省エネリフォームの種類と効果を徹底解説!

2021.12.16

皆さんは省エネリフォームと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

太陽の光で電力を生み出すソーラーパネルの設置という人もたくさんいるでしょう。

とは言え、省エネリフォームとはそれだけではありません。

省エネリフォームについてですが、二つに分けて考えることが必要です。

ひとつは「太陽光発電によるソーラーパネルの設置のように自分でエネルギーを作り出すリフォーム」、もうひとつは「断熱や遮熱などによるエネルギー消費を抑えることを目的としたリフォーム」です。

後者の「省エネリフォーム」は、夏の暑さ対策や、冬の寒さ対策にも通じるところもあり、住宅性能をアップさせることで省エネに繋がります。

この記事では省エネリフォームとは具体的にどのような工事の種類があるのか?また、その効果も含め徹底解説いたします。

 

断熱リフォームで省エネ

 

省エネリフォームの手段のひとつが「断熱リフォーム」です。

「断熱リフォーム」とは、夏涼しく冬暖かい住まいを実現するために外気温の影響をやわらげる方法のことです。

例えば、せっかくエアコンで室温調節した空気をザルのように逃していては、エネルギーと電気代の無駄使いになります。

もしその状態が毎年続けば、少なからずの金額を浪費してしまいます。

そうならないために「断熱リフォーム」で、省エネとランニングコストを抑えてまいりましょう。

実は「断熱リフォーム工事、は住宅性能を上げる最も重要なポイントです。

早速、断熱工事の工法には、どのようなものがあるのか考察いたしましょう。

 

・内断熱

 

「内断熱」とは、柱や梁の間の壁内に断熱材を充填する方法で、最も一般的に用いられています。

断熱パネルを使用する工法や、吹き込み工法などがあり、費用が安価で施工しやすいメリットがあり、外断熱に比べ壁に厚みが無いため狭小地の住宅に向いています。

対してデメリットは、柱や梁によって断熱材が途切れてしまう点です。

柱部分と梁は断熱されていないため、その部分から外気が伝わってしまいます。
断熱材の性能にもよりますが、外断熱と比較するとやや断熱効果が低くなる傾向があります。

なお、断熱材の種類は、一般的なグラスウールやロックウール、セルロースファイバーや発泡ウレタンなど無機繊維系や木質繊維系、また発泡プラスチック系など実に多種にわたります。

断熱材を入れ替えるリフォームを希望するものの、予算を抑えたい場合にはとてもお勧めです。

 

・外断熱

 

外断熱とは、建物の構造全体を断熱材で覆うという断熱方法のことです。

建物を隙間なく断熱材で覆うため、断熱効果が高いことがメリットです。

但し、いくら柱や梁を断熱しているとはいえ、断熱性能の低い断熱材を使った場合は内断熱で断熱性能の高い材料を使っている方が効果が高くなります。

デメリットとしては、内断熱よりも費用が高くなる事と壁が厚くなってしまうことです。

断熱材の種類は、ポリスチレンフォームや硬質ウレタンフォーム、フェノールフォームなどの発泡プラスチック系の断熱材を使用します。

外断熱の断熱性能を十分に確認し、内断熱の断熱性能と比較することが重要なポイントです。

 

・断熱塗装

 

断熱塗装とは、屋根や外壁を断熱効果のある塗料で塗装することをいいます。

暑さや寒さ対策にも効果を発揮することが知られており、もちろん省エネにも役立ちます。

壁を解体することなく施工ができるので、施工が簡単でかつ費用を抑えられることがメリットです。

しかし、通常の屋根や外壁塗装に使用する塗料に比べると、塗料の価格自体は割高になるので塗装工事の費用はやや高くなります。

近年の断熱塗料は目まぐるしく進化し続けているので性能の良い断熱塗料を各メーカーが販売しているため選択肢もたくさんあります。

新築して10年以上経過している住宅は、塗装のメンテナンスが必要なので、せっかくなら断熱塗料を使って塗装することをおすすめします。

 

遮熱リフォームで省エネ

 

遮熱リフォームと断熱リフォームはどう違うのか、遮熱リフォームにはどのようなリフォームがあるのか解説します。

 

・屋根外壁の遮熱塗料による塗装

 

屋根塗装の場合は、塗装が可能なスレート屋根材や金属屋根材に遮熱効果のある塗料を塗装します。

外壁の場合は、窯業系サイディングや金属サイディング、モルタルやALCパネルなどに塗装する事が可能です。

遮熱塗料を屋根、外壁に塗装すると夏場の日射が多い時に熱を吸収し建物内部への熱量の進入を抑え、室内温度の上昇を緩和します。

遮熱塗料を屋根に塗装した場合、最大で約15〜20℃の屋根表面温度を低下させる事が可能です。

建物の条件や環境によって異なりますが、室内の温度は約3℃程度の低減効果が期待できます。

一般的に室内温度が1℃下がると約10%の空調費が削減出来るといわれているため、省エネになるのです。

 

・屋根外壁に遮熱シートを施工する

 

遮熱シートとは、壁内通気層の室内側表面や屋根裏に貼る銀色のシートのことです。

透湿防水シートに遮熱機能を追加したもののほか、屋根のルーフィング材に遮熱機能を追加したものもあります。

多くの遮熱シートには「日射エネルギーの多くを占める赤外線を80%以上などの高い割合で跳ね返す」と記されています。

しかし、壁や屋根の内側に使用する場合、跳ね返すのは日射そのものではありません。

日射は、まず不透明な屋根材や外壁材に当たるため遮熱シートに届く前にそのほとんどが既に熱エネルギーに変換されます。

跳ね返すのは主に日射熱で高温になった屋根材や外壁材などから二次的に発生する熱放射です。

熱放射による跳ね返した電磁波は大気中に放出されるのではなく、実際は屋根材や外壁材にぶつかって、また熱になっているはずです。

遮熱材は日射が直接当たらない内部に使用する場合がほとんどなので、通気層に接している箇所での使用か断熱が弱い箇所に使用すると効果はあるでしょう。

屋根を葺き替える場合で空気層のある瓦などを使用している場合は、遮熱効果のあるルーフィングを敷くのも遮熱のひとつの手段です。

外壁の張り替えや屋根の葺き替え時のタイミングに採用を検討してみるのも良いでしょう。

 

・窓に遮熱フィルムを貼る

 

遮熱フィルムによる遮熱の仕組みで多いのは、主にアルミニウムなどの金属類をコーティングすることで日射熱を吸収し反射する方法です。

フィルムにコーティングされる金属の割合は高ければ高いほど遮熱効果が得られますが、一方でガラスの透明度は失われ光が室内に入りにくくなる傾向があります。

しかし最近は高い遮熱効果を維持しつつ、見た目の暗さを感じさせない製品も開発されているのです。

中には、独自技術によって金属を全く使用せずに遮熱し、見た目にはフィルムを貼っているのかほとんど分からない製品もあります。

遮熱効果に関しては、フィルムメーカーが遮熱フィルムを貼った窓と貼らない窓の周辺温度を測定したところ、最大で約5℃の温度差が生じたというデータもあります。

夏の一戸建て住宅に侵入してくる熱の約70%は窓からといわれています。

窓際の温度を5℃前後下げることができれば、室温の上昇を抑制しエアコンの設定温度は高めにすることが可能でしょう。

 

また、遮熱以外の効果としては、フィルムによっては畳などへの日焼け防止が可能な種類もあります。

その他紫外線も99%全部カットするフィルムもあり、これによって室内の家具や畳、フローリングなどの日焼けを防止します。

また遮熱フィルムの多くは、地震などの災害時などにガラスが割れても飛散を防ぐ機能もあります。

遮熱フィルムを貼ってもガラスの透明度は維持したいというニーズがある一方で、部屋を覗かれたくないので目隠し効果がある方が良いという人もおられます。

一般的に目隠しと聞くと車のスモークフィルムのように黒っぽい色を想像するかも知れませんが、擦りガラスのような仕上がりで部屋の明るさはある程度維持し、目隠し効果も発揮します。

日当たりが良すぎて暑さに困っておられる方で、別効果も期待されるならおすすめです。

 

高効率な住宅設備の設置で省エネ

 

皆さんは、ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という言葉を聞いたことはありませんか?

ZEHとは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムを導入する。室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入する。それにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」という意味を持ちます。

経済産業省では、2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で2030年までに新築住宅の平均で ZEH の実現を目指すという目標を掲げています。

目標達成に向け、課題と対応策を整理した ZEH ロードマップを関係省庁等とともに策定し、当該ロードマップに基づき普及に向けた取り組みを行っています。

ZEHにおすすめの高効率設備機器はいったいどのようなものがあるのか解説します。

 

・太陽光発電

私たちが日々何気なく使用している電気は、火力や原子力、水力、地熱、風力、太陽光などさまざまなエネルギーで発電し供給されています。

この電気のうち94%を、海外から輸入する化石燃料に依存しています。

そのため、国内でのエネルギー自給率向上や、万が一の災害の備えとして注目をされているのが再生可能エネルギーです。

再生可能エネルギーとは、自然の力を利用し半永久的に供給が可能なエネルギーのことを指します。

再生可能エネルギーには、太陽光・風力・地熱・バイオマスなどがあり、長期間使用するための発電性能と品質が重要になってくる製品といえます。

売電価格が下がっていますが、蓄電池との併用で自宅用の電気エネルギーの確保を考えている方にはおすすめです。

 

・蓄電池

太陽光発電などの再生可能エネルギーを溜めて、発電時間以外にも使えるようにする蓄電システムがあります。

災害時などの緊急事態に、蓄電池に貯められた電気を活用することができるメリットもあるのです。

 

また、太陽光発電の買い取り価格は年々下がる一方で、電気料金は値上がり傾向にあります。

電気代は生きている限り払い続けなければいけませんが、これからは太陽光発電で余った電気を蓄電池に貯めて、蓄えた電気を夜に無駄なく使う自家消費にすることで電気代を節約する事ができます。

太陽光発電とのセットで検討することをおすすめします。

 

・ 高効率型エアコン

空気の熱を利用するヒートポンプを使い少ない電気エネルギーで大きなエネルギーを得ることのできる省エネ性の高い冷暖房機です。

リモコンひとつで簡単に運転操作ができて、急な温度変化などの際にも素早く室内環境を整えます。

燃料補給の手間がなく燃焼音がない上、排ガスの嫌な臭いもないのでとても快適に使えます。

また、空気を汚さず水蒸気の発生が少ないために、結露防止や防ダニ防カビにも役立ちます。

 

・LED照明器具

白熱灯や蛍光灯などいくつもの人工的な光に囲まれて暮らしていますが、 LED照明は近年かなりのスピードで普及しています。

照明用途としては、白熱灯などが真似のできない数々の優れた特長を持っています。

まずは、白熱灯や蛍光灯に比べて長寿命なことが大きなアドバンテージで、次に視認性が良好で屋内外を問わずに幅広く使えることがメリットです。

身近な例では、最近の交通信号機がそれにあたります。

そして器具の小型化が容易で、照明器具として自由な設計が可能になり、省電力でも点灯可能なために省エネや環境への配慮にも貢献しています。

更に熱線や紫外線をほとんど含まず調光や点滅が自在など、いくつもの長所が挙げられます。

白熱灯の熱で夏は室内の気温が上がり、冷房を効かさなければ快適に過ごせない理由もあり、LED照明なら放熱も少なく省エネといえるのではないでしょうか。

 

まとめ

 

省エネリフォームは、具体的にどのような種類があるのか効果も含め解説してきました。

省エネというと地球規模まで考えるようなイメージですが、まずはご自身の家の光熱費を削減する事と住宅性能をアップして、外気温の影響を最小限にする事が必要です。

各ご家庭が省エネリフォームをすることによって、地球規模のエネルギー消費量削減に役立ちランニングコストを抑えることで家計に優しくなるのではないでしょうか。

快適な暮らしを手に入れる事が節約と省エネにも繋がるのです。