるのではないでしょうか。

 

片流れ屋根は雨漏りしやすのか

 

片流れ屋根のデメリットといわれている雨漏りのリスクは、他の屋根に比べてやや高いでしょう。

その理由は、雨水の流れ方が他の屋根と違うことが関係しています。

 

片流れ屋根の頂上部分は、構造上斜め上を向いているため、その付近に落ちた雨水は屋根の裏を伝い外壁に向かって流れてしまうのです。

その流れた雨水が屋根と外壁の接合部に到達すると雨漏りの原因に繋がります。

また、屋根の端に付いている「破風板」と屋根の下地である「野地板」の境目から、伝い水によって雨漏りが発生するケースもあります。

 

他の屋根形状の軒先は全て外壁を守るように斜め下方向に向いています。

その違いから、片流れ屋根の形状は雨風や紫外線などにより、他の屋根よりもダメージを受けやすく劣化しやすい構造なのです。

 

ただ、片流れ屋根が雨漏りしやすいというだけで、切妻屋根や寄棟屋根でも接合部が多いという理由で雨漏りのリスクはあるのです。

基本的には、どの屋根形状でも良質な材料と耐久性のある建材、施工する職人さんの専門性が揃っていれば雨漏りは避けられるのです。

ただし、屋根のメンテナンスを怠って劣化を早めてしまったり、そもそも屋根材の耐用年数がかなりオーバーしていては雨漏りの発生も出てきます。

片流れ屋根の弱点を理解した上で、どこに注意して施工すれば雨漏りを防げるかということを熟知している業者であれば安心して任せることができるでしょう。

 

片流れ屋根のメリット

 

人気の高い片流れ屋根のメリットを解説します。

 

・建築コストが安い

 

片流れ屋根は構造がシンプルで接合部が少ないこともあり、建築コストが安価です。

切妻屋根や寄棟屋根は接合部に屋根板金が必要で、部材や施工の手間がかかります。

 

また、雨樋も一方向のみの取り付けで良いので低コストで済ますことができるのです。

リフォームする際もコストが割安な分、メンテナンス費用がかからない経済的な屋根形状といえます。

 

・屋根裏のスペースを活用できる

 

屋根の一方が高いため、他の屋根形状にはない広い屋根裏のスペースが有効活用できます。

ロフトを作ったり、天井収納や趣味の部屋などの理想的なプライベートな空間を実現させることができます。

窓を付ければ採光も取れるので、十分部屋として活用することが可能なのです。

また、開放感を持たせたい場合は、屋根の傾斜に沿って勾配天井にすることも可能で部屋を広く感じられる空間が作れます。

そうすることで片流れ屋根ならではの空間が、他の屋根形状では考えられないような設計のバリエーションが生まれてきます。

 

・太陽光パネルを設置しやすい

 

片流れ屋根は、南向きであれば太陽光パネルの設置に最も適した屋根形状です。

屋根に接合部がなく一面にパネルを設置できるので、最大限にスペースを有効に活用できます。

太陽光発電に興味のある方や環境問題の意識の高い方で、太陽光パネルを検討している方には片流れ屋根を選択することをおすすめします。

 

片流れ屋根のデメリット

 

片流れ屋根には雨漏りのリスクがある他にも、いくつかのデメリットがあるので解説します。

 

・屋根と外壁が劣化しやすい

 

片流れ屋根の最大のデメリットは、他の屋根に比べて屋根と外壁が劣化しやすいところです。

屋根が下がっているのは一方のみで、他の三方は外壁を守るためには短い軒しか付いていないことが多くあります。

本来の長さのある軒は、紫外線や雨風のダメージから屋根そのものや外壁を守ることができるのです。

 

最近は全く軒のない片流れ屋根も見受けられますが、軒がない建物は紫外線や雨風の影響を直接受けてしまい劣化が早く進みます。

また、屋根の傾斜が一方向しかないので他の屋根に比べて、大量の雨が流れ落ちるというデメリットがあります。

雨水の量が増えれば屋根の表面の劣化は進行が早く、屋根、外壁ともに傷みやすい構造になっているといえます。

 

・換気性が弱い

 

片流れ屋根は屋根の換気が弱いというデメリットもあります。

本来、屋根の換気は低い軒先から屋根の一番高い棟へと、空気が流れるように施工されています。

切妻屋根や寄棟屋根は軒先から棟までの距離は建物の約半分の距離ですが、片流れ屋根は建物の幅の距離があります。

2倍の距離で換気しようとしても、風通しが悪く湿気が屋根裏などに溜まりやすくなり材木の劣化を早めてしまうことになりかねないのです。

 

片流れ屋根を雨漏りから守るポイント

 

・雨水が建物内に伝わらないようにする

 

片流れ屋根の雨漏りは、屋根の裏面の軒天部分を水が伝って建物内に侵入することが原因です。

水が伝わないように防ぐには、屋根の頂上部に透湿性のあるルーフィングを被せてしまう方法があります。

雨の侵入しやすい屋根の頂上部の隙間を塞いで、ブロックしてしまうのです。

 

・隙間を無いようにする

 

雨仕舞いの水切り板金を付けたり、破風板を立ち上げたりして隙間を塞ぐ処理をすることも良いでしょう。

また、雨漏りしやすい屋根と外壁の接合部分をまめに点検して雨水が侵入しないようにコーキングなどでメンテナンスしておきましょう。

接合面さえ注意しておけば雨漏りをほぼ防ぐことが可能です。

 

・換気を行えるようにする

 

屋根の換気をしっかりと行えるようにすることです。

換気が弱いと屋根そのものが湿気で劣化が進み、雨漏りのリスクは高くなります。

屋根裏の空気の流れを作ることで湿気を軽減し、材木を健全な状態にキープすることも雨漏り対策の一つです。

 

片流れ屋根の雨漏りの対処方法

 

片流れ屋根の雨漏りの対処方法を解説します。

 

・破風板の立ち上げ

 

破風板とは屋根の裏側につけてある板のことで、雨や風を防ぐほか防火の役割も担っています。

従来から破風は建物の顔とも呼ばれており、こだわりのある部分でもありましたが、近年の住宅の中には破風板が取り付けられていない屋根もあるのです。

また、破風板の住宅の他の部分と同様に経年劣化していきます。

一般的には20年程度の耐久があるといわれていますが、木質系の破風板の場合は腐食する可能性があるため注意する必要があるでしょう。

瓦屋根で破風板がない住宅や破風板が劣化して機能していない場合は、破風板の取り付けを行うと雨が侵入しにくくなります。

破風板の取り付けを業者に依頼することをおすすめします。

 

・水切り板金の取り付け

 

瓦屋根の場合は、破風板の立ち上げ以外にも水切り板金を取り付けるのも雨漏り対策に有効です。

水切り板金は屋根と外壁の取り合い部分の雨水侵入を防ぐための補助部材ですが10年程度が耐久年数といわれています。

耐久年数を超えている場合や劣化している場合は、水切り板金の取り替え工事をしておくのがおすすめです。

シール材付きの水切り板金を取り付ければ、土埃や汚れの蓄積で雨水がオーバーフローするのを妨げるため雨漏り改善に高い効果をもたらします。

 

・ルーフィングを覆う

 

スレート屋根やセメント屋根、金属屋根で雨漏りに悩まされている場合は、ルーフィングを覆う工事がおすすめです。

ルーフィングとは屋根材の下に敷かれている防水シートのことで、雨漏り対策には透湿ルーフィングを覆う方法が用いられています。

透湿ルーフィングは、防水性能はもちろん通気性にも優れているため、雨水の侵入を防ぎながら湿気がこもることも妨げます。

さらに、しなやかで丈夫な素材のため耐用年数も50年と長く、長期間の雨漏り対策として有効です。

棟板金を透湿ルーフィングで覆って破風板に垂らせば風の吹き込みはもちろん、壁を伝って入る雨水も防げるのです。

コーキングで施工をして雨水の侵入を防ぐ方法もありますが、耐久年数が10年もたないためルーフィングの方が圧倒的にメリットが多いと言えるでしょう。

 

送風ファンの取り付け

 

屋根の中に湿気がこもり湿度が高くなると、屋根全体の劣化につながります。

雨漏りは屋根の劣化から引き起こされることも多いため、湿気対策は雨漏り対策にとても有効な手段なのです。

湿気がこもらないようにするためには十分な換気が必要ですが、片流れ屋根の場合は風が通りにくい構造をしているため十分な換気が行われません。

十分な換気が行われず、湿気でジメジメしていると材木の腐食はもちろん、カビやシロアリの発生にもつながります。

そこで有効な手段といえるのは送風ファンの取り付けです。

自然換気が起こりにくい環境でも強制的に風を送って換気を行えば、湿気による劣化を防げます。

送風ファンの取り付けは、防湿効果の他にも脱臭効果や温度調整効果にも期待できるので業者に相談してみましょう。

 

片流れ屋根の雨漏りを止めるためには業者に依頼するのが安心

 

片流れ屋根の雨漏りを止めるには、業者に依頼して適した処置をおこなってもらうほか手段はありません。

なぜなら屋根の構造は複雑で素人では施工が難しく危険だからです。

また、雨漏りの原因が一つではなく複数箇所重なっていることも少なくありません。

例えば水切り板金の劣化と外壁コーキングの劣化というさまざまな要因が重なって、雨漏りになっている場合は一方だけを修理しても雨漏りは止まらないのです。

しっかりとした知識を持った業者に依頼することで雨漏りを止めることができるのです。

またリフォーム業者は大手から小規模業者まで合わせるとかなりの数の業者があるため選ぶことが大変です。

リフォーム業者を選ぶ際はいくつかのポイントを押さえておくと良いでしょう。

まずは雨漏り対策の実績がある業者を選びましょう。

屋根に対しての知識が豊富で、実績のあるリフォーム業者なら安心して任せることができるでしょう。

そして、要望や予算に合わせた提案ができる業者を選べばさまざまな選択肢から施工方法が選べます。

分からない部分を質問した時に、的確な回答が返ってくる業者なら安心です。

できるだけ地域に密着したリフォーム会社を選び、何かトラブルがあった時にでもすぐ駆けつけてくれる業者が良いでしょう。

雨漏りの場合は、緊急性が高いことが多く、即日対応してくれる業者なら被害が最小限で済みます。

リフォーム業者を選ぶ際は、ホームページの内容をよく見て実績と信頼のできる業者に依頼することをおすすめします。

 

まとめ

 

片流れ屋根は雨漏りしやすいデメリットがあるのは確かですが、定期的な点検やメンテナンスと雨漏り対策をしていればリスクを軽減することは可能です。

どんな屋根でもメリットもあればデメリットもある中で、片流れ屋根のメリットを生かした設計を実現したいのであれば上手くデメリットと付き合うことが重要です。

片流れの屋根の雨漏りは、とても多い症状のひとつです。

雨漏りをそのままにして放置しておくと、材木が腐食し下地や構造までも取り替えることになります。

シロアリの原因にもなるので、材木を湿らしてしまわないように雨漏りを見つけたら、すぐに業者に相談し対処してもらうことが重要です。

雨漏りは、家全体の劣化にも繋がるため、日常から注意しておくことが最も必要といえるでしょう。