バリアフリーリフォームは将来を見据えて行おう!具体的な方法を解説!
2022.04.20
バリアフリーリフォームをするタイミングはいつなのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
バリアフリーリフォームにしたい場合は、将来を見据えたリフォームを心がけることが大切です。
バリアフリーが必要になってから、リフォームをするのでは遅いこともあります。
今回は、家族に高齢者がいる人や将来的に必要な人に参考になる、バリアフリーリフォームの基本を解説します。
手すりを設置する
バリアフリーリフォームの基本は、まず転倒しないように手すりを付けることが基本となります。
高齢者が階段を昇り降りする時や廊下を歩く時、少しの段差で壁などに手をついていることも多いと思います。
壁を伝って歩くのは決して安全とはいえません。
体を支えるための手すりの設置は必要不可欠で、壁などに手をついているところは必ず手すりを設置しましょう。
また、階段や段差などバランスを崩しやすい所に、前もって設置しておくことも必要です。
手すりの設置は、しっかり壁の下地工事を行い丈夫な手すりを設置することが重要です。
また、設置する高さや位置も使う人に合わせて付けてあげることが大切でしょう。
・手すりを設置するポイント
①使う人にとって握りやすい形や種類を選ぶ
②使う人の最も使いやすい位置に設置する
③外れたりしないように下地工事をしっかりと行う
④バリアフリー工事に慣れた業者を選ぶ
などが挙げられます。
高齢者の使いやすい位置や形状の手すりにしてあげることが重要です。
段差を解消する
バリアフリーリフォームは段差の解消が必要です。
ほんのわずかな段差であってもつまずく原因になり、足腰の弱い高齢者にとっては負担になります。
できるだけ段差のない状況にリフォームするよう心がけましょう。
段差の解消方法としては、スロープの設置や床のかさ上げ、式台などを設置して段差を小さくするというような方法があります。
段差の解消については、解消箇所に合わせた適切な方法をとらなければなりません。
・段差解消リフォームのポイント
①スロープの勾配は、決められた角度で急な角度になりすぎないように注意する
②長すぎるスロープにしないこと
③式台などの設置はしっかりと固定すること
などが挙げられます。
段差はそれぞれの家の状況によって条件が変わります。
業者に相談し段差解消の方法をアドバイスしてもらいましょう。
滑りにくい床にする
バリアフリーにする場合、滑りにくい床材に変更することは重要です。
室内であっても転倒によるケガや骨折などの事例はたくさんあり、そのような事故が起こらないよう未然に防ぎたいものです。
そのためには滑りにくい床材を選び、バリアフリーリフォームをすることが必要です。
洗面所など水を使用する場所の床材だけでもリフォームしておくと安心でしょう。
それぞれ各部屋に適した床材を選ぶことが大切です。
・床材を変更するリフォームのポイント
①玄関の周辺は濡れることも考えてノンスリップタイルなどを採用する
②階段は滑りにくい木材を使用し階段の縁には滑り止めをつける
③廊下は生活動線としてよく通るところなので滑りにくいコルクタイルなどを選ぶ
④居間や寝室の床材はフローリングでもクッション性のあるものを選ぶ
⑤トイレや洗面脱衣場などは汚れの落ちやすい滑りにくいものを選ぶ
などが挙げられます。
高齢者のバリアフリーリフォームの床材は、滑りにくいこととクッション性が大切です。
照明器具の交換リフォーム
高齢になると視覚機能の低下がみられ、小さな文字が見えにくかったり、段差が分かりにくいなどという症状が現れてきます。
加齢に伴い視覚機能がどのように変化するのか見ていきましょう。
まず明るい場所から暗い場所へ移動した場合、視力の回復の時間が20代は約30秒ですが、60代以上は1〜2分かかることが分かっています。
また明るい場所でも暗く見えたり、眩しいものもより眩しく見えたりすることがあります。 さらに、青や緑が認識しにくく、灰色に見えたりする場合もあるようです。
高齢になると、このような症状が出てくるので、照明を交換する場合には意識してあげましょう。
・ 照明交換リフォームのポイント
①人感センサー付きの照明を選び、明るさが均一になるようにしましょう。
そうすることで、明るい部屋から暗い部屋への移動の際も視力を奪われずに済むでしょう。
また、主要な照明のほかに補助照明を組み合わせることで、より明るくすることができます。
光が直接目に入らない照明器具を使用し、電球はオレンジ系の電球色を選ぶと眩しさが軽減します。
照明は明るさが必要ですが、目に優しいことも条件の一つです。
日常生活が1階で暮らせるようにする
一戸建てでは2階建ての住宅が多いですが、将来階段の昇り降りができなくなったことを考え、生活スペースを1階のフロアにまとめておくことが重要です。
具体的にいうと寝室、トイレ、洗面、キッチンが一階にあり、生活が全て1階でまかなえるようにするということです。
また一つの案として、減築して平屋にすることも可能です。
2階に上がれない、手入れができないなどの状態であれば平屋にすることも一つの方法です。
ヒートショックを防ぐ間取りにする
高齢になると問題になるヒートショックですが、心筋梗塞や脳梗塞など血圧が大きく変動して起こるため冬場に多い事故です。
このような事故を未然に防ぐために、浴室と寝室トイレの配置は十分に考える必要があります。
これらの3つの生活動線は、なるべく短くし温度差をなくすことが理想的です。
寒い廊下を長時間通らずに、トイレに行ける事がポイントとなるでしょう。
どうしても不可能な場合は、押入れスペースをトイレにリフォームすることもできるので視野に入れましょう。
廊下や脱衣所がどうしても寒い場合には、冬の間だけ暖房を入れることも考える必要があるでしょう。
生活動線を短くそして温度差をなくすことがポイントです。
車いす移動を考慮した廊下幅を確保する
現在は車椅子生活ではなくても、将来車椅子を使う可能性を考慮して、余裕を持った広さを確保しておきましょう。
廊下は手すりが付いていることが多いですが、廊下の幅に余裕がないと手すりのでっぱりに接触してしまうこともあります。
そのため廊下は手すりを付けて、十分に車椅子が通れる幅を確保することが重要です。
また、寝室等の部屋の広さは、車椅子が回転できるか確かめることが大切です。
寝室を例にすると、ベッドなどの家具を置いた状態で回転できるだけのスペースがあるかどうか確かめましょう。
回転スペースがないと、前向きで入室して後退しながら退出することになり転倒する危険性があります。
さらに車椅子からベッドへの移動も人によってやり方が異なります。
ベッドと車椅子を平行にする人もいれば垂直にする人もいます。
どのようなやり方でも使いやすい広さを確保することが大切です。
玄関のバリアフリーリフォーム
玄関の周辺は段差の多い場所のため、玄関ポーチや階段などの段差のある箇所がたくさんあります。
靴を脱いで、家に上がる時の上がり框の段差があるケースもあるでしょう。
1段の段差であっても、足腰の弱い高齢者には大変辛くなるものです。
その辛さを少しでも緩和するために段差の軽減やスロープの設置をおすすめします。
・スロープの設置ポイント
①スロープの長さは高さの約8倍が目安
②車椅子を押してもらう場合は30cmの段差に対して2.4mのスロープが必要
③自分で車椅子を押す場合は30cmの段差に対して3.6mのスロープが必要
車椅子の種類やスロープの利用者によって、上記の数値が当てはまらないこともあります。
あくまで目安なので、実際に使う人に合った勾配や長さを設置しましょう。
・式台の設置
玄関の上がり框に式台を置くことで、大きな段差を小さく軽減することができます。
手すり付きの式台もあり、段差や玄関の状況に合ったものを選ぶことが大切です。
理想的な段差は10cmから18cm程度で、式台と下地をしっかりと固定し転倒の事故がないようにすることが必要です。
式台をつけることで、一度に大きな段差を昇らなくてすむため楽に昇り降りができます。
・玄関ドアを広くする
車いすの出入りが容易にできるように、玄関ドアの幅を広くすることが必要です。
一般的に車椅子で楽に出入りができるためには、75cm以上あると良いでしょう。
ドアのタイプは開き戸よりも引き戸のタイプのものがお勧めです。
引き戸は車椅子の人が自力でドアを開閉することもできますし、開けたドアが出入りに邪魔になることもありません。
さらに段差解消のためには、引き戸の下レールをなくして吊り戸に変更するとよりスムーズに車椅子が通れるでしょう。
・玄関に足元照明を設置する
玄関の足元を照らす足元照明は暗くなりがちな夜の玄関におすすめです。
足元を照らすことは、高齢者にとって非常に重要で転倒防止につながります。
自分で電気スイッチをいれなくて済むように、人感センサー付きの自動点灯にすることでより車椅子が使いやすくなるでしょう。
また、防犯対策や節電にもなるので家族にとってもメリットといえます。
・モニター付きインターホンを設置
最近では、モニター付きのインターホンが付いているところは多いですが、特に高齢で一人暮らしの方などは必須といえます。
一人暮らしを狙った悪質な勧誘やセールスも多いので、防犯対策の意味でも設置することをおすすめします。
最近では録画機能の付いたものや、カメラの死角ができないように広範囲を写すカメラもあります。
・玄関ドアの電気錠の設置
玄関ドアをリモコンなど使って、遠隔操作や玄関ドアの鍵の開閉が出来ます。
インターホンで相手をしっかりと確認し、知り合いや家族であれば居間などから鍵を解錠することができます。
玄関まで出向く動作に時間がかかる方や、歩くのが苦痛な方にはおすすめです。
・玄関に椅子を設置する
玄関に椅子を設置すると、腰掛けたり荷物を置いたり便利に使えます。
靴を履いたり脱いだりする際に、安定した体制で行うことが安全につながりケガのリスクを下げます。
また荷物が多い時など、ちょっとした荷物置きにもなります。
・玄関床材の変更
玄関内は雨の日などどうしても濡れてしまいます。
雨の日であっても水がすぐ乾き、滑りにくい床材に変更することが理想的です。
床材の表面がザラザラしていると滑りにくいですが、ザラザラしすぎると掃き掃除や拭き掃除がしにくくなります。
適度なざらつきで滑りにくく、掃除しやすいものを選びましょう。
階段のバリアフリーリフォーム
階段バリアフリーリフォームは、手すりの設置が必須です。
足腰が弱ると少しの移動も辛いと感じるので、体を支える手すりがあると負担が軽減されます。
また手すりが必要ないと感じる方も、壁の下地補修だけでも済ませておくと取り付けたい時にすぐに設置が可能で安心です。
さらに古い戸建て住宅は、部屋の広さや大きさを重視した様式が多いため、階段に割り当てられた空間が小さくなっています。
そのため階段が急で、一段一段の踏み板の幅が狭くなっている場合が多くあります。
しかしこういった階段の昇り降りは、歳をとるにつれて大変になりますし、転倒のリスクもあります。
昇り降りを楽にするために、踏み板幅を21cm以上は確保し、1段の高さは23cm以下にすることが理想的です。
階段の勾配は、30度から35度程度が最も昇りやすい角度です。
階段の踏み面に滑り止めを取り付ける
階段の踏面に滑り止めをつけることによって階段の昇り降りの際、滑って転倒する危険性が少なくなります。
階段で転倒する場合は、踏面の角で滑ってしまうことが多いので滑り止めは有効です。
階段の照明を明るくする
階段が暗いと転倒のリスクが高くなるので、足元を照らすための照明はしっかり取り付けましょう。
夜中に移動するときなどは特に危険なので、照明スイッチを探す手間を省くために人感センサー付きの照明がおすすめです。
また階段には、1段1段蹴上部分に照明をつけると見やすくなります。
まとめ
バリアフリーリフォームの基本について詳しく解説してきました。
家のそれぞれの場所に、使う人に合ったバリアフリーリフォームを行うことでより快適な暮らしができます。
また介護保険など活用できる制度は活用し、お得にリフォームしましょう。
その際には、注意事項や手順をよく確認してから活用することが必要です。
まだ介護が必要なくても将来的なことを考え、リフォームするタイミングがあればバリアフリーリフォームを意識することをおすすめします。