憧れの古民家暮らしを実現する!古民家リノベーションのメリットデメリットを解説
2022.04.20
近年歴史のある古民家をリノベーションして暮らす人が増えています。
築年数の古い古民家をリノベーションするには、どのようなメリットとデメリットがあるか知りたい人も多いのではないでしょうか。
そこに暮らすとなるとしっかりとリノベーションを計画しなければ住みにくい家になってしまいます。
そこで今回は、古民家をリノベーションして住みたい人や古民家に憧れを持っている人の参考になる古民家リノベーションのメリットデメリットを解説します。
進め方や費用の相場まで紹介するので確認しておきましょう。
古民家の定義
そもそも古民家とは、どういったものを指すのでしょうか。
正確にいうと正式な定義があるわけではないのですが、太平洋戦争前の昭和初期の時代や大正時代に建てられた木造住宅であれば古民家といえるでしょう。
そう考えると、およそ今から80〜100年前後前の建物ということになります。
そして、この古い時代の趣を残しながら、現代の住みやすい住宅にするのが古民家リノベーションです。
古民家リノベーションのメリット・デメリット
古民家リノベーションのメリットデメリットについて解説します。
・メリット
古民家は日本古来の古き良き建物です。
そのメリットは古民家が好きな人には、たまらなく充実した空間になります。
たくさんのメリットがあるので解説します。
メリット1:古い良い古材を味わえる
古民家リノベーションのメリットは、古くて良いものを残しいつまでも味わえることです。
古民家の魅力は何といっても、太い大黒柱や立派な梁や桁などあらゆる構造体が大木で作られている点です。
その存在感は圧倒的で、今の木造住宅では考えられないような構造になっています。
例えば天井を見上げれば、年月を感じさせる黒光りした太い梁が魅力的で圧倒されます。
古民家で使用されている木材は、現在では調達することが不可能なものがとても多く、仮に見つけられたとしてもかなりの費用がかかってしまいます。
そのような贅沢な柱や梁を毎日眺めることができるだけでも古民家ファンにとっては十分なメリットになるでしょう。
メリット2:空間が広くて間取りが作りやすい
古民家は屋根裏まで見上げることが多いので、室内空間がとても広く感じます。
広々とした空間を活かした間取りにすれば、古民家の開放感を活かせるでしょう。
また、玄関を入ると大抵広い土間があり、南側には田の字に和室が並んでいる間取りが多く見られます。
昔は、来客時には明るい南側の和室をお客様を迎える部屋としていたからです。
そのため家族は、北側の日当たりの悪い場所で生活する間取りに設計されていました。
古民家をリノベーションする際は、その田の字の和室をリビングに変えるリノベーションをすると広い空間が実現できます。
古民家をリノベーションするメリットは、太い柱や梁などの素晴らしい構造体を利用できることです。
なおかつ広いスペースを使って、大きな LDK などにリフォームすることが可能です。
メリット3:日本の気候に適している
古民家のメリットは、日本の風土に適しているという点です。
日本は四季がある国なので、夏は猛暑が続く日が多く、冬には大雪になる地域もあり適用が難しいとされています。
今の住宅では冷暖房設備が充実しているため、室内の温度調節はそんなに難しいことではありません。
しかし、そのような設備に依存しなければならないのは、電気代などあらゆる光熱費を消費します。
設備を使用する分、ランニングコストも高くなり省エネにも反します。
古民家の時代はそのような冷暖房設備も完備していなかったので自然を生かして寒さ暑さを人の工夫によりしのいできました。
それにより古民家の構造は夏の暑い日差しを遮り涼しく過ごせるような素材を使ったり冬の寒さを抑える知恵が表れています。
古民家は日本全国どこでも同じような構造ではなく、その土地や風土に合わせて作られています。
雪深いところもあれば夏の暑さが強いところもあり、その土地の自然状況を踏まえた建物だということです。
古民家をリノベーションすれば、その土地に適した住宅が作れます。
メリット4:人に優しい建物
現在よく住宅に使われている建材は、コンクリートや 接着剤を使った材料など人工的な素材が用いられています。
確かに住宅を建築するコストを抑えたり、強度を出すために色々な素材が各メーカーから開発販売されています。
このような人工素材は、さまざまなメリットがあるものの、人の体に悪い影響を与えてしまう可能性もあります。
最近では化学物質に対して研究開発が重ねられ、人体にはそれほど影響はない素材が作られていますが、以前問題になったシックハウス症候群やアレルギー反応を起こす人も全くゼロではありません。
また最近の建物は断熱性を重視するあまり、気密性が良く昔の家に比べれば通気性はよくありません。
冬の結露によるカビの発生などでアトピー性皮膚炎や鼻炎、喘息などのアレルギー症状に悩む人もいます。
古民家は自然素材のみを使用した建物であるため、こうした現代の疾患に悩まされることは少ないでしょう。
古民家をリノベーションする際にもできるだけその風土や自然素材を残し、人の健康を優先した空間作りが必要です。
・デメリット
さまざまな魅力やメリットが多い古民家リノベーションですが、古民家ならではのデメリットがあるのも事実です。
古民家をリノベーションする際には、デメリットもしっかりと押さえておくことが大切なポイントとなります。
デメリット1:修繕費や火災保険が高くなる
古民家のデメリットは修繕や火災保険等のランニングコストがかかる点です。
古民家は物件によってかなり老朽化している場合もあります。
古いがゆえの味も古民家の魅力の一つではあるのですが、修繕が必要な部分は増えてくるでしょう。
またリノベーションをする際に、外からはなかなか見つけにくい壁の中や天井裏などを解体して初めて老朽化が発覚する場合もよくある話です。
そうなると必要以上にリノベーションの費用が高くなり、最終的に予算がオーバーしてしまう可能性もあります。
さらに古民家は火災保険や防火設備の費用も発生します。
古民家は木造住宅なので、火災に対して非常に弱い建物です。
木造住宅という理由だけではなく、部屋そのものの空間が広いため、火災時にも気付きにくいといったデメリットもあります。
このように、火災のリスクが多い点からも火災保険が通常の住宅より高くなってしまう傾向にあります。
新たに火災報知器の設置や対策などの費用も発生するので、予算に入れておきましょう。
デメリット2:断熱性が弱い
古民家のデメリットは、断熱性がやや弱い点です。
古民家は通気性が良く、風が室内を循環する構造に作られています。
そのため暑い夏の季節は、比較的快適に過ごせるものの冬場の寒さは厳しいのが現実です。昔の家ほど寒さに弱く、断熱性があまり良くありません。
また天井が高い構造になっているため、暖房による暖かい空気が上昇し足元は寒さを感じてしまいます。
古民家をリノベーションする際は、床の断熱や暖房器具への投資が必要になります。
そして住み始めてからも一般住宅より暖房などのコストがかかってしまうでしょう。
しかし、古民家特有の掘りごたつや薪ストーブなどを取り入れると、古民家のイメージにマッチした古き日本の文化を味わえるのではないでしょうか。
デメリット3:耐震性に不安がある
古民家のデメリットは、耐震性にやや不安があるところです。
古民家といわれている建物は、建築基準が制定される前に建てられたものになります。
現代の住宅では、地震などによる倒壊しにくい耐震性のある構造やコンクリートなどの材質を使い、耐震を売りにした住宅もたくさんあります。
日本は地震の災害が年々多くなっていることからも、古民家の耐震性能に不安を感じる方も少なくありません。
しかし、そんな古民家も建物自体は大変丈夫であり、大地震の際に一部をあえて倒壊させることで全体にかかる揺れを吸収する構造になっているのです。
そのため、一概に古い古民家が耐震性能が低いということではありません。
それでも現代の新築住宅と比較すると耐震性に重要な部分が腐食しているケースなどもあり懸念されるところです。
また強度が高い木材だとしても見えない部分で割れていたり、腐食している部分があるかも知れないのでリノベーションをする際には、必ず点検し確認することが必要です。
万が一悪い部分を見逃すと、地震災害の時などはその部分から家が倒壊する可能性も無いとはいえません。
耐震性能については、人命にかかわる重要な課題でもあるため、古民家をリノベーションする場合は安心できるように細かい点まで確認をすることが重要です。
耐震性が気になる場合には古民家の構造や設計に詳しい専門家に耐震診断を依頼することも検討しましょう。
古民家リノベーションの進め方
古民家をリノベーションして住宅にしたい場合、どのようにして古民家を探し、進めていけば良いのかを解説します。
・古民家の探し方
古民家は、通常の一般的な中古住宅とは違い全体的に物件数が少ない傾向です。
古い建物なので、状態の良い物件は希少価値となります。
しかしインターネットで検索すると、古民家専門の不動産会社などもあるので比較的見つけるのは簡単です。
色々な不動産情報サイトを探し、それぞれの物件の相場を見ていきましょう。
気になる物件をピックアップし、現地案内を依頼し確認することが必要です。
・リノベーション会社を探す
古民家の物件を探しながら、並行してリノベーション工事をしてくれる会社を探しましょう。
古民家のリノベーションは、一般的な木造住宅とは違い専門的な知識や技術も必要となってきます。
リノベーションを頼む会社の探し方としては、やはり古民家のリノベーションが得意で経験と実績のある会社に頼みましょう。
今までの古民家のリフォーム工事などの施工事例を見せてもらい、古い建物に対しての知識を兼ね備えたリフォーム会社がおすすめです。
・現地調査
実際に物件とリノベーションの施工会社が決まれば、現地調査を業者が行います。
現地調査とは、古民家の状況を調査することです。
現在の建物の間取りはもちろんですが、柱の位置や梁のかけ方、建物の劣化度などを施工会社が入念にチェックします。
この現地調査を徹底的にやることで、修繕すべき箇所が明確になり費用や工事内容、工期などが明らかになってきます。
・契約〜着工〜引き渡し
現場の現地調査が終了したら、見積もりを確認し契約をします。
工程を組んでもらい、工事期間がおおよそ決まればいよいよ着工となります。
工事期間中もまめに現場に足を運び、担当者や職人さんとコミュニケーションをとることでお互いの認識にズレがないかを確認できます。
定期的に担当者と工事の進捗状況を現場で確認しましょう。
工事が完了すれば引き渡しですが、最後のチェックも入念にする必要があります。
設計、変更箇所などその通りに仕上がっているのか、仕様など間違っていないか、キズや汚れはないかなどをチェックします。
後々トラブルにならないように最後の完了チェックを行い引き渡しを受けます。
古民家リノベーションの費用の相場
古民家リノベーションにかかる費用の相場は一体どれくらいなのでしょうか。
古民家の場合は、まず耐震性をしっかり補強する必要があります。
耐震補強の相場は坪当たり10万円前後かかります。
また屋根が傷んでいる場合など葺き替えが必要になりますが、使用する素材によって金額が異なります。
例えば40坪の古民家をガルバリウム鋼板で葺き替えると100万円程度は必要です。
また内壁や畳、床材などの解体費用も数百万かかる場合もあります。
古民家の劣化状況にもよりますが、内装も取替えが必要な場合が多いので、解体費用も見ておかなければなりません。
物件によって大きく費用は変動するので一概にはいえませんが、40坪から50坪の古民家をリノベーションするのであれば2,000万円以上はかかるでしょう。
この費用の借り入れは、金融機関によって住宅ローン一本にすることも可能です。
リフォームローンと併用するのか施工会社と相談し資金計画を検討しましょう。
まとめ
今回は古民家リノベーションについて、そのメリットやデメリット、物件の探し方や進め方などをお伝え致しました。
古民家は昔の味わいを残した日本古来の素晴らしい建物です。
また、古民家に使われている柱や梁の古材は何十年、あるいは百年以上持ち続ける素晴らしい素材で作られています。
希少価値の高い古民家をリノベーションして古き良きものを残しつつ現代の生活に必要な設備や機能を充実させることでオンリーワンの住宅が実現するでしょう。