中古住宅を購入してリノベーションをするために物件を選ぶ方法や注意点!
2022.04.20
近年、中古住宅を購入してリノベーションする人々が増えています。
新築住宅に憧れはあるけれど、住みたい場所にもこだわりたいという方も多いのではないでしょうか。
住みたい場所に理想的な土地が無かったり、予算に合わなかったりする場合がよくあります。
そんな場合は、マンションを購入してリノベーションしたり、戸建て中古住宅を購入してフルリフォームするという方法も手段の一つです。
今回は、中古住宅をリノベーションするにあたって、物件の選び方や具体的にどのようなことに注意して進めていけば良いのかを解説します。
どのようなライフスタイルにしたいのかイメージする
まず、物件を探す前に具体的にどんなライフスタイルにしたいのか、ということに焦点を当ててみましょう。
ライフスタイルを考えると選び方が明確になります。
家族がいる方は、それぞれの意見があると思うので家族間で話し合うことが必要です。
例えば、都会に住みたいのか自然に囲まれた田舎に住みたいのか、海の近くがいいのかなど、あくまでもイメージを重視して夢や要望をどんどん出していきます。
少し現実的ではない話であっても制約を付けずやってみたいこと、こんな暮らしをしてみたいなどを書き出していくことが大切です。
すべての要望を実現するのは難しいので、後で優先順位をつけていきます。
どんなライフスタイルがいいのか考え、優先順位をつけることでイメージを固めていきましょう。
中古住宅を購入する上でイメージをまとめていくことは、納得のいく住まいにするために必要な作業なのです。
中古住宅の耐震性は重要
中古住宅を購入する場合、マンションでも一戸建てでも耐震性が重要なポイントになります。
建物の耐震性について全国で基準が設けられたのは、1950年にできた建築基準法からです。
その後さまざまな大地震の経験から耐震基準は強化されてきました。
1981年に新耐震設計基準が導入され、基本的に新耐震設計基準を満たしていれば人命を損なうような倒壊は防げるとされています。
築年数の古いマンションの購入を検討している場合は、建築確認申請の日付が1981年6月1日以降かどうかを確認することが必要です。
また木造住宅については、2000年に木造軸組工法の耐震性に関する法改正がされました。
以前との違いは、新築時の地盤調査が事実上義務化されたことや壁の配置のバランスについてバランス計算が義務化されたこと、柱や筋交いなど金物の使用箇所や使用方法が明確化していなければならない。ということなどが挙げられます。
木造住宅は2000年以降の建物であっても、この法改正に沿って建てられた住宅とは限らないので調査することが必要です。
税制・住宅ローン控除・補助金を確認しよう
中古住宅をリノベーションする場合は、自治体の補助金などの支援制度があるのか確認しましょう。
以前の日本の住宅政策は、新築住宅を建てるという事が中心でした。
ところが住宅の数が世帯数を上回ってしまう時代になり、国の住宅政策は大きく変わっています。
つまり、中古住宅市場を整備するという考えです。
この考え方は建物の寿命をできるだけ伸ばし、その資産価値を維持するということで、中古住宅の耐震性の向上や省エネルギーの推進が必要になってきます。
例えば、耐震性の高い住宅については税制や住宅ローンなどで優遇されます。
反対に耐震性に問題のある建物の資産価値が下がるということになります。
また、各自治体の補助金制度の耐震性や省エネ性の高い住宅に補助を出すという動きは、今後も継続される傾向です。
中古住宅をリノベーションして住む場合は、税制や住宅ローン控除、自治体の補助金などを確認し上手く活用するようにしましょう。
水害を意識して土地を選ぶ
土地には高低差があり、水害の起こりやすい場所かどうかを確認することが必要です。
台風時の断続的な雨で洪水になった場合に、浸水する可能性はどのくらいあるのか、周囲と比べて高低差があり安心できる地域なのかを見ておきましょう。
例えば、ゲリラ豪雨などの短時間に集中的な雨が降った場合に、雨水の排水能力が追いつかない可能性もあります。
その地域の過去に浸水した履歴の有無も確認しておくと安心です。
また、ハザードマップサイトや市町村役場で履歴がないか確認することもできるので活用しましょう。
ホームインスペクションは必須
ホームインスペクションとは住宅診断のことで、建物の劣化具合など現状を把握するものです。
専門家の診断を受けると素人では分かりにくい部分まで細かく調査してくれます。
欧米では住宅購入前にホームインスペクションをするのは常識となっていますが、日本でもようやく最近になって意識が高くなってきました。
中古住宅を購入する場合、なかなか素人では判断できない部分が多々あります。
そのため、国内でも将来的にはホームインスペクションに対し、取引の中で制度として取り入れる方向です。
リノベーションをする業者が、物件を購入する前に診断してくれるのであれば問題ありません。
しかし、取引に利害のない第三者である公認のホームインスペクターに依頼するのもおすすめです。
ホームインスペクターに依頼する場合は、診断実績がどの程度あるかを確認しましょう。
また建物には木造や鉄骨造 、RC造など構造種別によって専門分野が分かれているため、その構造に詳しいホームインスペクターに依頼することが重要です。
周辺環境を調査しよう
中古物件を購入するにあたって、周辺環境は重要なポイントのひとつです。
通勤や通学、買い物の利便性を確認するのは当然ですが、他にも重要なポイントがいくつかあります。
1つ目のポイントは、現地を調査する場合、日中だけではなく夜間や休日など時間帯に応じて周辺環境の変化がないか確認しましょう。
駅までの道中が暗くて一人で歩くには怖い環境であったり、 狭い道などが抜け道で車の交通量が異常に多かったりと意外なことが判明したりします。
また、近くに工場や線路があれば悪臭や騒音などの問題も出てきます。
2つ目のポイントは、周辺環境について近隣の方にヒアリングするのも効果があり、細かい小さな情報まで仕入れることです。
例えばゴミ置き場が近くにあるとか、近隣にこんな人が住んでいるとか良い部分も悪い部分を教えてもらえればあとで後悔することはないでしょう。
また市町村役場に問い合わせれば、その地域に今後どのような計画があるのかなど教えてもらえます。
物件を選ぶにあたって周辺環境は最も大切なポイントなので十分に調査した上で購入しましょう。
思い通りのリノベーションができるか
一戸建てにしてもマンションを購入するにしても、物件によっては思い通りのリノベーションができないこともあります。
例えばマンションの場合、ユニットバスなどの水回りを動かす際には、床に段差ができてしまいます。
マンションのユニットバスは一段下がっているのが一般的で、そこにはめ込むようにユニットバスが組み込まれていることが多いのです。
これを動かす場合には、段差のないコンクリートスラブの上にユニットバスを載せなければならないため、床自体を一段上げなければなりません。
また、マンションの床や天井もリノベーションできるか確認が必要です。
マンションの床や天井はクロスや床材をコンクリートに直接貼る「直床」「直天井」と二重になっている「二重床」「二重天井」のパターンがあります。
例えば直天井の場合、天井に照明をつけたい場合には天井を下げなくてはなりません。
水回りの位置変更で配管の経路を移動する場合などには、配管を通すために床の高さを上げなければなりません。
一方、一戸建ての場合にありがちなのは、二つの部屋をつなげて大きな部屋にしようという計画です。
その際、耐震性を確保するために必要な壁を取り払うことができない場合があります。
それを知らずに壁を取り払って、地震に弱い建物になってしまうこともあります。
想定した通りのリノベーションができるかどうかは、業者に物件を調査してもらい判断してもらうことが必要です。
物件の上下水道の配管を確認する
中古住宅を購入するにあたって、上下水道の配管を確認することが必要です。
配管の素材や劣化状況によっては交換が必要な場合もあります。
しかし、現在の配管の主流は樹脂で作られており、素材そのものは半永久的に使えるといわれています。
この素材の場合には、継ぎ目などから水漏れしていないかを確認することが必要です。
一方、中古マンションの場合2000年ぐらいまではいわゆる亜鉛メッキや塩化ビニールなどの素材が使われているケースが多く、寿命は約30年程度とされています。
この素材は長期間使用されていると鉄が錆びて膨張し、継ぎ目から水漏れするなどの症状が発生します。
このような物件を購入してリノベーションを行う場合、配管の素材や状況を点検し、必要であれば交換しなければなりません。
実際に住み始めてから水漏れやサビが出て交換する事になっても大変な工事になります。
このように配管などの見えない部分については、図面を見れば設計時の素材やルートなどが判明します。
劣化状況に関しては、実際に建物を壊してみないとわからないこともあるので、リノベーションを行う業者に相談することが必要です。
マンションの場合は管理組合の状況を確認する
中古マンションを購入する場合は、その管理組合の状況を確認することが必要です。
中古マンションを購入すると自動的に管理組合の組合員になり、活動に必要な管理費や修繕積立金といった費用を支払う必要が出てきます。
マンションの管理は、管理会社がやってくれるものだというのはよくある一般的な誤解で、管理会社はあくまで管理組合から委託を受けているに過ぎないのです。
どの管理会社と付き合うか、どのような内容の管理をお願いするかなどは、あくまで住民が構成する管理組合に決済権があります。
この管理組合が居住中の快適性や建物の寿命、そのマンションの資産性にまで大きく影響します。
今後さらにその重要性が確認されていくことが、最近はよく知られるようになりました。
例えば管理組合が仕事をせずに、エントランスやポスト周り、駐車場や駐輪場、ゴミ置き場などが乱雑になっていれば、自ずと快適性は下がります。
このことはもちろん資産性にも大きく影響します。
また建物の点検や修繕を計画的に行っていないと、建物の寿命を縮めてしまうほか、対処療法的な修繕では無駄な出費をする可能性が高くなるのです。
どのように管理組合が機能しているかを確認するには、組合の議事録などを見せてもらうのが良いでしょう。
そのマンションでどんな議題が話し合われて、どのような課題があるのかなどが明確になります。
実際には見せてもらえないことも多いのですが、まずは不動産仲介担当者などにその旨を依頼してみましょう。
物件状況報告書・付帯設備表があれば確認する
物件状況報告書とは、過去に建物に被害があったか、現在はどのような状況かを報告書としてまとめたものです。
具体的には、給排水設備の状況はどうなのか、火災や浸水などの被害はあったのかなど売主が知っている情報を買主に報告する書面です。
一方、付帯設備表には照明器具や空調器具などの設備からカーテンレールや物置まで設置されているものを、引渡しの際にどのように扱うかを記載します。
これらの書類は取引上義務ではありませんが、用意されていると望ましいので国は書類について制度的な位置付けを検討しています。
このような報告書や設備表があると売る側も信頼度が上がり売りやすくなりますし、買う側としても安心して購入することができます。
もちろん信憑性のある書面でなければならないので、売主や仲介業者の責任も発生することになるでしょう。
もし検討している物件があれば購入前にこのような書面を依頼するのも一つの方法ではないでしょうか。
まとめ
中古住宅を購入してリノベーションする際、物件を選ぶポイントと注意する点を解説してきました。
中古住宅は、一見綺麗に見えても見えない部分が劣化していたりすることがあります。
また、上下水道の配管の素材までも気にしなくてはなりません。
さまざまな確認するべきことがたくさんあり素人では判断に困ります。
そのようなことを踏まえて購入前には、住宅を診断してくれる信頼できる業者に依頼しましょう。
費用はかかりますが、ホームインスペクター(住宅診断士)に依頼する方法もあります。
中古住宅の購入後に後悔しないように、調査を重ねて物件を選ぶことが重要ではないでしょうか。