木造住宅は何年もつの?耐用年数とメンテナンスのポイントを解説! 

2022.02.09

木造住宅は何年もつの?耐用年数とメンテナンスのポイントを解説! 

 

今住んでいる木造住宅は、一体この先何年持つのだろうかと考えたことはありませんか?

建物の耐用年数を正しく理解し、メンテナンスすることは住宅を長持ちさせるために重要なポイントのひとつです。

今回は長く住み続けるために、どのような内容のメンテナンスリフォームをすれば良いのかを解説します。

 

建物の耐用年数の基礎知識

 

木造住宅の価値というのは通常年月の経過とともに減少していくのが普通です。

そのため、住宅を購入した時と売却した時では当然価格に違いがあります。

そこで住宅を売買する際に、現在の価値がどの程度のものかであるかを判定する物差しとして耐用年数というのが用いられるのです。

耐用年数が経過したからといって、必ず住宅として利用できなくなるわけではありません。

耐用年数には大きく分けると、「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」の3種類に分類できます。

 

・ 法定耐用年数

 

法定耐用年数とは、税務会計上の不動産の価値を公平に評価するために国が定めた建物の耐用年数のことです。

住宅では、鉄筋コンクリート造は47年でレンガ造は38年といったように構造やその用途などによって一律に定められています。

国が定めた耐用年数なのでそれに基づいて計算をすると、建物のおおよその現在の価値を把握することができます。

 

・物理的耐用年数

 

物理的耐用年数とは、特定の不動産に現実に住み続けられる年数を示したものです。

一般的にその耐用年数の期間が超過した場合には、処分をするということになります。

しかし厳密には、その住宅の立地条件やメンテナンス状態によって、住み続けられる年数に相違が出てきます。

例えば古い木造の寺院や建造物は、何百年にも渡って使用されていることから考えても証明されています。

 

・経済的耐用年数

 

経済的耐用年数とは、経済的に価値を失ってしまうまでの期間を示した年数です。

経済的耐用年数は、破損や老朽化、または住宅設備の機能など市場性を見て総合的に決められます。

 

木造住宅の寿命は条件によって変わる

 

本来、木造住宅の法定耐用年数は22年とされていますが、実際にどれぐらい長くその住宅に住めるのかは、元々の住宅の構造やその後のメンテナンス状況によって変わります。

そのため、住宅が安全な状態かどうかという判断をするのであれば、物理的耐用年数で計算することが必要です。

しかし、細かい条件によって差が生まれる物理的耐用年数は、住宅の専門家であってもなかなか正確な判断が難しいとされています。

木造住宅では築30年で解体される物件もあれば、80年から100年にわたって利用され続けている物件もあるため、メンテナンス次第で住宅の寿命を延ばすことは可能です。

また、住宅として快適に暮らせるようにするには、水廻りなどの住宅設備のリフォームにも目を向けておく必要があります。

給排水設備や電気設備などの法定耐用年数はおよそ15年といわれているので、30年以上住み続けるのであればリフォームは必須といえるでしょう。

 

住宅を長持ちさせるためのメンテナンス方法

 

木造住宅を長持ちさせるためには、やはりメンテナンスが大切ということがいえます。

住宅の劣化を見極めるポイントやメンテナンスを考えるべき時期について解説します。

 

・ 住宅の劣化を判断するポイント

 

木造住宅の劣化する速さは、その部分によっても変わります。

まず外壁ですが、紫外線や湿気、雨風といった自然環境による経年劣化に目を向けることが大切です。

外壁や屋根の色あせや汚れなど、コーキングの経年劣化などを常に意識して、その劣化状況に合わせてメンテナンスを行うことが必要です。

外的な状況によって違いはあるもののコーキング材は、築10年を迎えた頃から劣化が少しずつ始まってくるケースがあります。

内装については普段からの手入れが大切なポイントになります。

こまめに掃除をすることや壁紙のわずかな劣化を放置しないように、注意しながら長く使えるように心がけることが必要です。

水廻りなどの設備についても、築10年後から経年劣化が始まるといわれています。

キッチン本体については30年ぐらい使用できるとされていますが、コンロや換気扇などキッチンに付属する細かい設備に不具合が徐々に発生してきます。

いずれにしても、劣化をそのまま放置せず出来るだけ早い段階でリフォームすることを検討しましょう。

リフォームを怠ると住宅そのものの寿命が短くなり、長く住み続けることができなくなります。

 

・住宅のメンテナンスを考えるべき時期の目安

 

住宅のメンテナンスはどれくらいの時期でやればいいのか、使用頻度や手入れの状態によっても違いがあるので難しいものです。

外壁や床下は約30年程度、屋根は約20年程度、住宅設備の入れ替えも20年程度が目安となるでしょう。

築20年の住宅であれば、そろそろ全てをリフォームする時期に入っています。

もちろんそれまでに屋根や外壁に塗装が必要であれば、維持するメンテナンスも必要です。

水廻りなど住宅設備の入れ替えや屋根の葺き替えなどは、まず20年を目処に考えていきましょう。

使われている種類で、耐用年数が違うので各部位によって把握しておく必要があります。

 

木造住宅の耐震補強

 

地震災害の多い日本では、地震の種類によっては耐震性能を持つ住宅でも安心できない場合があります。

古い木造住宅にお住まいの方はなおさら心配になるでしょう。

耐震補強を考える時に一体どの程度の費用がかかるのか、また補助金や助成金などはあるのかなど住宅を長持ちさせるために必要な耐震補強について見ていきましょう。

 

・耐震補強が必要な木造住宅

 

耐震補強が必要な木造住宅の基準は1981年(昭和56年)5月31日以前に工事着手した木造住宅かどうかで判断されます。

またその建物の特徴によっても、耐震補強が必要かどうかの判断基準になります。

耐震補強が必要な特徴を紹介しましょう。

 

・建物の南側に開口部が連続して建物の四隅に壁がない木造住宅

・外壁や基礎部分に比較的大きなクラックが発生している木造住宅

・地盤が液状化などの悪い地域に建築されている木造住宅

・柱や壁の垂直度や床の水平とに問題がある木造住宅

・平面の形が複雑な木造住宅

・土葺きの瓦屋根や土壁で塗られた木造住宅

・柱のサイズが一辺12cm 以下の古民家住宅

などが挙げられます。

 

・耐震診断を受ける

 

耐震診断を受ける場合、実際の所要時間はおおよそ1時間から2時間程度です。

建築確認書がない場合は、間取りを確認しながら調査をするため2時間以上かかることもあります。

調査をする際には、耐震診断士によるヒアリングがあります。

具体的には最初に住宅が建築された時期や以前に行った改修や修繕工事についての工事内容を伝えます。

また、小屋裏の有無や木造以外の構造部分の有無など、一軒の住宅で木造と鉄骨、木造と鉄筋コンクリート造などの混合構造になっていないかどうかなどのチェックがあります。

 

・ 耐震診断報告書をもとに耐震補強を検討する

 

耐震診断が終われば、診断報告書が作成され手元に届きます。

担当した耐震診断士から、現場の耐震性能と改善のための補強計画案や補強工事概算費用が示されます。

この場合での補強計画と補強工事概算費用はあくまでも目安となります。

実際に補強工事を行う場合は担当した耐震診断士に補強設計を依頼し、その設計に基づいて工事会社に見積もりを依頼すると良いでしょう。

信頼できるリフォーム会社にその診断報告書を提示し、具体的な耐震補強工事の内容を見積もりしてもらいましょう。

補助対象工事の補強設計には都道府県の診断士資格が必要です。また補助対象工事に該当する場合は助成金申請ができるので耐震診断士やリフォーム会社に依頼しましょう。

総額費用や工事内容を確認して契約を締結し工事の準備に入ります。

 

木造住宅の耐震補強にかかる費用の目安

 

耐震診断にかかる費用は、補助対象の木造住宅の場合は無料です。

対象外の住宅の場合はその地域によって差がありますが、おおよそ一件当たり10万円程度です。

また古民家など細かい診断や補強計画を行う場合には、20〜30万円かかることもあります。

 

耐震補強の工事費用の目安

 

補強設計を含む工事費用は、既存住宅の耐震性能によっても変動します。

例えば、瓦屋根を軽量な金属屋根に変更することで耐震性能をアップさせる場合、住宅の規模にもよりますがその工事だけで100万円以上はかかります。

一般的には幅91cmの壁一箇所あたりの耐震改修費用の目安は10万円程度です。

またコンクリート基礎の増設などの場合は、1mあたり5万円程度かかることもあります。

一般的な工事費用は、既存住宅の規模や耐震性能によってさまざまですが、おおよそ100万円以上必要になると思われます。

 

木造住宅の耐震補強に関わる補助金と助成金

 

木造住宅の耐震診断に対する補助金や助成金については各自治体によって金額が異なります。

詳細は、お住まいの自治体に直接問い合わせるのが良いでしょう。

もしくはリフォーム業者に調べてもらうと分かりやすく説明してもらえます。

1981年(昭和56年)5月31日以前に工事着手した住宅であれば、補助金の補助率は50%から80%なので費用を抑えることができます。

補助金や助成金を上手く活用することで出費を抑えましょう。

 

旧耐震基準と新耐震基準の違い

 

耐震基準は1981年(昭和56年)を境目として新耐震基準と旧耐震基準に別れます。

この新旧の耐震基準はどのように違うのか解説します。

 

・ 新耐震基準とは

 

耐震基準とは、建築物の設計段階で地震に対する建築物の耐久構造の基準を示すものです。

耐震基準が見直され1981年昭和56年6月1日以降に適用されている耐震基準を新耐震基準と呼び、それより以前に適用されていた基準を旧耐震基準と呼ぶようになりました。

1950年昭和25年に人命や財産を守ることを目的に建築基準法で定められた基準で、建築物の敷地や構造設備に対しての基準が定められています。

現在日本にある建築物はすべてこの基準を守らなければなりません。

過去に起きた大震災と合わせて耐震基準は少しずつ見直されてきました。

昭和53年の宮城県沖地震や平成7年の阪神淡路大震災では、多くの住宅や建築物の倒壊、ブロック塀の損壊による大きな被害が見られ多数の死傷者が出ました。

こういった大震災による被害状況により、旧耐震基準が見直され新耐震基準が新設されたということです。

 

・新旧耐震基準の違いは震度6

新耐震基準と旧耐震基準の大きな違いは、耐震基準の震度の違いです。

旧耐震基準では震度5強程度の地震ではほとんど建築物が損傷しないと規定されていました。

しかし、昭和53年の宮城県沖地震の被害が想像以上に大きかったため、旧耐震基準のままでは大規模な地震が起こらずとも大きな被害が生じることが予想され、耐震性を見直すことになりました。

地震による建物の倒壊を防ぐだけではなく、建物内の人間の安全を確保することに着眼し、新耐震基準では震度6以上の地震に耐えられることを基準として大地震に対する対策を新たに設けました。

 

中古住宅を購入しリノベーションする注意点

 

築年数の古い中古住宅を購入して自分好みにリノベーションしたい人もいるでしょう。

その場合の注意点を解説します。

 

・ 住宅ローン減税を受けられるか

 

新耐震基準と旧耐震基準のもう一つの違いは、住宅ローン減税の対象になるかどうかです。住宅ローン減税とは、ある一定の条件を満たすことによって各年末における住宅ローン残高の1%を所得税、もしくは住民税から10年間控除してもらえるという制度です。

条件としては、新築住宅の取得築20年以内の非耐火構造住宅、築25年以内の耐火住宅となります。

旧耐震基準では控除対象外でしたが、改定後は新耐震基準を満たす建物であれば築年数に関係なく耐震基準適合証明書があれば住宅ローン減税を受けることができます。

 

・中古住宅購入の際は新耐震基準が適用されているか

 

新築の場合は新耐震基準が適用されていますが、中古住宅の場合は昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた建築物であることも十分考えられます。

中古住宅を購入しリノベーションを検討の際は、対象建築物の建築確認通知書を確認させてもらい新耐震基準が適用されているかどうかをチェックすることが必要です。

 

まとめ

 

木造住宅の耐用年数は、その建物の構造とメンテナンスによって寿命が変わります。

住宅を長持ちさせるためには、こまめなメンテナンスリフォームが必要です。

また災害の多い日本で、いつまでも快適に暮らせるようにするためには耐震性能も向上させておく必要があります。

築年数の古い旧耐震基準の建物であれば耐震補強の工事も必要でしょう。

木造住宅はさまざまなメンテナンス次第で100年以上維持することも可能です。

大切な我が家に長く住み続けたいのであれば、今どのようなメンテナンスが必要なのかを一度リフォーム業者に相談することをおすすめします。